第70話 おっさん、お節介おじさん
「お昼行きません?」
と声をかけてきた顧客の女性社員2人に対し、俺は、
「ん~、仕事でってことならいいですよー」
と応じた。
片方はAIが言ってた、俺のファンの娘みたいだ。
若干、線を引いた俺の回答にちょっと寂しげだ。
「ご飯食べながらシステムの使い勝手や不満や感想、その辺に答えてくれたらいいだけですよ」
「えー、どうする?」
なんか2人でゴニョゴニョ言ってる。
昼は仕事などしたくない人種の人だろうか。
「ランチミーティングってことなら経費で落とせるんですけど?」
「「はい!」」
魔法の一言でいい返事が返ってきた。
呪文:ケーヒデオトス
効果:相手は『はい』
ていう冗談はいいとして。
妻子持ちとしては建前だけでも仕事ってことにしておきたいのだ。
「じゃあ、うちの若手も一人連れてきますね」
さらに俺だけって状況を回避しておく。
仕事なうえ昼代を経費で落とすのだ、文句は言えないだろう。
確か、俺のファンだっていうおねーさんを悪くなく思ってるやつが・・・
(三好君と前田君ですね)
そうそう、その二人がなんとなくそんなカンジだよな~と思っていたのだ。
んで、昼に行けそうな方ってことは―
「三好、打ち合わせで昼いくから、急で悪いけど来れるか?」
確かコンビニ行ったり、たまに定食屋行ってるぐらいで弁当持参ではなかったはず。
前田は弁当持参だったはず。ザンネン。
「あ、はい、行けます」
同じチームの奴らから「いいなー」だの「三好ずりー」など言われている。
飯代が浮くことなのか、おねーさん方とのランチの方なのか、どっちもなのか。
特に前田の声だけ本気度が高い。
まあ、前田には悪いが三好くんの好感度アップ作戦でもやりますか。
完全に愉快犯というか面白がっておせっかいするだけだが。
(お任せください)
なんて頼りになるAIだろうか。
まずは店を決めなきゃいかんが、そこも含めいろいろ三好にやらせて好感度を稼ごう。
AIに出してもらった、どれを選んでも外さないことがわかっている店の候補3つから、三好に選ばせ、
三好の得意な分野かつおねーさん方にもハマる話題を振って、
さり気なく三好が有望株であることをほのめかし、
常に三好がトークの中心になるようにその場を盛り上げた。
仕事?そんなの、最初に2つ、3つシステムの感想聞いたら終わりよ。
俺は、俺のファンじゃない方の娘と二人が入れない話題でも話しておく。
最初は不満げだったファンの娘も、話題的には自分の好きな話題で、ご飯も美味しく、別に三好も普通と言えば普通だが、清潔感もある方だし、あとなにより歳も近い。
徐々にだが楽しそうに、笑いながら話すようになっていった。
ウンウン、最近若者のこういうの見ると応援したくてしょうがない。
歳、なんだろうな。
若いときは自分も一枚噛もう、じゃないが何とか混ざれないかと思っていたもんだ。
そーいった意味でも、まじで三好には頑張ってもらいたい。
後半は俺が話題を提供しなくても、三好がどんどん話しかけていって2人だけで盛り上がっていたから案外いい感じなんじゃなかろうか。
来るときは俺と三好の後ろにおねーさん2人が付いてくる感じだったが、帰りは三好がしっかりターゲットの隣をキープしている。
俺ともう一人の娘が前を歩いてるってだけかもしれんが。
これで俺のファン減ってくれんかなぁ。
その願いが通じたのか、
その日以降、三好と俺のファンだった娘が仲良さそうに話すところを度々見かけるようになった。
うん、よかった、よかった。
べっ、別に寂しくなんかないんだからねっ!
(マスター、もう片方の娘がマスターのファンになっています)
・・・別に嬉しくなんかないんだからね。
いや、マジで。
そして、
「お昼行きません?」
デジャヴュのように、昼前の俺に話しかけてきた2人。
ただ今回は構図が逆だ。
三好の彼女(まだ違う)の方が、新たなファンの娘のためにって感じになっている。
じゃあまたって感じで、呪文「ケーヒデオトス」を使うとやっぱり喜んでくれた。
しかし今度俺が呼ぶのは、
「前田ー、昼打ち合わせいけるか?」
前田の方だ。
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