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第56話 おっさん、詠唱を考える

俺とエライザが顔を見合わせていると、馬車の近く、俺たちからは少し離れた場所からネツァリが声をかけてきた。


「おーい、シン!

ゴブリンくらいなら放置してって大丈夫だ!

特殊個体ってわけでもないんだろう!」


「ああ!わかった!」


言って俺とエライザは馬車の方へ戻っていく。

実際普通のゴブリンだったしな。そいつをヤッたエライザの魔法がいつもと比べて普通じゃなかっただけで。


一番近くにいたネツァリがあの様子なら、エライザの魔法の威力は誰にも気付かれていないだろう。


よし、ならまだ誤魔化せるな。まだやっちゃいましてないということだ。


エライザさえ消せば。


ちがう、エライザの弱みを握って脅せば。


いやちがう、エライザを惚れさせて俺の言うことなら何でも聞くようにしてしまえば。


いやいやちがう、普通に考えねば。


(いずれも可能です)


いいから!ちょっと引っ込んでて。


アホなこと考えた俺が悪いんだが。


まあ、普通にお願いすれば大丈夫だろ。


―――

――


相手がゴブリン程度だったのもあり、あの後すぐに、商隊は移動を再開した。


そして俺はまたエライザと話していた。


話題はもちろん今ホットなさっきの詠唱についてだ。


(ファイアアローなだけに、ですね)


ひまなの!?

AI(えい)は置いておいて、エライザと話を進める。


自作(オリジナル)の詠唱ってそんなに威力が上がるもんなの?」


「んーん、聞いてた話だと、1割増しとか、良くて2割」


「ふ~ん」


「・・・」


「バレたら不味いかな?」


「大丈夫だと思う、ファイアアローだけだし」


「そか」


「うん」


ほな平気かー


「他にはないの?私(ウインド)系も使えるの」


「別に考えてもいいけど、それでも威力上がっちゃったらどうすんの?」


「ネツァリたちは喜ぶかも」


「なんでいきなり威力が上がったんだ?ってならない?」


「わかんない。なるかも」


ほなあかんやないかい。

この娘ちゃんとしてるようで意外とほわほわしてるぞ。


駄目だこいつ・・・早く何とかしないと・・・


(それだとエライザの寿命が半分の半分に・・・)


今日、なんでそんなボケるの?

いいんだよ、そこまで忠実に進めないから!俺だって最後死んじゃうじゃん。


しかも立ち位置的に殺しに来るのお前じゃん。


(何とかするとしてどうしますか?残りの往路でより仲良くなって、今日の宿で骨抜きにするのが一番平和ですが)


ふつーにバレないようにお願いするんじゃダメなの?


とりあえずお願いしてみるか。


「できれば、あんまり大げさにしたくないんだけど。

考えるのはいいけど、こっそりとかメンバーにバレないようにとかできる?」


「できる」


即答かよ。フンスって感じなのが不安をあおるんだが。


「だから、ウインドアロー」


また目がキラキラしている。


「えー、じゃあ・・・


『万象にそよぐ囁きよ、集いて重なり全てを引き裂け』


とか?」


俺だってまあまあ恥ずいぞ。


「万象(笑)」


「あ、そーゆー態度なのな」


「さっきシンが言ってた。半笑いかこらえるのが正しいって」


そうだったか。

確かにおかげで恥ずかしさは減ったか。


「まあいいわ。実際言うのはエライザだしな。どうだ?」


エライザは一瞬そう言えばそうだったみたいな顔をしたが、すぐに詠唱について考え始めた。


「うーん、ウインドカッターもあるんだけど、そっちっぽいかも」


「あー、かもな。

じゃあそっちで使ってもいいんじゃね?

どうしてもアローなら『全てを~』を『突風となれ』とか『見えざる刃となれ』は?」


「うん、刃の方かな、イメージに近い。そうする」


どうでもいいが素直だなこの娘。

またぶつぶつ詠唱のおさらいを始めた。

と思っていると、


「あ、でも突風も使いたい。

エアプレッシャーっていう妨害の魔法もあるんだけど」


貪欲ですね。

まあ、楽しいよね、こういうの。


「やっぱりこの最初の一節が魔力集めるイメージなんだよね?」


「ん?まあ『集いて』ぐらいまではそうかなー」


「もしかしてそれかも」


「ん?何がだ?」


「強くなったの。

教本のウインドアローも『風の刃よ、敵を撃て』だから。

魔力集中みたいな節はないの」


あー


「あと矢のイメージも具体的に教えてくれたでしょ。

それもかも」


なるほど、集中のプロセスやイメージが大事みたいなよくあるやつか。


つまりオタク(中二病)チートということか。


「そうか、まあそれも要検証だな。

まだファイアアロー1回しかサンプルがないし。

そのへんはおいおい教えてくれればいいよ、バレないように使ってくれよ?」


「うん、ネツァリ達に聞かれたら気合入れたって言えば大丈夫だと思う」


そんなんで、大丈夫なんだろうか。


まあ不安だが任せるしかないな。


さっきはこのタイミングで試し打ちの相手(ゴブリン)が出てきてくれたんだが、今回はそんな都合のいいことは起きなかった。


その日の夕方頃、特に問題もなく、俺達は目的地の街、ツヴァイクロスに到着したのだった。



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カクヨムでも連載中の作品になります。

https://kakuyomu.jp/works/16818093080286722080

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