第29話 おっさん、異世界で新しい知り合い
さて、日本で絶賛炎上中の頃、異世界の方の俺は、順調に冒険者業を続けていた。
宿代と少しの貯蓄ができるくらいには稼げるようになり、ランクも一つ上がってEランクになっていた。
だいたい半月でのランクアップだが別に早いわけではない。
そもそも今までのFランクは成人している場合は10日程度で卒業のランクらしい。
俺もほぼ毎日依頼(常設だが)を受けて、大した怪我もせず、コンスタントに納品も出来ていたため、ほぼ自動で上がったって感じだ。
だが、そんな順調なときほど、イレギュラーは起きるものなのかもしれない。
俺はその日の依頼を終え、素材も売り払い、あれ以来、仲良くなったリックと飲んでいた。
別に一緒に依頼を受けたりはしていないが、ギルドで会えば駄弁ったり、時間が会えばそのまま飲んだりしていた。
リックのパーティメンバーの女子2人は、リックと飲んだ時に1回来たぐらいだが。
そうして飲んでいると、ギルドに初めて見る4人組が入ってきた。
この街に来てまだ2週間かそこらだから、知らないやつなんていくらでもいるが、その4人はなんとなく目についた。
男女2人ずつのパーティーだが、なんというか風格があるといえばいいのか。
男の1人は短髪のゴツい槍を持った豪傑って感じのガタイのいい男で表情からは自信があふれている。
もう1人の男は爽やかイケメンで長剣を佩き、綺麗な鎧を身に着けている。フルプレートとかではなく動きを阻害しない感じの鎧で、きれいに磨き上げられている。
女の方は1人は動きやすそうな装備のシーフっぽい格好で短刀を背中と言うか腰に水平に着け、槍男やイケメンに話しかけたり楽しそうにしている。
もう一人の女はいかにも魔法使いますって感じのローブを纏い、なんか先にキレイな石がはめ込まれた杖を持っていて、すました顔で楚々と歩いている。
「今の4人知ってる?」
俺はリックに聞くと、
「もちろん知ってるぞ。知り合いだ。
ってかシンは会うの初めてか。
『烈焔』っていうCランクパーティで、出身と拠点はこの街なんだけど、最近はこの辺じゃ稼げねぇからって近くのダンジョンまで遠征してることが多いな」
えぇ、何そのかっこいいパーティ名。
やめてくれよ笑うじゃん。こっち来んなよ。
「え、知り合いなのか?」
「ああ、わりと仲いいぜ。
入ってくるとき一瞬目が合ったから、用が済んだらこっち来るかもな。
紹介してやるよ」
まじか、やめてくれよ。
笑わない自信がないぞクソ。
烈焔はかっこいい、烈焔はかっこいい、烈焔はかっこいい。
あかん、逆効果や。
「えぇ、敬語とか使えねぇぞ俺、大丈夫か?」
「そーゆーの気にする人らじゃねぇよ」
なんて話してると槍男が1人こっちに向かってきた。
「よぉ、リック。元気だったか?」
「おぉ、トゥーヴァ、ひさしぶりだな。見ての通りだ。また稼いだんだろ、おまえら。うらやましいぜ」
槍男はトゥーヴァっていうのか。言えるかな。
「そっちは見ねぇ面だが、新人か?」
「コイツはシンっていうんだ。
シン、烈焔のトゥーヴァだ」
おい、やめろ。
『烈焔の』って付けるなばかリック。
烈焔のトゥーヴァ
笑わせにきてるのかと疑いたくなるが、なんとか我慢する。
「新人も新人。今日やっとEランクになったシンだ。
リックには仲良くしてもらってる。
よろしく、ツーバ」
(ピシッ)
空気が凍った気がする。
「シン!ツーバじゃない、トゥーヴァだ!」
リックが慌てて指摘してくる。
「ん?そう言ったろ?
なんか変だったか?ツーバで合ってるか?
よろしく頼む、ツーバ」
「おもしれぇヤツだな。
俺の名前はトゥーヴァだ!
喧嘩売ってるってことでいいのか、そりゃ」
えぇ、なんか怒ってらっしゃる。
『そーゆーの気にする人らじゃねぇ』んだろリック、どういうことだ。
怖いぞ、烈焔のトゥーヴァ。
血管浮いてるぞ、烈焔のトゥーヴァ。
「ま、待ってくれ。マジでそんな気はない!
ツーバだろ、どこが変なんだ?お前らが言ってるのと一緒じゃねぇか!?」
落ち着いて、烈焔のトゥーヴァ。
「コイツマジで言ってやがんのか・・・」
そんな感じで騒いでいると、
「おいおいどうした?目立ってるぞトゥーヴァ」
用が済んだのかイケメンと女二人もこっちまで来ていたようだ。
いいぞ、烈焔のトゥーヴァを落ち着かせてくれ、イケメン。
俺はイケメンに丸投げすることにした。
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