カゲロウノマチ
ゴレゴレゴレゴレ、ゴレゴレゴレゴレ。
何故か一区切りつく度に鳴る
ゴレフォン。
フグエルレンだけが奇妙に
感じていた。
そんな事を全く考えずに
メルはゴレフォンを掴む。
(もしもし、メル?)
「メルだ。」
(ハハ…。カフエリ達は助けれた?)
「あぁ…。ユウト…は。」
(なる程ね、ユウトは大丈夫だよ。)
カフエリとフエンは石ころが
声を発する事に驚いている。
グゥ~……。
身体から栄養を欲する警報が
鳴る、カフエリとフエン。
メルは、にやりと不敵な笑みを
浮かべる。
そしてズボンのポケットから
甘い香りがする、顔位ある大きなパンを取り出して二人に渡す。
「それパン。旨い、食え。」
明らかにポケットの規模と
パンの大きさが合わないのだが
それよりも食欲が勝る、
フエンとカフエリ。
「はぐっ、うふ。モグモグ。」
初めて食べたパンという物。
甘くほんのり暖かい温もりに何故か
涙が頬を伝う。
その様子に慌てるメル。
カフエリとフエンの頬を伝う
涙を優しく指で拭う。
二人は小さく、えずきながら
泣き始めた。
静かにメルは二人の幼き者を
見つめ優しく頭を撫でる。
「ウム…よく頑張った。」
フグエルレンが子供達に称賛を
述べる。
メルはただ二人が落ち着くまで
傍にいて寄り添う。
現在は追われている身である。
故に声を、音を出すのは危険な行為であった。
しかし流石GOMINIである。
外に音が漏れず、姿を隠す結界を既に張っていたのである。
誰もGOMINIのできる仕事ぶりを気付き褒める事が無い。
悲しいものである。
(………………。)
ゴレフォンの向こうで
アユム達もカフエリとフエンが落ち着くのを待っていた。
感情の爆発が収まり、落ち着く
カフエリとフエン。
柔らかいパンを黙々と食べ始めた。
(もう、よさそうだね…。)
アユムはこれからの事をメル達に伝える。
(多分…エデンから北西120キロ位の場所にいるね。)
(そこから更に北の方に行くと
僕が作った町があるから。)
(そこにかくまってもらえば良いよ。)
それを聞いたフグエルレンが
疑問をぶつける。
「なぁ、アユムは、何故この場所が分かる?」
(………。それは、ひ、み、つ。今はね。)
含みのある言葉で濁すアユム。
「場所、何処?」
メルは二人を早く安全な場所に
連れて行きたい。
その一心であった。
「わた…、私達を何処かに売るのですか?」
フエンが怯えた眼でメル達に聞く。
それはそうだろう。
エデンでは未来で神に背くと
いう身に覚えの無い事で幽閉され。
処刑されると決まるとフジサワに弄ばれる。
奴隷とはいえ、子供が穢れた
世界を一気に見せられたのだ。
未来などに希望などもてる筈もない。
「やっぱりそうなの?」
カフエリも怯えていた。
自分達には、利用価値など無い。
ましてや神、権力者に追われている身なのだ。
捨てられる、より過酷な運命が
自分達を待ち構えている。
何処かで諦めていたの、
かもしれない。
メルは真っ直ぐに二人を見つめる。
「仲間!ずっと一緒だ!」
そう言うと二人を強く抱き締めた。
カフエリとフエンは意味が
理解できなかった。
未来では仲間であったが
今は出会う前の過去にいる。
(…悪いけど、話しの続きしてもいい?)
アユムは、淡々と話し始める。
これから行く場所は
『陽炎の町』と呼ばれ選ばれた
者しか入れないらしい。
そこには神に追われた者
戦争で親を家族を失った者。
この世界で居場所を失った者達が住まう場所だという事。
そしてその町はアユムが造り
入る為にはアユムの認証が必要らしい。
そして認証の証がGOMINIだとも話す。
(GOMINIに代わってくれる?)
そう言うと何かを伝えていた。
「アユム様分かりました!」
眼鏡をクイっと上げ、頷くGOMINI。
(じゃあ、みんな、頑張ってね!)
ゴレフォンの口が閉じる。
「メルさん!ペンダントを貸して下さい。」
GOMINIにカフエリ達の居場所を教えるペンダントを渡す。
そのペンダントをいきなり叩き割る。
するとカフエリの村正と
フエンのアルテミスの弓が
現れる。
フエンとカフエリの手元へと吸い付く様に動く咜嚕の武具
「お二人には、これを使いこなして貰います。」
そういうとスッと眼鏡を外す。
すると星屑が無限に広がる空間が現れる。
メル達はその空間に飲まれて行くのであった…。




