表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/60

ウツツノサカイ




カフエリとフエンは、

現実の薄暗い根城をメル達の無事を

祈りながら必死で探す。


その時フグエルレンとメルは

マイダの仕掛けた夢の牢獄という地獄の夢に

うなされていた。


◆◆


「おいっ。メル!一旦引くぞ!」

フグエルレンの一言でメル達は、結界の中に逃げ込む。


すると熱された鋭い針が全身に突き刺さる様な痛みが走る。


メルは服をめくると黒い蕀が

腹部の方から上へと徐々に刻まれていく。

その激痛でうずくまるメル。


「メル…だ、大丈夫?」

不安そうにメルの背中を擦る

フエン。


「何か…あったの?」


緊迫した、状況を肌で感じとるカフエリ。


幼き二人の瞳は恐怖と困惑で壊れそうに

なっていた。

メルは、カフエリとフエンの頭を優しく

撫でると一言伝える。


「大丈夫…二人は必ず守るから。」


焼き付く痛みで額と手から汗が滲むが、

笑顔を二人にみせ優しく頭を撫でる。


そして、カフエリ達を優しく撫でながら、

メルはある違和感を拭えずにいた。


なぜ、呪いはリーダーだけを狙うのか。


何故生贄を捧げれば外に出られるという”仕組み”がありどの様にして出られるのか。


いくら魔力と精神を嗅覚に集中させ

研ぎ澄ませても、この森には”森の主”らしき気配が一切しない。


キィーン…。


頭に鳴り響く不快な音。


森の主と名乗る者の声が森の中に響き渡る。


(森の住人達よ。ソコにいる者達を殺せば、この森から解き放ってやろう。)


その言葉にソリッドを含む冒険者達は歓喜と狂喜の雄叫びをあげる。


(森で迷いし新たな者達よ。)


(そこにいる冒険者どもの命を全て刈り取れ。)


(そうすれば、この森から出してやろう。)

と告げる。


外道とはこの事である。


互いに殺し合いを演じさせようとするのだ。


その非道なやり口に、フグエルレンの怒りが爆発した。


「愚かな…! 我を聖人君子と勘違いをしているな。」


「面白い、森ごと焼き尽くしてやろう!」


小さな飛龍は凄まじい雄叫びをあげる。


思わず耳を塞ぐカフエリとフエン。


綠炎の鱗が激しく燃え炎が大きく渦を巻く。


その中心には数千年の時を経て、現れた

フグエルレンの本来の姿『綠炎の魔神』へと変貌する。


凄まじい熱気のせいで大気が歪む。


熱く燃える様な空気に肺が焼けてしまう感覚に陥る、フエンとカフエリ。


苦しむ二人を見て、仕方なく結界を解くメル。


だが、足をバタつかせその怒りすらマイダは嘲笑った。


◆◆


「ククク…面白いな。」


指の平を頭に当て念じるマイダ。


現実でモニターを眺めていたマイダは、

夢の中に分身を送り込む。


ふわりと突然に天から現れる

白きローブの男。


「僕はマイダ。君達に死を与えに来た者。」


不敵に笑うマイダ。


「メル!こいつだ!」

フグエルレンが叫ぶ。


メルとフグエルレンは同時に

その男に、目掛け綠炎の爆炎を放つ。


だがその爆炎も霞の様にかき消される。


メル達の視界から消えるマイダ。


(しまった…。見失った。)


「ここだよ。」


カフエリとフエンの小さく細い首を握り締めて宙に浮かぶ。


そして、メルとフグエルレンに究極の選択を突きつけた。


カフエリから奪い取った村正を二人の前に

放り投げ、冷酷に告げる。


「どちらか一人が自害しろ。そうすれば、この娘たちの命は助けてやる。」


そしてマイダは、鉄の牢獄を

生み出すとそこへカフエリとフエンを

放り投げる。


まばたきをするマイダ。


夢の中にいる幼き少女達の手足と首に

黒い蕀が巻き付く。


そしてソリッドら冒険者達を同じ牢獄へと

放り込んだ。


「ククク…。早く選べ。」


「さもなくば、この者たちが、娘達を殺すことになるぞ。」


メルとフグエルレンが怯まずに

マイダを攻撃しようとすると…。


フエンとカフエリに巻き付く黒い蕀が

強く締め付ける。


苦悶の表情を浮かべる幼き少女達。


メルは村正を手に取るが

それと同時にフグエルレンも強く掴む。


「我は一度死んでいる。お前は生きろ!」


フグエルレンはメルを睨む。


「そんな事できるか!俺ならなんとかなる!」


メルはフグエルレンの覚悟を否定する。


村正の刃を強く握る二人。


紫と赤の気高き血が地面に落ちる。

「死ねえ!」


その瞬間、檻の中でソリッドのナイフが閃き、無防備なフエンの胸を深く貫いた。

「あ……メ、ル……。」


光を失い、崩れ落ちる夢の中のフエン。


(ククク、これで一人、片付いた…。)


モニター越しで苦しむ者達を、見て

嘲笑うマイダ。


悪夢の力で囚われた者達は、


夢の中で命が断たれれば


現実でも命を失うのだ。


しかし、油断しているマイダは、

気づかない。


現実のフエンとカフエリは一睡もせずに

直ぐそこまで迫っているという事に…。


夢の中でフエンの瞳から命の光が消える。


その瞬間。


時が大気が大きく震え揺れる。


二人の怪物を中心にマイダの造り出した

夢の世界が歪み、ひび割れていく。


メルとフグエルレンの怒りが精神が限界を

超えた。


「覚悟は…。出来ているな…。小僧。」


その重く冷たい綠炎の魔王が放つ言葉が


モニター越しでもマイダの精神に恐怖を刻む。


「……またマもれナカった。」


メルの嘆きが全ての時を止めた。


そして、端から空間の色を奪っていく。


一方、その頃、カフエリとフエンは

いびきと歯ぎしりの音をたどり

貯蔵庫へとたどり着く。


鉄の柵から中を必死で覗く

カフエリとフエン。


中には貯蔵庫の番人であるマンティコアと

幾人の者が床に横たわり眠っている。


「フエン、これなんだと思う?」


「知らない…。けど早くメル達助けよう。」


村正を握り締めたカフエリと、

アルテミスの弓に魔力を込めるフエン。


夢の中の悲劇を終わらせる為、現実の少女達が今、反撃の狼煙を上げる。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