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二章、〔漂流者編〕アク

前回のあらすじ


紅き瞳を持つ女性から産まれたゴブリンのメル。

目の前で母親を喰われ同じ化物には、ならないと葉と木の実を食し肉を喰らう事を拒んだ。


しかし、弱き者であったゴブリンのメルは、

それ故に仲間の化物から命を狙われ

ゴブリンの根城から逃げる。


逃げた先で偶然にも人間族の奴隷として

不当な運命を過ごす、


後に仲間となるカフエリ、メグラ、ユウ

フエンと出会う。


彼らを最悪の運命から救い出したメルは

特殊な進化を遂げ(ホーリーゴブリン)白き化物となった。


成り行きで死滅の賢者グランの修行を

乗り越え強くなったメル達。


グランから西の都マルビロに行けと

手紙を渡されギルドに所属したメル達は

マレビト(異世界人)アユムから与えられた地獄を乗り越え覚醒するメル達。


世界を混沌とさせる神と名乗る異世界人と戦うのであった。





















都は今、飲めや、歌えやの

お祭り騒ぎであった。


「いやぁー。あいふらは、やるやふらと、おもっらよ!」


ラム酒のジョッキを片手にほろ酔うリグルアが語りだす。


(やベェ、また始まるぞ…。)


「ウィッ、さいしょりよぉ。」


「おらはユウヒャてきいれよぉ。」


安い酒と余り歯を磨かぬ男の

臭いが鼻の奥を突き刺す。


いつしか周りに誰もいなくなる。


何故この様な騒ぎになったのか。


それは自由の国マルビロへ


死霊軍10万、ディロア軍4万の

計14万の大軍が取り囲む。


一方マルビロの兵士は

総勢7万。


数で劣るが普通の者相手であれば屈強なマルビロ騎士団達ならば退けられた。


しかし敵将が

勇者メルフォードクラウディア。


そして神の一人であるマレビトの

カワシマソウ(ダークナイト)

なのである。


とても太刀打ちなどできなかった。


その巨大な大軍相手にたった

五人で立ち向かい圧勝したメル達。


真の勇者一行が、現れたと

大騒ぎになるのも当然であった。



都が熱気と伝説に浮かれている頃…。


王宮では、不穏で重苦しい空気が流れていた。


それは捕虜となった人間族の

ディロア軍そして…。


勇者クラウディアの処遇に

ついてだった。


「人間族は無抵抗な我々の同士を弄び殺した。」


「決して許すまじ!」


「重い刑罰を望みます。」


獣人族達が怒りを憎しみを

ぶつけるのは当然であった。


たとえ人質を取られていても

無抵抗な弱者を好きにして

良い道理などあるわけが無い。


勇者メルフォードクラウディアは自分の首と引き換えに

ディロア軍4万を解放して欲しい

と伝える。


グランも必死で減刑を求めている。



マルビロ王は悩んでいた。


「俺も、お前ら人間族を許せねぇ!」


「仲間も。親も。妹も。好き勝手した奴らが何で…。」


唇を噛み締め、ぶつけようのない怒りと憎しみをメグラが必死で抑え話す。


(減刑は難しいか…。)


すると口に一杯のパンをくわえたメルがいきなりメルフォードを殴り飛ばす。


その光景は、凄まじい。


武器を取られ魔法を使えぬ様に拘束までされている者に容赦なく殴り続ける。


血は飛び散り、歯が抜け落ち


骨が折れる。


鉄の様な臭いとグチャベキ。

という音が響き渡る。


「かぁはっ!、…。」


「それで良い、どうか部下達だけは…。」


クラウディアは意識が絶えそうになりながらもまだディロア軍、仲間の身を案じそのまま気絶する。


すると今度はその場にいるディロア軍達全員を容赦なく殴り続ける。


無抵抗な者をいたぶっていた。

メルからは一切の感情を感じさせない。


(ぐぅあは。)(があはぁ。)


兵士達は皆骨が折れ肉は裂けていた。血が話し合いの場を赤く赤く染める。


「メルも悪。」


「首、はねろ。」


そういうと、どこからか持ってきた銀色の剣をメグラの方に放り投げた。


メルはメルフォードの前に座り


メグラに頭を向ける。


「ふざけんな!お前の…くそぉ!」


メグラは大理石の柱を拳で砕く。


砕け転がる石ころがカタっと淋しげに鳴る。


手から流れる血が涙に見えた。


獣人族の子供が銀色の剣を拾い「母ちゃんの仇だ!」と泣きながら殴られ、倒れる

クラウディアの胸に刃を向け突き刺そうとする。


メルがその刃を素手で掴む。


銀色の剣に血が伝う。


そして自分の胸に突き刺した。


「あぁわ、!」


突然の行動に柄を握っている、

子供はあわてふためく。


どくどくと流れる赤い液体。


「死ぬ。殺す。同じ!」


「守る。死ぬ。痛い。同じ…。」


泣く子ども相手に何かを必死で伝えようとするメル。


青ざめたユウがメルの傷口を

ふさごうとする。


それを拒むメル。


「メル!あんたが死んだら許さないから!」


深手を負うメルを殴り


治療を続けるユウ。


流れる血が止まらない。


徐々にメルの瞳から光が消えていく。


獣人族の子供は自分の手に付いた赤いものを必死で床に擦りつける。


息が絶えだえのクラウディアが


「拘束を、…解いてくれ。」


「僕なら、治せ、る。…。」


メグラの瞳を真っ直ぐに見つめる。


「メルを死なせたら俺が殺す。」


クラウディアの拘束を解く。


聖なる波動がメルを包む。


ユウの力とは異なるものであった。


傷口がみるみると塞がっていく。


「メル、メル!起きるんだメル!」


心から叫ぶクラウディア。


いつしか獣人族も同じ様に


メルの命が助かる事を祈り始める。


「ぷはぁ、生きてる!」


「死ぬ、思った!」


意識を取り戻したメル。


安堵と怒りで


メグラには殴られ


フエンには泣きながら殴られ


カフエリには「あんたは一体何がしたいの?」と殴られ


ユウには本気で殴られた。


先程の冷たく重い空気が消える。


安堵の息と笑い声が木霊する。


殴られているメルの口角は

上がっていた。


メルを刺した獣人族の子供が震えながら近づく。


「ごめっ…そんなつもり、なかっ。…。」


仲間達からの暴力を受けた

メルが痣を擦りながら


「痛くない。平気。」


と笑う。


だが…彼らの暴力は、どこか

温かく何故かメルの心を

奮わせる。


それを聞いて尚更「当たり前だ!」の一言と共に暴力が

増すのであった。


マルビロ王が愛用の(ヴァルキリー)の持ち手を大理石の床へと

ぶつける。


ガキィィィンン……!


「皆の者、この者達の処罰を申し渡す。」


「未来永劫、マルビロの発展と平和を守る為に尽力を尽くす事とする。」


「その責任者にメル!そなたが担うが良い。」


「勇者メルフォードクラウディア!」


マルビロ王の鋭く重い眼光が

クラウディアの心に深く鋭く突き刺さる。


(僕は…極刑だな。部下を守れればそれで…。)


「お主の罪は大変重く決して許される事はないだろう。」


「そこでクラン月の雨を己の生涯をかけて支え、幾多者、種族の橋渡しをメルと行え。」


それらを伝える終えると

マルビロ王は、現在獣人族の長

である”老師”に視線を向ける。


小さく頷く老師であった。


そして無造作に置かれた銀色の剣を見詰めるマルビロ王。


(何故"絶ち切りの聖剣"が…?。確か、宝物庫に保管してある筈だが…。)








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