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ユダン



不敵な笑みを浮かべるメル。


「羽根ある。」


すると右手にはめた変化の手袋を外し暝砡の封印を解く。


紅きメルの瞳が臼黒く染まり

身体の半身が醜い白きゴブリンの姿へと変わる。


「ひぃぁ!化物!」


カワサキユウトに悪意は無い。


この世界に来てすぐに命を絶たれた。


アルメーリアで起きる現象や

魔法の知識など何一つ無いのである。


身長180cm程度の美しく

細長い髪を束ね顔の線が整った美少年が目の前で姿形が

変われば驚くのも当然である。


だがメルは”化物”という言葉で

心に刺の様なものが刺さる

違和感を感じていた。


それを察知したカワサキユウトはメルに謝るのであった。


悲しげな笑みを浮かべ許すメル。


その様な空気間の中GOMINIは


「メルさん、何か方法が、方法があるのですね。」


「早くやりましょう!」


助かりたい一心であった。


メルは自分の背中を指差す。


フグエルレン達が指差すものを覗くと…。


美しく輝く白き翼が生えていた。


「おお、これならいけそうか?!」


「はい、はい、大丈夫です。

羽根ですし。」


喜びはしゃぐ喋る石ころと

小さな火吹き竜。


そしてメル達の会話を聞いていたのか。


彷徨える魂達が


「俺達もここから、出してくれ。」


集まり出す。



ニヤリと笑うフグエルレン。


「無料ではやれんな…。」


「お前達は何を払らう?」


ざわめく嘆く魂達。


(俺、何も無い…。)


(私はこの指輪があるけど…。)


メルはフグエルレンを軽く殴る。


「いらない、来い!」


そう言うとペンダントから出る一筋の光を辿りフエンとカフエリがいる過去の扉を探す。


その跡をカワサキユウトを含め

彷徨える魂達がついて歩く。


端から見れば百鬼夜行とも呼べる。


ペンダントの光が強くなる。


小さな水晶の扉へと辿りつく。


メルは羽根を一枚むしり取り


鍵穴に差し込む。


すると白き羽根が水晶の鍵へと形が変わる。


ガチャリ…。カチャン。


扉の鍵が開いた。


(うぉー!)


(やっと出れる!)


(開放された!)


蠢く魂達はメル達を差し置いて我先にと出て行くのである。


その跡をメル達も追いかけて


扉から出る。


(アレッ、暗い?)


空を不気味に覆う黒き深い雲。


大地は腐り草花一つ生えていない。


枯れ木は木目が人の顔に見える。


鼻に粘りつく死の臭い。


食い散らかされ飛び散った

亡骸。


長年放置されていたのだろうか腐敗臭を放っている。


「なぁ…。ここって何処?」


錬金釜を背負うカワサキユウトがメル達に尋ねる。


「何処、教えろ。」


カタカタと動くGOMINI。


「ここは奴隷の国エデンです。」


「神の領地ですね。」


「まぁ、マルビロからは、南西に307キロ位離れてますけどね。」


フグエルレンが驚く。


「神っ!まさか…。マレビトの?」


「はいそうです。マレビトの領地ですね。」


慌ててメルに変化の手袋をはめさせる。


だが既に遅かったのかもしれない。


「おいおい。ミレイの言うとおり本当に来たぜ!」


派手な金色の髪をたくしあげ

短髪の男がこちらに歩いて

来る。


舌を出し耳に髑髏のピアスをしている。


そして瞳が黒く深く淀んでいた。


「なぁ…。ここは俺達、神の領域だ!」


「雑魚が、来ていい場所じゃねぇぞぉ!」


ヘラヘラと笑う男。


メルは嫌悪感を感じた。


「返事がぁねぇなぁ…。」


「ナラし、…?、!」


ブン!グシャ、メキメリメリメリメリ!


