第83話おっさん、超(スーパー)
さて2ラウンド。
1ラウンドの終わりで少し俺の反撃を許したが、まだまだライオの猛攻は健在だ。
ついでに外野のお友達たちも元気だ。
まあ俺もちょいちょい煽ってるしな。
インターバルであいつらにグローブ向けてからこめかみの辺りトントンして、「あいつら頭オカシイ」のジェスチャーしたり、試合中隙を見てグローブの甲向けたり。
やるべきことはしっかりやってるからな。
しかしそれも今度は2分を過ぎる頃、陰りを見せ始める。
ライオがさっきよりも少し早くへばってきたからだ。
ライオの元気と比例するのだろうか。
応援なんだから、そういうときこそ元気出せよと思うが。
こうなると俺の反撃の時間だ。
大してダメージのないジャブを入れていく。
傍目にはふつーのスピードのジャブだ。
だが滅多打ちってわけでもない。
ライオもまだまだパンチを打ってくるし、足も生きてる。
それでも大振りも増えたし、隙も、息切れも分かりやすく表に出てきている。
「はっ、効いてるじゃねぇか」
今度は俺から煽っていく。見当違いな感じで。
「てめぇのジャブなんか効くかよ」
「じゃあ、お疲れか?もっとダセェじゃねぇか」
「っせぇ!
チッ、ちょこまかとっ」
言うたび俺のジャブはパシッと入り、ライオのジャブやフックは空を切る。
そんな感じで2ラウンドも終了。
インターバルでは彼らに向かってシャドウボクシングしたりしてみたがどうも反応が薄い。
ライオと一緒に元気がなくなってきているらしい。
そんなしょんぼりされちゃあ、俺が喜んじゃうぞ?
そして3ラウンド。
1分のインターバルじゃどうにもならなかったのか、最初からへばった状態だ。
いや、それでも30秒くらいは頑張っていた。その状態での30秒は長かっただろう。
だがこっからはもっと長いぞ。
まだ腕は上がっているが、オレは右から、左から、ジャブを入れていく。
「クソッ、こんなのいくらもらってもっ・・・!」
とは言うが、へばっているから説得力がない。
それに、触れているだけ、ちょっと押しているだけとは言えボクシンググローブを顔にもらっているのだ。
全く効いてないということもないだろう。
まずボクシンググローブってやつはそこまで柔らかくない。
最初ゲーセンのパンチングマシーンに付いてるやつを想像してた俺はその硬さに驚いた。
しっかりした皮、あるいは合皮のある程度しっかり硬い、張りのある表面なのだ。
どう使い古してもゲーセンのやつになるイメージは湧かなかったので別物だろう。
こんなので殴り合っていたのかと思ったものだ。
それでも最初はダメージはほとんどなかっただろう。
そういうふうに器用さんを駆使して当ててるからな。
しかし、俺がグローブを当て続けた箇所は腫れてこそいないが赤くなっている。
それに少しとは言え押しているわけだから、意図しない方向に押されたことで体力も奪われているだろう。
実際へばってきているしな。
それに効いていようがいまいが、パンチをもらうストレスはあるだろう。
対等に打ち合えているのならともかく、自分のパンチはすべてかわされ、喰らうのは自分ばかりだ。
焦りもでてくるだろう。
しばらくそんな感じで打ち合っていると、
「クソッ、当たりさえすればっ」
きた!
そのセリフなら言いたかった言葉を返せる。
―当たらなければどうということはない―
なんの疑問も持たずにそのセリフを言おうとした。
しかし俺に電流走る――!
今、ここでは、もっとふさわしいセリフがある。
これも俺の死ぬまでにいいたいセリフランキング上位にいるやつだ。
それを思いついてしまった今、さっきのセリフは何ならここで言うには無理やり感があるようにも感じる。
ただ、今思い付いたこのセリフは言ったが最後、俺にもリスクが生じるセリフだ。
だがしかし。
思いついてしまった以上、言わずにはいられなかった。
「当ててみろよ」
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