第75話 おっさん、ルナティックは無理
「ただ全く懸念がないわけでもありません」
「ん?テンション上げたところで落とすなんてよくないぞ?」
「いえ、大した影響でもないのですが、やはりシリコン半導体の従来型ですと、材料調達に限界があります」
「おう、シリコンってことはケイ素か。レアメタルってわけじゃなかった気がするが・・・」
「はい、ですが主な材料は輸入に頼っています。国産のパネルもありますがシェアは低いです。
今回の性能アップは一部モジュールの改善やウエハーの加工によって達成しています」
「おう、わからん」
「加工はしていますが、材料は輸入に頼っているということです」
「おう」
「ですが、別の方式、ヨウ素を使うのですがこちらは国産が可能です。
そちらも同様に研究を進めており、前者に匹敵する性能を実現しております」
「つまり?」
「従来の方式では材料調達に限界が見えましたが、新方式では解決しています」
「じゃあ懸念ってほどでもないじゃん」
「はい、ですので最後にお伝えしました」
「じゃあ、どんどん進めていいってことだよな?」
「はい、大丈夫です」
そうか、それなら良かった。
しかし、日本のエネルギーを掌握するにあたり、気になっていたことがある。
「これって結構社会的に影響でかいよな?」
「はい」
新しい技術ぶっこんで金稼ごうってんだから、そりゃあ影響があるのはわかっていた。
特にこういった新しい技術などはそれまでの技術を駆逐してしまう。
つまり・・・
「特に影響が大きいのは、競合の、それこそエネルギーやバッテリー関連の会社やその下請けでしょうね」
そう、ウチだけでこの技術を独占しているわけだから、今までのバッテリーやソーラーパネル関連の会社は大打撃だろう。
そしてウチのソーラーパネルが普及してしまえば既存の電力会社も縮小せざるをえないだろう。
また、バッテリを搭載している商品を売るような会社ならバッテリーの発注先をウチに変えるだけだろうが、変えられた方、既存のものを作っている人たちは堪らんだろう。
ソーラーパネルだって工場があるだろうしその部品となれば多くなるだろうし下請けも多岐にわたるはずだ。
子会社でも作って、買収していくか?いや、色々ウチから委託すればいいだけか。
コアな部分、それこそ研究、開発での技術確立や、重要部品の生産だけウチでやっで、他の部品の生産や組み立ては委託してしまおう。
ソーラーパネルなんかは販売や設置、メンテナンスなどの維持管理も必要だからな。
全部俺の分身やAI搭載のロボットでやるわけにもいかん。
できないわけじゃないかもしれんが、そんなブラックどころかルナティックな働き方は嫌だ。
影響受けちゃう人たちの受け皿じゃないが、頼める仕事は頼んでしまおう。
別に弱者を虐げたいわけじゃないからな。なんなら前より好待遇や好条件で採用したり、発注したりできるようにしよう。
生産拠点も全国にあったほうがいいかもしれん。
いちいちこんな海無し県まで来させるわけにもいかんし、ここには秘密がいっぱいだ。
俺が転移でやってくるし大量のロボットが働いているし。
「うん、その辺任せられるような人を雇い始めてもいいな。どうせ、ずっと俺1人ってのは無理があるし。
開発はともかく、作って売るのは誰か優秀な人材をヘッドハンティングすればいいだろ。
変な野心や悪意の有無は鑑定先生で分かるだろうし」
「では、子会社の設立と、そのための人材の雇用は進めていきます」
「あとやはり、買収や提携とかでもいいかもな。パネルの元締めがウチになればいいだけの話だから、流通や販売経路をもう持ってるとこと手を結ぶのもありだ」
「そうですね、ただウチにはまだ実績がありませんので、いきなりの提携や買収は相手が応じないかと。パネルを持ち込んで交渉する手もありますが、最初は地道に設置していく方針になるかと」
「まあ、ゆくゆくはってはなしだな。
じゃあまずは各都道府県で、普及させていかないとな。
先着キャンペーンとかで格安で売ろうか。話題にもなりそうだし」
「わかりました。
各都道府県に支店を作って、キャンペーンを銘打って格安で一般家庭に販売していきます。
各都道府県で200件も設置するころには話題となるでしょう」
そんくらいやれば1万件にほぼ届くな。都市部は多めに売るか。いや僻地のほうが喜ばれそうな気もするが。まあ1万件も実績作ればたしかに話題にもなるか。
その間に生産体制や、販売、設置、メンテの体制を整えていけばいいか。
「そういやそのへんの許可って・・・」
パネルの販売もそうだが設置や工事なんかも多分いるよな。
「取得済みです。各都都道府県ごとに必要な許可もありますので、都度取得していきますがそのあたりの懸念は不要です」
優秀なAIで助かるよ。
「ではそちらも進めます。
各拠点にヒトに偽装したロボットをおいてもいいですか?見た目は完璧にヒトとして振る舞えますし、私からも操作できます」
「あまり『存在しないヒト』を増やしたくないんだが」
「あくまで、社内向けで対外にはほとんど使いません。
毎回作業内容がメールになるよりは上司から下されたほうが良いでしょう」
まあ、会社に私生活が謎な上司が居たとして、そいつのこと詳細に調べたりなんかしないか。
ましてや探偵付けたり通報したりなんてな。
「そうだな、じゃあそれで頼む」
「あと、先ほど開発はともかく、とおっしゃっていましたが、そちらもヘッドハンティングを進めてもいいかもしれません」
「そうか?」
「影響の話に戻りますが、彼らも影響を受けるでしょう。
自分の研究分野を一足飛びで越えていかれるのですから」
確かに。
「それと、既存技術の発展や改善はAIや鑑定が力を発揮しますが、ゼロからの創出、いわゆるひらめきなどはヒトの方が優れていると思います。
我々はリンゴが落ちても何も感じません」
最後の例えはどうかと思うが。
怒られるぞ。
俺だって落ちたなぐらいしか感じないわ。
「じゃあそっちも引き抜いて行こうか。
人間性はまあ、癖があるかもしれんが、さっきも言ってたように悪意とかあるやつは弾けるだろうしな。
渡す情報も取捨選択すればいいだけだし、最新技術に触れられるし、知識欲や研究欲にまみれた彼らにとっては最高の環境かもな」
よしよし、エネルギー分野で最先端を走る構想ができてきたな。
楽しくてしょうがないぜ。
あとがき(ただの言い訳です。ちょっと長いですし飛ばしても大丈夫です)
今回ちょっと蛇足が多かったかもしれません。
すごいパネル出来たよ!でよかった気もしますが、調べたことなどどうしても書きたくなってしまって・・・
ただ、事業的な許可とか技術の細かいところを書き始めるとテキスト量が膨大になるので今後はこまけぇことはいいんだよ!とか、AIが一晩でやってくれました。とかになると思います。
あとフィクションなので舞台は日本『みたいな国』であり、地球『みたいな世界』のお話ではありますが、「こんな許可が必要なはずだけど、新参には絶対ムリなはず!」や「技術的に〇〇なはず!」のツッコミはしてもらっても大丈夫ですし大変参考になるので作者は喜びますのでご遠慮なくどうぞ。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
今後とも拙作をよろしくお願いします。
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カクヨムでも連載中の作品になります。
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