第28話 おっさん、炎上する
さて、マラソン大会から3日、俺は炎上していた。
まずあの会見の当日、夕方のニュースで『首都マラソン』の様子や、結果等が放送された。
その中で俺の会見の一部も流れた。
まあ、撮影も放送も許可してたからいいんだけどね。
半ばこうなるだろうと予想してたことではあるが、『っせーなぁ』や、『特に』の連発、『猛省してまーす』、『よく聞こえませんポーズ』が取り上げられていた。
というかテレビはほぼほぼそのシーンしか流していない。
冗談の通じないやつらめ。いや、分かっててやってるんだろうが。
またネットニュースやネットの記事では上記の態度も含め、会見のやりとりやレースの内容もそこそこ書かれていた。
しかし、走行中の仮装でのパフォーマンスについては、『やりすぎ』、『非常識』、『不快』などを視聴者、街の声として書き連ね、『クレームが殺到』とまで書いてくれている。
俺が作った電池の性能についても、『あり得ない』やら、『ホラ吹き』、『大嘘つき』と、言いたい放題だ。
まあ、それに触れてくれるのはありがたいが。
そしてメインは世界記録目前での転倒、棄権についてだ。
『他の参加者を馬鹿にしている』だの、『大会を侮辱している』だの、ドーピングや、酸素ボンベの使用を疑ったり、だいたいの記事はそんなことを書いている。
そんな中で俺が褒めたいのは以下の見出しだ。
『まだ走れるのにボイコット!?』
―世界記録を棒に振る暴挙―
洒落たサブタイトルまで添えてある。
棄権というワードをより大げさに悪意を含ませて表現するために用いた『ボイコット』というワード。
サブタイでは『暴挙』とまで言い切ってくれている。
しかも絶妙に嘘がない。
まだ走れたか?
「yes」である。
ボイコットか?
まあ、和訳で「参加しない」があるし「yes」かなぁ。途中で自分の意志で不参加になったわけだし。
世界記録を棒に振った?
「yes」だ。
暴挙か?
まあ、暴挙だよね、「yes」だ。
うん、ボイコットかどうかだけ怪しいが概ね嘘はない。
この素晴らしいワードセンスに俺は称賛を贈りたい。
ともあれ、テレビやネットのおかげで俺も会社も絶賛炎上中である。
起業に際して作ったHPやSNSは大荒れだし、匿名掲示板でも好き勝手書かれている。
大会中も実況掲示板ではそこそこ荒れていたようだが。
しかし大丈夫か?俺にハッキングスキルがあること、忘れてないか?
あ、公表してなかったわ。
そもそもファンタジーなスキルなど無い世界だった。
だがそう、俺にはハッキングスキルがある。
俺や会社に対する攻撃的な書き込みや、なんならHPへの攻撃は全てチェックして、相手を特定してある。
特定どころではない。
個人情報はおろか、趣味や性癖、PCの隠しフォルダから、閲覧履歴、購入履歴、過去のネットでの悪行や、リアルでやってるちょっと悪いことまで全部丸裸である。
AI任せではあるが、現在進行系でそんなデータが蓄積されていく。
某〇すノートじゃないが、こいつらにはいずれ俺と敵対したことを後悔してもらうことになる。
そろそろ無責任にネットで誹謗中傷を行うことがどういうことか、こいつらを生贄に分からせてやる必要があるな。
犯罪?不ァッ禁法違反?
立件できなければ犯罪ではないんだよ。
奴らが勝手に漏洩させて色々暴露されるだけだ。
『ハッキング』スキルさんが痕跡を残すわけがないからな。
あと、俺が会見で宣伝した電池の性能も疑問視されていたため、実物とそのスペックをメーカー企業に向け、正式に発表した。
なんなら希望企業にはサンプルとして、小さいものでは各社の最新ハイエンドスマホのバッテリーと同じ形のものを、大きいものでは電動バイクのバッテリーと同じものを用意して送りつけることも言ってある。
これで俺の電池がどれだけ優れているかわかるだろう。
まあ、いろいろクリアしなきゃいけないテストは多いだろうが、自社でやったテスト結果ももちろん発表データに含めている。
見るやつが見ればふざけてないことくらいわかるだろう。
ちなみに会見の宣伝だけ聞いて、ありえんやらなんやら否定的なコメントを出した企業には売る気はない。
サンプルは送るがな。
こいつらにもしっかり後悔してもらわないとな。
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