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ナニカ



お風呂から上がるメル達。


肩から湯気が立ち上ぼり、肌が少し火照り

赤みがかかる。


しかし脱衣場と浴槽の空間では

温度差が殆ど感じられない。


アユムの能力が以下に精密で

機能的なのかが分かる。


手拭いで濡れた身体を拭き取る。


湿った髪を麻の紐で束ねるメル。


ゴッレゴッレゴッレ…。ゴレ!


何処からか現れる小さな石人形。


全体がピンク色に染められた筒を渡す。


それをよく見ると三つの出っ張りがある。


試しで一番上の出っ張りを押す。


ブォ~。


暖かい風が筒の先から吹き出す。


「ウォ!」


メルは少し驚き放り投げた。


トントントン。


「ちょっと良いですかね?」


長い髪を邪魔そうにかき揚げる番頭ゴーレム。


ピンクの筒を持ち出っ張りを

押し風を自分の髪へと当てる。


煌めく黒髪が風になびく。


「これはドライヤーといいまして濡れた髪を乾かすモノです。」


メル達にピンクの筒の使い方を話していた。


「いや、要らん。」


メルが手を横に降り断る。



カフエリはいつもの様にメルの前に後ろ向きで座る。


「良いよ。」


右手が赤くなる、空気が歪み熱を帯びるメル。


そして息を吸い込み熱した右手に吹き掛ける。


その風でカフエリの髪が徐々に乾いていく。


更に熱い右手にカフエリの髪を巻き付ける。


すると…。


肩にかかる毛先が内側へクルリと曲線を描く。


「カフエリ、それでいいか?」


メルは自分から出る額の汗を手拭いで拭き取る。


「うん。ありがと、メル!」


鼻歌まじりで毛先を触る。


ゴレ!


小さきゴーレムが赤いリボンをカフエリに渡す。


「えっ、くれるの?ありがと。」


石人形を撫でるカフエリ。


赤いリボンで髪を縛る。


メルの方を見て


「ねぇ、似合う?!メル。」


頷くメル。


深緑のレザーアーマーを

身に纏いくるくると回っていた。


「あ~。元気で良いなぁ。」


フグエルレンが手拭いを身体に巻き付け、鱗の水気をとりながら笑っていた。


「次…フエン。」


メルの前へ静かに座るフエン。


また息を吸い込むメル。


今度は左手から淡い光を放つ炎を出す。


ブフォー!


藍色の髪がゆらゆらと揺れ徐々に乾く。


そしてメルは左手にて煌めく炎をフエンに放つ。


するとフエンの髪がより艶々になる。


(出来る!…。)


番頭ゴーレムはメルの妙技に

感心していた。


だが自分の長い髪は手拭いでさっと拭いて終わらす。


これはメルがカフエリとフエンの為に編み出した秘技である。


メルの強靭的な肺活量で

髪を乾かしカフエリの癖毛を

熱で巻き上げる。


そうする事により貴族の間にて流行っている髪型になるのである。


そしてフエンは髪を乾かすと

チリチリとなる。


余りに硬く針の様になるので時々指に刺さり痛い。


メルは考え編み出した治癒の光でフエンの髪質を良質なものへと変えた。


フエンはさらさらの髪に満足していた。


以前のメルではこの様な配慮が出来ない。


だが…、GOMINIを取り込み

一つとなった事で良識と常識を覚えたメルなのであった。


二人は汗だくのメルにしがみつく。


「大好き、メル!」


「メル…。ありがとう。」


軽く二人の頭をポンッとすると


さっと着替え始めた。


フグエルレンがパタパタと


メルの元へ飛んで来る。


そして「ワシも!」というので


メルは右手から綠炎の炎を滾らせ放つ。


一瞬で乾くが少し焦げ臭くなった。


不機嫌になるフグエルレン。


メル達は番頭ゴーレムに挨拶をするとそのまま部屋へと戻って行くのであった。


◆◆


「フエン、見て見て、良いでしょう~。」


「うん…似合ってる。」


二人は、メルの周りを月と太陽の様にくるくると回る。


「ぶつかるから、よそ見するなよ。カフエリ、フエン。」


「はぁーい!」


ケタケタと笑う二人。


ドンッ!「痛っい。」


カフエリが黒いローブを身に纏い、フードを深く被る者へとぶつかる。


慌ててカフエリに駆け寄るメル。


「すまない。」


ぶつかった相手に謝る。


何故か一言も話さない。


少し身体を震わせていた。


「カフエリ!良かった…。」


黒きローブを纏う者がカフエリにしがみつく。


嗅いだ事のある匂い。


メルは記憶を巡らせるがそれよりも早く

カフエリが答えた。


「クレエラ!お姉ちゃん…。」


フードを捲り顔を出す。


従属の首輪をつける耳の尖った女性。


そう奴隷の国エデンにいた

カフエリの姉クレエラであった。


メルは構えた。


確か陽炎の町に入れるのは

アユムの証が必要な筈。


それなのにここにいるという事はエデンから刺客が送り込まれたと考えるのが妥当である


(ちっ、まだ…気配が。)


メルはカフエリとフエンを抱えて走る。


外に出ると大きな錬金釜を背負う白きローブを纏う者が立っていた。


メルはすぐに誰か気づく。


「ユウト、無事だったか!」


少しほっとしていた白きローブの男。


「良かった…。もしメルさんと戦いになったら…。僕死んでしまいます。」


この頼りなげな青年は過去に来る途中で

メル達が、出会った不幸な青年である。


彼はマレビトでありアルメーリアに迷うと、すぐに流永の鴉に喰われ死んでしまう。


だが色々な偶然が重なり、今では蘇りエデンの主と世界各地で活動するマレビト達を補佐する『トロイの木馬』に所属していた。


メルは「そこにいる奴、出てこい!」と睨みつける。


ユウト以外の、得体が知れない気配を警戒するメル。


暗闇の奥からもう一人白きローブを纏う者が現れる。


カフエリとフエンはその人物を見ると小刻み震え表情が強張る。


その者はシマミレイ。


カフエリとフエンを捕らえ

エデンに連れて来た張本人である。


「暝砡の者メル!話しがある。」


凄まじい殺気である。


フエンとカフエリを下ろすと

綠炎の剣を出し構える。


ピリピリと貼り詰める空気。


「ミレイさん、ちょっと待って下さい。」


ミレイとメルの間に立つユウト。


そしてメルの方へ視線を送る。


「メルさん、単刀直入に言います!」


「アユムさんは、危険です。」


「僕達と来て下さい!」


右手を差しのべるユウト。


果たしてこれは罠なのか…。


メルは必死で考えを巡らせる。



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