第20話 おっさん、女神と寛ぐ
「お久しぶりです」
本当に何もなかったかのようにそう切り出した。
「ああ、1週間だけどな。
俺が来たのに気づいてたんだな」
まあ、お茶も飲んでくれたしな。
「はい、あなたが『銀と〇』に興奮してるあたりで」
割と最初じゃん。
「はい、ですが全て見られた後でしたし読んでる途中でしたし」
ある程度開き直って、読みながらどう対応するか考えてた感じか。
「それで、報告しに来たんですよね?」
急に話し変えてきたな。
別にいいけど・・・
「もっかい、炬燵出さない?」
「なぜでしょうか?」
「報告の度にこれやるの大変っていうか、堅苦しくないか?」
「これとは?」
「真っ白空間での謁見スタイル?
お互い立ってなきゃだし、ちょっと距離あるしさ。
さっきの寛ぎセットあるならアレでいいじゃん。
俺ももう見ちゃったしさ」
なんなら炬燵でご一緒してるしな。
「しかしこういうのはけじめが大切ですし、様式美もありますし」
「様式美って言っちゃってるじゃん」
「うっ、しかし・・・」
「前にこの部屋は誰も干渉できないって言ってたしいいじゃん。
あとその服、やっぱ気になっちゃうし」
「あなたが変な目で見なければいいだけの話です。
それにあなたが言っていたヌーブラも、どういうものか調べてちゃんと手に入れていますから大丈夫です」
何がどう大丈夫か知らんが、ヌーブラ着けてるって言っちゃうのは大丈夫じゃない気がする。
今こんなのつけてますって言っちゃうのはもはや痴女だ。
「痴っ!?
忘れてください」
見ると顔を真っ赤にしている。なんとか冷静に返したのはえらいが。
「もう遅いから。もうさっきより気になってしまっているぞ」
ていうか、それ着けてようが、いちいち(ゆさっ)ってなるのは変わらないんだよな。
あと部屋着モード可愛かったし。
「はぁ、わかりました」
女神は諦めたようにため息をつくと、部屋を元の和室に戻し、自分も部屋着に戻った。
まだちょっと顔が赤いのはヌーブラ告白の件を引きずっているのか、部屋着可愛い思ったのを読心したのか。
ってか俺がそれを把握したのも読んでるよなと思って女神を伺うと目が合った。
「しょうがないんです。
この部屋着が良すぎるんですよ!
肌触りも!見た目も!動きやすさも!
こんなの神界に無いんですから」
「別に悪いとかダメとかなんにも言ってないじゃん。
まあ、それがいいものなのは俺も同意だ。確か日本企業なんだよな、あんな名前だけど。
もしかしてハマったの?日本文化に」
「・・・はい。
あなたの転生担当になり、それに必要とのことだったので、幾つか漫画やアニメを鑑賞しましたが、そのほとんどにハマってしまいました。
特に、異世界ものはパロディが多く、その元ネタを追ううちに際限なく。
この部屋着も日常系のアニメで女の子が着てたのが可愛くて・・・」
「わかりすぎる」
そこからは、女神がどんなアニメを見たのか、どんな漫画を読んだのかを聞き、俺もハマったやつやオススメを教えたりしてオタク談義に花を咲かせた。
驚いたことに女神は既にかなりの作品に触れており、いずれも造詣が深く、神の本気を垣間見た気がする。
何に本気出しとんねん。
エセ関西弁がでてしまったが許してほしい。
熱の入れように少し気になってちゃんと仕事してる?って聞いたらちょっと気まずそうに目を逸らしたんだぞ、この女神。
神すら堕とす日本文化。
恐ろしいな。
それでも、一度語りだした女神の早口はまだまだ止まらず、だが俺もしっかりオタクであるため、全然苦ではなく、むしろ楽しすぎた。
リアルでは俺はオタクを隠していたし、俺が若い頃はまだまだオタクは市民権を得ておらず、オープンにオタクやってるやつは極少数の猛者達だけだった。
最近はアイドルでもオタク担当がいるくらいだし、動画配信でオープンにオタクやってるやつも多い。
新入社員は自己紹介でアニメが趣味とか平気で言ってのける。
昨今のオタクカップルとかマジで羨ましかったりする。
俺もこんなふうにオタクトークでおうちデートできる彼女欲しかったなぁ。
なんて思っていると、女神の早口トークが止まっている。
見ると、萌え袖で顔を隠しながらこっちをチラチラと見ている。
あっ、俺やらかした。
というか|部屋着で萌え袖で顔隠すやつ《それ》は反則すぎる。
俺は誤魔化すように近くにあった漫画を手に取り読み始める。
快男児かよ・・・
まあいいか、助けてひろゆき。
ざわざわしそうなネタ多くてすいません。
好きなんです。
以下、ボツにしたラスト2行
実はこっちのが好きなんですが諸事情で
外出録かよ・・・
まあいいか、助けてハンチョー。
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