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ペテルギウスに知らせて

作者: 夏蜜
掲載日:2025/12/31

 真っ赤に輝く星を見つけてごらん。それはペテルギウスと言って、オリオン座の一等星で、冬の大三角を形成しているんだよ。


 今日の昼間に届いた兄からの手紙には、綺麗に整った文字の下に、簡単な星座の絵が添えられていた。

 コトリは二階のベランダに立った。彼は寒さを堪えながら、澄み渡った冬の夜空を見上げる。キラキラと星が一様に瞬き、少年の眠たげな瞳を一瞬にして見開かせた。

 手許の絵は三角を結んでいる。こいぬ座のプロキオン、おおいぬ座のシリウス、そしてオリオン座のペテルギウス。赤い色鉛筆で塗り潰されたその星を探すために、コトリは広大な夜空を見回した。

「兄さま、兄さまの言う星はどこ?」

 流れ星がつうっと、少年の視界をよぎる。目で追うまでもなく、流れ星は儚く消えてしまった。その余韻が残した場所に、煌々と赤く燃える星を見つけた。コトリは思わず手を伸ばす。

「あったよ、兄さま。手紙の代わりに、ぼくがあの星をプレゼントするね」

 握ったり開いたりする指の間からは光が溢れるばかりで、一向にペテルギウスは掌に収まる気配がない。少年は掴めないと知ると、ようやく諦めて腕を下ろした。

 流れ星がまた現れ、今度は長く尾を引いて三角形を通過する。病床に臥せている兄が、年の離れた弟のために応えてくれたようだった。コトリは、いつの間にか涙ぐんでいた。

「兄さまが今、同じ星を眺めてらっしゃると想いますと、コトリは胸がチクリとするのです。兄さま、早く貴方に逢いたい……」

 流星群が止めどなく目の前を横切る。ペテルギウスを眺めるコトリの頬には、星屑色の涙が伝っていた。

 




 

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