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カコトイマ



この世界は、終わりを告げようとしていた。


世界を動かす為の力、魔力が

枯渇していたからである。


その原因とは…。


巨大な魔力と生命力を持つ魔王のせいであった。


魔王は何かしていた訳ではない。


その存在自体が悪なのである。


魔王が呼吸をする度に世界の

生命力を吸い。


動く度にその身に宿る魔力から

様々な化物を産み出される。


魔王は何度も死のうと考えた。


しかし世界を創造せし者がそれを許す事はなかった。


そこで過去に一人の勇者が魔王に挑む。


その者は魔王と戦うが敗北し

その身を吸収されてしまう。


もう魔王を滅ぼせる者など

この世に存在しない。


邪悪な魔王と勇敢なる勇者の


名を教えよう。


邪悪なる魔王『綠炎のメル』


勇敢なる勇者『創造のノボル』


そして…。


彼らの意思を継ぐ者


『黄金の騎士メルフォードクラウディア』


である。


私は彼らの生きた証をここに記す。


グラン・エルスタード・サガワ著


アユムは、一冊の煤けた本を、メルフォードに渡す。


「これは、未来の歴史書なんだ。」


艶やかなピンクのタキシードを見ると今の

メルフォードは吐き気を感じた。


目がチカチカするからだろうか。


それともメグラの一撃が凄絶だったからなのか。


はたまたメルフォードの理解を

越える事が立て続けに起きて

整理が出来ないからなのか。


もう理由などわからない。


メルフォード達はアユムが作った空間。


陽炎の町にいた。


「何故、メグラ殿やユウ殿が襲って来たのですか!」


メルフォードは、アユムに詰め寄る。


そして心の中にある全ての疑問をぶつける。


神の国エデンの側でメル達と

連絡を取る為に魔電塔を立て守護していた事。


いきなり目の前に拡がる景色が色を失い動かぬ世界へと、急に変わった事。


そして…。


今まで味方であったクラン

“月の雨”のメンバーであった

メグラやユウが突然に

敵意むき出しで襲いかかってきた事。



理解が全く出来ないでいた。


カフエリとフエンは顔を見合わせた。


アユムは

「ほらね、本当でしょ。」


とニヤニヤと笑う。


…???。


緊張感の無い空気が

メルフォードは余計に苛立たせる。


「一体、何なんですか!」


目の前にある椅子に八つ当たりをしてしまう。


悪気は無いが粉々に砕けてしまうのであった。


「はい。銅貨20枚、弁償ね。」


手を出すアユム。


渋々と銅貨を布袋から取り出し

渡すメルフォード。


「まぁ暝砡の血を持つ者は全ての理から、外れるからね…。」


「歴史が、変わってもついてけれないよね。」


アユムは、グラスに入っている

水を揺らしながら一口飲む。


そしてまた語り始める。


◆◇◆◇


メルが過去に行き歴史を変えてしまった。


それはカワサキユウトという

マレビトを救った事である。


彼は今までサガワノボルが作り上げたものを全て壊す。


サガワが善では無いからである。


カワサキユウトは神としてではなく。


アルメーリアの民として


一個人として様々な国々と


友好的に和平を結ぶ。


巧みな話術と錬金術で


世界には飢えと疫病が減り


6000年にも及ぶ戦争も今では


収まり平和的に全ての種族が


過ごしていた。


カワサキユウトを崇め勇者と


称える者達も多い。


功績を考えてもそれはそうだろう。


だが…。


その正しく尊い行為が


世界を創造せし者の逆鱗に触れた。


それは戦争、疫病、飢え、


それらのもので亡くなる者達が激減した事。


アルメーリアを安定と維持させるエネルギー元。


魂の供給が減ったのが理由であった。


そして世界を縮小し始めた。


より少ないエネルギーで動かす為に…。


縮小された生き物、種族、精霊は全て跡形もなく消滅した。


その事で世界は、混沌と化す。


アルメーリアの民は不必要な

殺戮を始める。


そして世界を創造せし者に

魂を捧げる為に…。


サガワノボルは、それを止める為、世界に

存在する全ての者の記憶を消滅させようとする。


そうすれば、不要な殺戮も収まるだろうと考えた。


その為に自分の配下である

忘却の天使と呼ばれる者の精神を壊し、無尽蔵に忘却の能力を行使しようとした。


◆◆


「とまぁ、こんな感じかな。」


アユムは笑って話す。


メルフォードは、突然メグラ達が襲いかかってきた理由を尋ねる。


フエンが一言。

「暝砡の血を引く者をだから。」


ますます理解が出来ない

メルフォードであった。


そして過去のメル達は…。


◆◆


「ねぇ、メル、早く、早く!」


藁で編んだバスケットを片手に

はしゃぐカフエリ。


「わかったから…。今行くから。」


肩で息を吸うメル。


「ゆっくり歩こ…メル。」


足元を支えるフエン。


「そうだぞ!」


フエンの肩に乗って翔びもしないフグエルレン。


陽炎の町にある丘へ気分転換もかねて遊びに来ていた。


丘の頂上に上ると、一面様々な色の花が咲きほこる花畑へと

たどり着く。


この場所はアユムから聞いた場所。


普段は、誰も来ない穴場らしい。


花が咲いていない場所を見つけ座るカフエリ。


「こっち、ここなら、いいよ!」


メル達もそこに座る。


バスケットの中を自信満々

開けて中身を取り出す。


カフエリとフエンが二人で作ったサンドイッチという物。


これもアユムから教わった物だと話す。


パンの間にソヤという野菜とチーズを挟んだ食べ物だった。


だが…少し変な臭いがする。


そして形が楕円形で不恰好なのである。


「食べて、メル。」


にこにこ、しながらメルの方を見るカフエリとフエン。


(食べないと、いけないか…。)


メルは覚悟を決めて口にする。


舌先が何故か痺れ、痛くて凄く辛い。


サンドイッチとは…。


恐るべき食べ物だと思うメル。


唇が赤く腫れる。


辛そうに食べているメルを見て哀しそうにする、カフエリとフエン。


必死で笑顔を取り繕い

「美味しかった、ありがとう。」


二人を優しく撫でる。


少し照れるカフエリとフエン。


「ねぇ、まだ自分の事、思い出せない?」


カフエリが膝の上に座り

メルを見上げる。


フエンはメルの背中に張り付く。


「あぁ…まだ、思い出せない。」


「だが、メルという名前は思い出せたよ。」


「二人とも、ありがとう。」


フエンとカフエリに伝えるメル。


いいよ。と喜ぶ二人。


だが…。今のメルはある事で、悩んでいた。


最近、何処に行くにも

カフエリとフエンが張り付いてくる。


それだけならば別に構わないのだが…。


「お久しぶり、メル。」


白いローブを纏う黒髪の女性。


ミサキであった。


「何しに来たの?」


急に声を低くするカフエリ。


「用は何?」


メルの前に立つフエン。


それを見てクスクスと笑うミサキ。


「可愛い、ナイト様ね。」


「メル。後でアユムの部屋まで来てくれる?」


それだけを伝えるとサンドイッチを一つ取って口にする。


(辛い…。あぁ…。ソヤじゃ、

無いわねこれ。)


何も言わずそのままゆっくりと丘を下って行く。


「私達が作ったの食べてった…。」


カフエリとフエンは獣の様に

毛を逆撫でて威嚇していた。


見ての通り仲が悪い。


フグエルレンは

「なる程ノォ。」と笑っている。


果たして何の話なのだろうか…。


メルは残りのサンドイッチを、食べて丘を下るのであった。


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