最後まで言葉を聴かずに殴るメル。


「がぁは、げほっげほっ!」

(なんだこいつ、動きが、見えねぇ…。)


男の、鼻と口からぽたぽたと

赤いものが流れ出る。


メルの強さは異常である。


神獣クラスの生物を瞬殺できるなどまさに化物。


だがそれ故に最も危険な弱点を持つ事となる。


男は指先からいくつもの、

上下を示す矢印が刻まれた玉を生み出す。


メルが男に止めを刺そうと

ゆっくり歩く。


心を許した者ならば何も感じぬ。


しかし心を許さぬ者には、

一歩、一歩とメルが近付くに

つれて押し潰されそうな圧迫感を感じていた。


「おいメル!情報が欲しい殺すなよ!」


フグエルレンがメルに釘をさす。


男は手に持つ玉を無造作に投げ


「こっちに来るな!」


と怯えたふりをして後ずさる。


(いいぞ…来い、来い。)


玉の一つがメルに触れた。


急に男が叫ぶ。



「ストレングスリバース!」

(強者から弱者に反転。)


メルの様子が変わる。


白き屈強な肉体が徐々に

小さく緑色に変化していく。


腕は細く肉体は非力。


以前のゴブリンへと姿が

変わってしまう。


フグエルレンが慌てて近寄ると


同じく玉に触れてしまう。


小さき身体がより小さくなる。


とかげの姿に変わってしまう。


男は笑いながら玉を自分に当てる。

「ダメージリバース」

(致命傷から通常に反転。)


メルが与えた傷が消えてしまう。


そして右足で思い切りメルを蹴飛ばす。


メキィィ!


軽く非力なメルは8メートルほど飛び地面に転がる。


「ハッ、ハッ、ハッ、飛んだ、飛んだ!」


眼を凝らして笑う男。


また玉を造りメルに当てる。


「スペースリバース」

(遠距離から近距離に反転。)


メルが男の足元に転がる。


男はメルの顔を踏みつけ


「このフジサワ様の神聖な身体によぉ…。」


「よぉ、くぅ、もぉやってくれたよなぁ!」


無抵抗なメルの顔を、何度も、何度も踏みつける。


その度に何か砕ける鈍い音が鳴り、紫色の体液がドロリと地面へと流れ出る。


このマレビトの名は


フジサワカズオ


異世界に来た時に恩恵として


全ての理を変える”反転”リバースを授かる。


元の世界にいた時は半グレの

下っ端構成員であった。


弱者に対しては強く


強者に対しては媚びへつらう。


そして…。


その性格が災いとなりナイフで

刺され気が付くとこの世界


アルメーリアへと飛ばされたのであった。


そこからは良くも悪くも運良く

サガワノボルに拾われ

奴隷の国エデンを任される様になった。


「カハァ…ゲボォ。…。」


喉に体液が詰まり呼吸ができないメル。


「チッ…もう終わりかよ。」


「まぁいいや。エルフの小娘か魔族のガキどっちで楽しもうかな。」


玉を生み出すフジサワ。


「デッドオアアライブリバース」

(生から死の反転。)


ゆっくりとメルに落ちる玉。


結果を待たずにフジサワはエデンに向かい消えて行く


そして先程から隠れていた

カワサキユウトが勇気を振り絞り玉を弾こうとして玉に触れると…。


透き通って消えそうな身体に


肉体から戻って行く。


ドシャッ!


ぬかるんだ地面に立つユウト。


立ち方を、忘れたのか転んでしまう。


そして自分の手足と身体、顔を

ベタベタと触り

(あ、あ…、身体がある。)

歓喜に震える。


そんなカワサキに地面を這いずりながらメルが近付く。


「カワサキ…頼む。」


「カフエリ、フエン、仲間。」


「救う。手伝え。」


ユウトは全力で断ろうとする。


「いや、いや、いや無理でしょ!」


「メルさんだって簡単にやられたんだよ!」


「僕じゃ、瞬殺じゃん。」


当たり前の返答であった。


メルは初めて負けた。


しかも強者による怠慢。


油断によって敗北したのである。


ゴレゴレゴレゴレ…。


どこかで聴いた事のある不思議な音が鳴り響いていた。



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