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タスケタイ



ズゥンン!ポタッ、ポタッ。


揺れ動く冷たい床。


顔に当たる冷たい何か。


ぺたぺたと鼻の上にヒヤリした何かが乗る。


(うぅん…。)


手でそれを払い除けるユウト。


目を開けると暗くて、何も見えない。


(アレ…、僕死んだ?)


ポピュラーな方法である

頬をつねってみた。


「痛っ。じゃあ死んで無いか。」


「いや、これ、夢かどうか試す方法だっけ?」


コツ、コツ、コツ、コツコツコ。


一筋の明かりと共に音が近づく。


「何で?!ユウト様がここに?」


聞き覚えのある声が聴こえる。


ロウソクの明かりがユウトを照す。


目を凝らすユウト。


鉄格子の向こうにおぼろげと

見える。


尖った耳。青い髪。


「アッ!クレエリさん!」


慌てているのか燭台の火が揺れている。


(ヤバいぞ…何て言おう。)


ユウトは、嘘を付く事が苦手である。


だがある程度の嘘を嗜んではいたと自負している。


「実は、僕、奴隷解放の使命を天から与えられた者なんだ!」


「不当な扱いを受けている者達を救いに来たんだ。」


だからどうしたとよべる程度の嘘である。


だがしかし!


ユウトは、錬金術師の能力とは別のもう一つの能力『話術』が目覚める。


「本当に…ですか?」


「なら、カフエリ、妹をお救い下さい!」


「お願いいたします。」


頭を下げるクレエリ。


暗闇でよくは見えないが


身体が微かに震えている。


「事情を聞かせて貰えますか?」


冷たい石畳に座ると真っ直ぐとクレエリに視線を送る。


端からみれば可笑しいこの上無い嘘。


だがユウトには『話術』という能力があるのでそれを可能とした。


話術とは、どの様な妄言でも

相手に信じ込ませる能力である。


しかも強者でも弱者でも

関係なくその効果は絶対で

あった。


クレエリが瞳を潤ませ


「妹が未来で神に牙を向けると天から御告げが来ました。」


「明日、妹は処刑されます。」


「だから…せめて私の手で…。」


震える手を抑えて静かに見詰める。


そしてエデンの主フジサワに

ついて話し出す。


フジサワに酷い仕打ちをされ


何人もこの世を、怨み亡くなった奴隷達がいた事を涙を流しながら切々と語る。


エデンの外にいる、無数の亡者達もその犠牲の成れの果てだと話す。


そしてそれを神の頂点


サガワノボルは知らないという事。


そもそもサガワノボルは、

奴隷達に従属の首輪を付ける

理由。


それは自分達を裏切らぬ様にする。


ただそれだけであった。


故にエデンの民は従属の首輪を

付けられるが、後は自由なのである。


そしてエデンにはサガワノボルが作った三つの法がある。


一つ目は、エデンに住まう者は神を除き例外なく従属の首輪を付ける事。


二つ目は、従属の首輪を付けた民に対して衣食住を保証する事。


三つ目は、神に属する者は不当にエデンの民を傷付けてはならない。


これらの法に背いた者は直接、

神の頂点サガワノボルが裁きを下す。


「ですが…フジサワは反転の

能力を使い、ノボル様を欺いています。」


「奴隷を…私達を…。」


自身の腕を強く、強く、握り締める。


その震える指が何を物語るのか

察し得ざるえない。


ユウトは自分のすべき事


やらなければならない事を


見つけた様な気がした。


鉄格子を勇ましく、開けようとする。


ガチャン!


「アレ?」


カチャカチャ…。


「すみません、開けて貰えますか?」


多分カワサキユウトには難しいのかも知れない。


だが何一つ疑いもせずに

鉄格子を開けるクレエリをみて


純粋に助けたいと思うユウトであった。


バリバリガシャーン!


「あっユウト。」


石造りの壁をぶち抜くメル。



ペンダントの光を辿り

ただひたすらに突き進んで来たらしい。


メルの懐からまたあの音がする。


ゴレゴレゴレゴレ、ゴレゴレゴレゴレ。


(あ~、何か嫌な予感がする。)


この場でそう思うのはおそらくユウトだけだと思うのである。


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