イキロ
イキロ
静かな地下の牢獄。
そこに鳴り響く不思議な音。
メルの懐から揺れ動き叫ぶ
ゴレフォン。
指でゴレフォンの透明板を叩くメル。
(あっ、でた、でた!)
(どう、カフエリとフエン見つかった?)
緊張感の無いアユムの声が
無性に苛立つユウト。
「まだ。見つからない。」
淡々と伝えるメル。
するとメルが顔の見えない二人と闘ったと話す。
そのうちの一人は雷を起こすらしいとの事。
アユムが言うには雷を操るのは
七人の天使の一人ウリエル
トウドウミカリというらしい
かなりの好戦的な人物だと笑って話す。
そして…彼等が来ると言うことは間違いなく傍には神の頂点
サガワノボルが近くまで来ているとの事。
ユウトは絶望的な状況だと思い知る。
「あの…フジサワが死んだら
エデンはどうなります?」
それでもクレエリ達の事が気になるユウト。
(多分、ミカリが代わりに支配するだろうね…。)
「ミカリさんはどの様な人ですか?」
(知って、どうするの?)
先ほどからエデンの民を心配するユウトに尋ねる。
「フジサワより…危険な人なら僕が助けたいんです!」
(はぁ?…フ~ン、それ本気?)
汗が手の平に滲む。
それをローブで擦って恐怖と
一緒に拭き取るユウト。
「はぃい!本気でぇっす!」
何故か声が裏返る。
ゴレフォンの通話相手は爆笑している。
アユムの非情な笑い声がしばらく続き、ヒューヒューと音と
共にやっと収まる。
(分かったよ…!なら凄く簡単さ。)
(ノボルに会って、正直に今、話した事をそのまま言えば良いよ。)
(但し…。絶対に嘘はいけないよ。)
無責任ともとれるアユムの言葉。
それを信じるしか無いユウトである。
そしてメルには直ぐに
カフエリとフエンを見つけ
その場から離れろと伝える。
これは、作戦ではない
いわばユウトに囮となれ。
その様に聞こえた。
真っ先に異論を唱えたのは
メルであった。
「ユウト、死ぬ!」
誰もがそう思う。
しかしアユムの意見は変わらない。
(大丈夫…。本気でユウトがそう望むならね。)
食い下がるメルに
「僕は大丈夫です。メルさん達もどうか無事に…。」
ユウトは伝える。
その瞳には迷いが無い。
身体が勝手にいや…。
暝砡の血がそうさせたのだろう。
メルはユウトの額に手を当てた。
紅くそして強く光る。
そして光が収まる。
フジサワを倒した事で
反転の力を手に入れたメル。
その能力をユウトに分け与えるのであった。
反転の力を宿すユウト。
指先に望めば反転の玉が出る。
それをとかげとなった
フグエルレンに当てた。
「ストレングスリバース」
(弱者から強者へ)
淡く光りに包まれる。
また光が収まると元の
フグエルレンに戻るのであった。
「ユウト、仲間、生きろ。」
それだけ言い残すとメルは、
走ってカフエリとフエンを探す。
その後をパタパタと飛んで追いかけるフグエルレン。
クリエラの従属の首輪が淡く赤い光りを放つ。
「ノボル様が来られました。」
急に表情が無くなるクリエラ。
その姿は魂の無い人形の様であった。
もう後には引けない。
臆病な錬金術師のユウト。
クリエラの跡を歩き地上へと
続く階段を一段一段と踏み締めて行くのであった。
一方その頃、別働隊
現代のメグラ、クラウディア、ユウのメンバーは無数のアンデット達を浄化、制圧する。
そして神の領地エデンの方角を見ている。
土地は腐り水もとても飲めるものではない。
何かが腐敗したのか独特の酸味を感じさせる
臭いが鼻につく。
メグラはそのせいで鼻がおかしくなり
激しい吐き気と身体中の痒みと戦っていた。
「ここよぉ…住むとこじゃねぇな…。」
地面とにらめっこをしているメグラ。
「ほんとね…。」
もう走り疲れたのか岩に座り込むユウ。
「あぁ…この場所に神が、今メルが戦っているのか…、。」
何の話しも聴いていないクラウディア。
ゴレゴレゴレゴレ、ゴレゴレゴレゴレ。
アユムからの定時連絡である。
(多分…。凄いこと起きるから、気を付けてね。)
(じゃ、メルの方にまた掛けなおすから!)
それだけを伝え一方的に通話を切った。
何なんだよ…。あいつ…。
荒れ地にぽつんとたたずむ三人であった。




