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サヨナラ



小鳥がさえずり

朝だと心地よいメロディーを奏でる。


日射しが眉をしかめた

メルの顔を更に険しくさせた。


「まだ…!来ない。」


王宮前で待ち合わせの約束をしていたメルはちっとも来ない


グランとアユムに苛つきを感じていた。


「メル殿、お怒りは、分かりますが事が事だけに簡単にはいくまい。」



ソンガンが必死でなだめる。


機嫌が悪い理由はグラン達が

遅いという事だけではなかった。


メグラとユウが何処か他人事の様にしている。


カフエリとフエンの事を忘れているので仕方ないとは頭では理解している。


しかし、心が気持ちがモヤモヤするのである。


だが…実はメグラ達も何故か

心が落ち着かない。


片言で、一生懸命にカフエリとフエンの事をメグラ達に伝えようとしていた。


しかし記憶に無いのである。


メルが嘘をつくとは思えない。


恐らく真実だろう。


だからこそ、全く記憶に無い自分達に後ろめたさを、感じていた。


「ごめっん~待った!」


青く丸い形の服を着たアユムが現れた。


そして少し遅れてグランも

歩いて来る。


まだ本調子では、無いのだろう。


呼吸が荒く肩で息を吸っていた。


「アユム!遅い!!」


怒りの矛先をアユムにぶつける。


しかしそんなのはお構い無しで話を始めた。


「グウと色んなシュミレーションしたからね。」


「アユム。その名で呼ばないで下さい。」


また揉めている。


「早く!仲間、助ける。」


顔がより、ひきつり

足先をパタパタと動かす。


「分かったよ。じゃあ話すね。」


◆◆


メルに過去へと行った時の注意点と、やらなければならない事を伝える。


「メルがやる事。その1。」


「過去に着いたら、その環境と場所を把握する事。」


そう言うとメルに古ぼけた

世界地図を渡す。


「うっむ…。」


しかしメルは地図の読み方は

勿論、文字も読めなかった。


するとアユムがお腹に張り付いている布袋をまさぐる。


「チャラチャッララ、ラン!」


「何でも読めるゴーレム、

『GOMINI』。」


眼鏡をかけた小さい土人形を出した。


何故かグランがメルに使い方を

説明していた。


「メル。読めない字を指さしてこれに読んでと伝えてごらん。」


メルは地図の端っこに書いてある文字を指さす。


「読め。」


眼鏡をかけたゴーレムが

“カタカタ”と動き出す。


「これはこの世界の名前『アルメーリア』です。」


「他に聴きたい事はありますか?」


物凄く流暢に話すゴーレムに

ソンガンが驚いていた。


アユムは鼻を膨らまし


「まだ他にも機能があってね。」


「勉強モードや植物、魔物の種類なども網羅しているし他にも色々出来るから、何でも聞いてみな。」


すると「GOMINIです、メル様一緒に頑張りましょう。」


礼儀正しく挨拶をするのである。


思わずメルも会釈をしてしまう。


GOMINIはゴツゴツとした

石ころなのに何故か半袖、

半ズボンを身に付けている。



アユムは矢継ぎ早に話す。


「メルがやる事その2。」


「過去のカフエリとフエンの

居場所を探す事。」


メルは首を傾げて


「居場所、知らない。」


腕を組み悩む。


するとまたアユムは舌を出しながら、お腹の布袋をまさぐる。


「サーチペンダント!」


「この中には、小さくなったカフエリとフエンの武具『咜嚕(たろ)の武具』が入っている。」



「咤嚕の武具達は”血の盟約”を結んでいるからね。」


「持ち主との繋がりが強いんだよ。」


「光がカフエリとフエンのいる方角を示すよ。」


メルは銀色の水晶が付いている

サーチペンダントを受け取る。


アユムはまたニタニタ笑いながら布袋をまさぐる。


「ゴレフォン!」


