第66話 おっさん、微睡みの中で
翌朝、目が覚めると俺は柔らかいものに包まれていた。
目の前に白く大きな膨らみが2つ。俺の片手はその片方にしっかり添えられている。
とりあえずもみもみする。
うん、よいものだ。
「ん・・・ふぅ」
それの持ち主はまだ起きる気配がない。
昨日、何度したかわからない行為が終わった後、俺たちは酷い有様だった。
終わったというか体力が尽きて続行不能だったんだが。
お互いどっちのどの体液かわからないもので全身グッチャグチャだったし、俺は歯型やら爪痕やらも酷く、エライザはエライザで、全身キスマークだらけだ。特に首筋や胸、内腿なんかは遠慮なく吸い付いたからな。
エライザが意識を手放し、俺も力尽きる間際、なんとか『清浄』だけかけた記憶がある。
それがどうなってエライザに包容されるような体勢になってるんだか。
寝てる間に俺が抱きついたんだか、エライザが抱きしめてくれたんだか。
まあいいや。
俺は顔をエライザの胸に埋め、抱きつくと、また微睡んでいく。
こんな幸せな二度寝はないだろう。
たっぷり堪能しなければと思ったがあまりに心地よすぎて割と早々に意識を手放してしまった。
そして次に起きたとき、今度は俺がエライザを胸に抱くようにして寝ていた。
エライザが起きた時に、同じように俺の胸に顔を寄せながら二度寝したのだろうか。
かわいくて頭を撫でてしまう。
そうしてしばらくするとエライザも目を覚ました。
「おはよう」
別に気まずいとかはないな。
お互い全部さらけ出して、全部吐き出してスッキリしたせいか、驚くほど自然に接することが出来た。
エライザは俺の顔を見てぽーっとしている。目の焦点が合ってないような、空間を見つめているような感じだ。
それでも現状を確認すると、俺にキスをしてきた。
そして、
「うん、おはよ」
そしてまたキス。
そして甘えるように抱きついてくる。ほっぺすりすりまでしてくる。
え、こんなキャラだったか?まあ、関係性は多少なりとも変わるだろうとは思ってたが。
しばらくされるがままになっていると、何回目かのキスのとき、エライザの目の焦点が急に合ったような気がした。
その瞬間俺と目が合っているなと確かに感じたからだ。
寝ぼけタイム終わりかな、と思っているとみるみるエライザの顔が赤くなっていった。
そして、俺から少し離れて後ろを向くと、
「・・・忘れて」
なんて言ってきた。耳まで真っ赤だ。
エライザが自分をどんなキャラだと思ってるか知らんが可愛い女の子でしかないんだよな。
「・・・ああ、俺も今やっと目が覚めてきたところだ」
俺は嘘をついた。
ふとそこで俺は気づく。エライザの腰や腕が所々少し赤いことに。
よく見るとそれは俺が掴んだ時の手の跡だ。
昨日の激しさを増した行為の中で、俺は遠慮なく、加減なく、掴んだり、押さえたりしたからな。
俺の視線に気づいたエライザはその視線から胸やお尻を隠そうとして俺をにらむ。
が、俺の見つめる先がどうやらちがうことに気づくと、やわらかい表情になった。
「いいの、好きにしていいって言ったのは私」
「でも、その、ごめ――」
言い終わる前にキスされてしまった。
「謝んなくていい、いらない」
「でも・・・」
「じゃあ、私にも謝れって言う?」
俺の肩に付いたエライザの歯型をなぞりながらそんな事を言う。
「っ!
・・・そっか、そうだな」
俺がこの傷をスキルで治したくなかったのと一緒
か。
俺もエライザも、あの行為で与えられた快楽で、興奮で、苦痛で、痛みで、全ての感覚で、精神をもちなおしたのだ。
ふと自分の精神状態に気を向けると、気持ちの落ち込みはかなり楽になっている。
人を殺したという事実は消えないし、今も思うところがないわけじゃない。
それでも、俺は前を向けるぐらいには回復できたのだ。
そう言えば悪夢も見なかった。
エライザに抱かれながら心穏やかに眠り、目を覚ますことが出来た。
エライザもそうだったらいいが。
今回は本当にエライザに救われてしまったな。
そういえば言っていないことがある。
「エライザ」
「なに?」
「来てくれてうれしかったよ。ありがとう」
エライザは一瞬呆けたが、その後見たことのない満面の笑みで俺に抱きついてきた。
「うん」
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カクヨムでも連載中の作品になります。
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