イイコト
蒸し暑い、寝ている者達の
熱気がこもる部屋の窓を開ける。
ファ、サァ、…………。
「あぁ、良い空気!」
カフエリが外の新鮮な空気を
肺の中に取り込む。
「……、、…。」
まだ眠いと眼を擦るフエン。
「あとちょっと…。」
肌着と下着姿で眠る、女を捨てたユウ。
「あれ…メル達がいない。」
カフエリは耳をすます。
…!…!…!…!………!
メルとメグラは早朝から
マルビロの観光と鍛練をかねて
走り混み戻って来た。
ガチャガチャ!
「ただいま!」
「た、だいま。」
汗だくの男達が蒸し暑い部屋をより暑くする。
「ちょっと!汗臭い。」
「汗流してきてよ!」
カフエリがメル達に怒る。
「あんたら…、うるさい!」
眠りを妨げられたユウが
ボサボサの赤茶毛を逆撫で
メグラ達を部屋から追い出した。
(何で私まで…。)
カフエリは、メグラ達を睨む。
鈍感なメグラも流石に危険を
察知する。
メルを連れて井戸がある方に
向かうのだった。
ギルドの裏手にある古井戸の水は地下深くから流れていて
とても冷たい。
汗を流した二人は凍え寒さに
震えていた。
(やベェ、忘れた。)
急に部屋から追い出されたのである。
故に濡れた身体を拭き取る物を
用意していなかった。
二人は、濡れた身体でヒタヒタとギルドの中に入ろうとする。
「はい、これ。」
受付のマリが二人をみかねて
布巾を渡す。
「あり…が、とう。」
暖を取ろうと二人は布巾を
取り合いメルが負ける。
先に拭き終えたメグラは
ギルドへの依頼書が
張り付けられた木の板を眺めていた。
(う~ん…、良いこと、思い付いた!)
使用済みの布巾を握り締め
マリにお礼を伝えるメル。
「なぁメル!」
「俺達だけで、最初に依頼やってみないか?」
メルは
「イライ?何だそれは。」
首を傾げて話す。
予想通りとメグラは話しを続ける。
「なぁに困った人を助けて金を貰うんだよ。」
「ひ、と、だ、す、け。」
端から見ていたら子供を騙そうとしている悪童の姿であった。
すると「き、い、た、わよ!」
不敵な笑みを浮かべた
カフエリが椅子に座る。
「私もやるわ!依頼。」
メグラは予想していなかった
援軍に心を弾ませた。
「おぉ、若人達よ元気で宜しい!」
リグルアは二日酔いなのか…。
頭を抑えながら酒臭い息を
吐き散らす。
その姿は駄目な大人代表である。
メルは「依頼、やる!」
と眼を輝かせ、リグルアに伝える。
(まぁ働いてくれるなら…。)
リグルアはメグラ達と”周囲”に
危害が無さそうな依頼を探す。
(う~んサイレントウルフ討伐…。)
(場所は…カンラマ平原。)
(ここから10キロ位あるか…。)
(これでいいか!)
メル達の方を振り向き
一枚の依頼を渡そうとすると…。
「一番、困ってる、どれ!」
メルがリグルアに詰め寄る。
「あぁ困ってるというか…。」
「人気が無くてやりたがるやつがいないのがあるな。」
180cm以上の優男に詰め寄られる。
複雑な心境でリグルアは話しを続ける。
「ドブさらいはしんどい割に金にならん。」
「薬草探しは完全出来高次第だな…。」
「ずっと依頼はあるが誰もやらん!」
メルは「それ、やる!」
それを聞いたメグラ達が全力で阻止をする。
しかしメルは意見を曲げなかった。
カフエリとメグラはジャンケンをした。
結果…。
カフエリが薬草探し
メグラとメルがドブさらい
に向かって行くのである。
そしてこの日三人は伝説を残す。
カフエリは薬草を3t
見つけ。
メグラとメルは最短記録三時間で都中のドブをさらい。
三人は(初心の神)として崇められるのである。
その背景では…。
リグルアとマリが薬草ミロイの報酬計算。
そして本来なら一週間はかかるドブさらいの報酬計算に頭と身体が悲鳴を上げていた。
余談だが…。
この日の号外には
こう書かれていた。
都の空気が綺麗になり疫病に苦しむ民が減り
カンラマ平原周辺には薬草を
1本も見なくなったという。