「困ったらこれを使って連絡をする事。」


セントウで見たリトルゴーレムよりも小さい。


そしてお腹の部分に

ガラスの様な板が張り付いている。


それを渡されたメルは使い方が分からずにいる。


また何故かグランが説明する。


「この透明の板を指で触ると…。」


リトルゴーレムのお腹がぼわっと光る。


「おぉ、!」


メルよりも先にソウガンが驚く。


それを見て舌打ちをするアユム。


グランは気にせずに説明を続ける。


「そうしたら絵が出るからこれに触れる。」


「ゴレフォンの口に耳を当てて。」


すると…。


アユムの布袋から


ゴレゴレゴレ、ゴレゴレゴレ。と


不思議な音が鳴る。


布袋からピンクのゴレフォンを取り出す。


ゴレフォンの冷たく固い口を耳に当てている。


「メル、何か言ってみて。」


いきなり言われたので頭に浮かんだ言葉を話す。


「パン!」


(パン!)


メルと同じ言葉を

ピンクのゴレフォンが話す。


「会話を止めたい時はゴレフォンの口を閉じてあげれば良いよ。」


ソウガンが物欲しそうに見ている。


アユムは無視をしていた。


「もし使い方が、分からなければGOMINIに聞けば、教えてくれるから。」


「一つだけ、ゴレフォンの指が3本立っていれば使えるけど…。」


「立って無いと魔電波が弱いから使え無いよ。」


メルはゴレフォンの指を見る

元気に3本立てていた。


「最後の一つ…。もしメルが

が死んだ時。その時は…。」


「グランと僕が死んじゃうから頼むね。」


その一言にメルとソウガンが

驚く。


「何故、ですか?」


立ち聞きをしていた

クラウディアがいきなり話に割り込む。


グランが答える。


「詳しくは言えないけど、代償だよ…時をいじる為のね。」


「流永の鴉と契約したんだよ。」


「暝砡の者と流永の鴉は昔から強い繋がりがあるからね。」


そして古びた本を見せる。


かび臭く表紙も汚れている。


クラウディアが開いて読もうとするが身体を弾かれた。


「鴉を封じていた魔本さ。」


「もう契約したから開けないよ。」笑って話すアユム。



メルはクラウディアに


「ユウ、メグラ、グラン、アユム、仲間。」


「頼む。」


頭を下げる。


そして…。

大切にしていたマロエの花が刻まれた

ペンダントをクラウディアに渡す。


クラウディアは一目見てそれが連れ去られた

母親の物だと気付く。


「何故…メル殿が、…。」


メルは片言でも必死で

メルフォードクラウディアに紅き瞳を持つ

女性の最後を話す。


クラウディアは、ただ黙って聴いていた。


そしてメルがただ一言「すまない。」拳を強く握り締め伝える。


そしてクラウディアが持っていた黄金の剣を

渡し背中を向けたのである。


激しい怒りと淀んだ憎悪が涌き出る。


黄金の剣を構え静かに背中を向けたメルを

"断罪"というものを与えようとする。


だが…。

それができなかった。


メルもまた母を悪に奪われた犠牲者だったのだと…。


クラウディアは黄金の剣を地面に突き刺し

騎士の誓いをたてた。


グランとアユムは"それを"

見届けると流永の鴉を呼び出す。


鴉の姿は見えないが


目の前に日の光を反射して

青く透き通る様な扉が現れた。


そこを開けるメル。


過去に行く為に。


仲間を助ける為に。


二度と帰れぬと二度と会えぬ

仲間を背に中へ入る。


(ワシを置いて行くな!)


綠炎の鱗を持つフグエルレンが

扉の隙間を目掛け飛んで来た。


メグラもユウも走って来る。


メルはその姿を見て口角が


上がって心が暖まるのであった。


口から勝手に言葉が出てくる。


「さよなら。」


メルの新しい冒険が始まる。




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