第42話 おっさん、ガキが怖い
「お前、経験者だろ、ボクシングじゃなくても、なんか格闘技の」
と聞いてきたのはリュウ君、じゃなくてリュウだ。
「いや、まったく」
「はあ?ぜってえウソだろ」
経験者になら歯が立たなくてもいいと思ってる感じか?
「ああ、施設のガキどもとの喧嘩は格闘技に含まれるか?」
「ふざけてんのか」
「いや、結構マジで。
恐ろしいぞあいつら。
こっちが年上だと思って加減を知らねぇから。
平気で棒切れ(プラバットとかプラ刀とか)持ち出すしな。
結託して囲んでくることもあるぞ。
そのクセ泣かせたり怪我させたりしたら怒られんのは俺だ。
動き読んでいなすってのはそこで学んだかもな」
施設の~ってのは嘘だがあとは割と事実だ。
2児(男子)の父は伊達じゃない。
子どもの友達含めた多人数はマジで厄介。
それこそ、よそのガキ怪我させらんねーしな。
あと流石に異世界でゴブリンと戦ってますとは言えない。
アタオカ認定されてしまう。
「俺の相手はガキとのお遊び以下ってことかよ」
「あーいや、そういうわけじゃ・・・ってか別にいいか、タメだし。
そーだな、ガキ相手のほうが恐ろしいわ」
俺は気を使うのを止めた。
「・・・まじかよ」
「まじまじ。
相手はルール無用で武器あり加減無し多人数、こっちは怪我させない、泣かせない縛り。
ボクシングのルールで初心者と1対1のが楽。よゆーすぎ」
「・・・おう」
なんか引いてるが割とマジだ。
チートで動き解析しといてと思うかもしれんが。
「だいたい、リュウは視線で狙いが分かるし、動きも単調でステップもワンパターン、しかも体力無さすぎ」
「え、急にすげー言うじゃん」
「え、タメだしもういいかなって。
つか、ガキどもはフェイントっつーか予想外の動きばっかだし、泣いたふりとか平気で使うし、突きを覚えたときは戦慄したぜ、顔も平気で狙ってくるしよ。
体力も底無しかと思うほどあるし、それが尽きるまでさっきのルールで遊ぶんだぞ」
「・・・」
とうとう黙っちゃったぞ。
「おい、負かした相手あんましヘコますなよ」
なんかトレーナーが来た。
「ヘコましてないですよ」
「ガキ以下だって言われたっす」
俺とリュウが同時に答える。
え、おまえトレーナーに対してはそんな感じなの?
ってかチクりやがった、こいつ。
不良の風上にも置けんな。
と思ったら全然不良ではないらしい。俺が見た目で勝手に思い込んだだけだった。
全然ってことはないだろうが。
今はトレーナーに弁明しないと俺が悪者にされそうだ。
なので施設のガキどものはなし(ウソ)をトレーナーにも説明する。
―おっさん説明中―
「おう、すげーな。
まあなんとなくイメージもつくっつうか経験あるけど、そこまで激しいのはなかなかだな」
「でしょう?」
「まあ、ボクシングに活きるかは怪しいけどな。
ガキの頃からって考えると運動神経は伸びそうだが。
リュウはそんな気にすんなよ、お前ら体格似てるけど階級だと2つか3つ違うからな。
スパーだし初心者同士ならって思ってやらせたがその差は結構でかいぞ」
「うっす」
リュウはまだ納得できてなさそうな感じだが。
『でかいからって強いわけじゃねぇ』ってのは色んなバトル系のアニメや漫画でよく聞く言葉だが、実際は『でかけりゃ強い』のが事実だ。
中学理科の運動エネルギーで習ったが重けりゃそれだけ動くエネルギーも大きくなる。
物理法則がすでにでかけりゃ強いを証明している。
当然強さはそれだけじゃない。
技術やスピードも重要な要素だ。
それでも、特にボクシングみたいな拳でやり合う系はその影響が大きい。
だからこそ階級が細かく分けられているのだ。
まあ俺がここで「よかったな」などと言ってもこじれる未来しか見えないので黙っておく。
それこそパワー以外で圧倒したわけだしな。
「で、なんでいきなり仲良くなってんだ?」
コーチが聞いてきたので、
「タメだったんですよ」
「なってねーっす」
またリュウと同時に答えた。
ひどいぜ、リュウ君。
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