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ヒトツ



喉が渇き水差しに手を伸ばす。


寝たままで取ろうとしたからだろう。


ガシャーン。


水差しを床に落としてしまう。


「あ~あ…いい加減起きるか。」


下着姿のユウはレザーブーツを履き修道僧のロープを纏う。


そしてまだすやすやと寝息を

たてているフエンを叩き起こす。


「!。」


「もう昼過ぎだからね。」


「フエン、ちゃんと顔洗って

起きるよ。」


渋々フエンは、蛇の紋様が刺繍されている悪趣味なロープを

纏う。


(服屋に行かないとね…。)


ユウはフエンの服装を見て決心する。


するとドタドタとうるさい足音がする。


(あの子達は、全く!)


扉をノックする。


(あの子達も多少礼儀を覚えているのね。)


感心しながら扉を開ける。


大きな布袋いっぱいに

沢山のパン。


そしてマルビロの名産である

木箱に入っている黄色い果実(

セイモ)を運ぶメル達であった。


「あんた達それ、どうしたの?」


カフエリが

パンをベッドに下ろし

腰を伸ばすと経緯をユウに話した。


パンはドブさらいをしたメルとメグラに感謝をした民達が


持って来てくれたとの事。


どうも噴水前の様子を見られていたらしい。


パンが好物だと都中の者達が話していた。


柑橘系の黄色い果実セイモは


争いが絶えず続くマルビロ。


大量の薬草が届いた事で

兵士達の傷が癒され

無事に帰還できたお礼にと

兵士達の実家からのセイモを

渡された。


話しが見えないユウは


コップの底に残っている水を飲み干すと頭の中で整理をしていた。


「用はあんた達だけで依頼をやった。」


「そういうことね。」


カフエリ達はそうだと頷く。


メグラは尾を立てて褒めて欲しそうにしていた。


ちょこんとメグラの後ろに座る。


フエンが代わりに頭撫でていた。


まんざらでもない様子である。


獣人族の誇りなどあるのだろうか…。


コツコツと聞き慣れない足音が聴こえる。


ドンドン。


扉を乱暴に叩く音がする。


「あの…、報酬の計算が終わりました。」


受付のマリが重そうに布袋を

運び床にドンッと置く。


「では必要書類に記入をお願いいたします。」


マリはそう言うとペンをユウに渡し3cm程の分厚い書類を置いて出ていく。



メグラは我先にと布袋を開ける。


中には銀貨が三百枚程あるのだ。


銀貨三百枚とは…


兵士の平均月収が銀貨三十枚。


その十倍である。


パンで言えば天文学的な個数を

購入できる程である。


メグラは1度はやってみたかった。


そう言うとベッドに銀貨を全て出すとその上で楽しそうに寝転がる。


メルも真似をする。


ゴツゴツして痛かったので直ぐに止める。


フエンは銀貨を両手で掬い

笑っている。


カフエリはパンを頬張っていた。


書類をひたすらめくり

必要事項の記入をしていたユウはペンを放り投げたくなる。


しかし後ろで喜びはしゃぐ者達をみると(やるしかないか…。)


覚悟を決めてペンを握る。


フエンも文字の読み書きが

出来るので手伝う。


メグラも手伝おうとするが

ぎっしりと文字が書かれている書類をみて眼が回り諦める。


メルはカフエリに教わりながら

以前に購入したシンブンの文字を読んでいた。


各々の時間を過ごしていた

その頃…。


王国ディロアでは不穏な空気


が漂っていた。


人間族の王

『ディロア・バブライ』は

獣人族の住まう最後の都

ミンガに攻めいる。


そして戦士ならいざ知らず


弱き民、女、子供、老人


全てを焼き払い使える者は

奴隷として扱う。


そしてその軍を率いる筆頭には


紅き眼を持つ

メルフォードクラウディア

が指揮をとっているのであった。


「人間以外は全てゴミだ!」


「この世界は人間族のためにある!」


「国を一つにするのだ!」


果たして彼は勇者なのだろうか…。



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