第19話 おっさん、女神に再会
異世界では日々の宿代を稼げるようになり、現代では本アカがAIの投資でウハウハな一方、裏アカで起業して直近の方針が決まり、日々いろんなジャンルの大会に向けて(卑怯なプレーや手加減、舐めプの)練習を始めた頃。
「異世界転移してから1週間経ちましたが」
AIがそんなことをいってきた。
もうそんな経つか。
と、ちょっとだけしみじみ思ったが引き続き、練習を続ける。
「・・・」
ズザー、がっ、ゴロゴロ、「ぐぅああ~、うぅ~」(のたうちまわる)
「大丈夫ですか?マスター」
「ん?ああ、全然大丈夫だ、ただの痛がっているフリだからな」
絶賛、相手のスライディング(安全)を足に食らいに行って、ファールを貰う練習中だ。
断じてプロレスの練習ではない、サッカーの練習だ。
「いえ、それは見ればわかりますが、そうではなく。
そろそろ女神との約束の時期かと」
ん?なんだっけ?約束?
てか女神に様つけてあげようよ。
「はい、毎週報告に来いとのことでしたが。
呼称はマスターに合わせています」
そうだった。
報告の件も呼称の方もどちらもだ。
報告かぁ。
最後の女神の様子を思い出して、割と本気で行きたくなくなった。
しかし、ずっと行かないってわけにもいかんか。
チート貰っちゃってるしな。
怖いのはいきなりチートを剥奪されることだ。
出来るかどうかは知らんが、そういえば怒らせた時に剥奪って言いかけてたから、出来ると思ってたほうがいいだろう。
ってなると行くしか無いな。
俺は女神と会ったあの真っ白な部屋を思い浮かべ『転移』を発動させる。
そして次の瞬間、俺はあの真っ白な空間に・・・いなかった。
俺は目を疑った。
たしかにそこはあの真っ白だった空間なのだろうが、今は違う。
和室がそこにあった。
少し散らかっているが。
畳が敷かれている。8畳くらいか。
炬燵がある。かごいっぱいのみかんと、剥かれたみかんの皮が乗っている炬燵が。
ストーブがある。黒くて四角い灯油式の昔ながらのストーブが。
中央に灯油が燃焼する筒があって周りは熱を反射する鏡みたいなので囲われているやつ。
シュンシュンと湯気を吐くヤカンが乗せられている。
部屋のそこかしこに積まれたり散乱したりしている漫画本がある。
ここまではまあいい。
日本のどこかの田舎にありそうな和室をそのまま持ってきたような装いだ。
だが炬燵に入って漫画本読んでるこの部屋の主が違和感をばらまいている。
銀に近い美しい金髪。
せっかくの金髪を三つ編みでおさげにしてるぞこいつ。
西洋風の美術品のような顔立ち。
その顔に、全く似合わない黒縁メガネ(伊達か?)。
そして白っぽいモコモコの部屋着(ジェ〇〇〇?)を着た女。
いや、単体ならアリ寄りのアリではあるんだが。
和室との違和感がエグいことになっている。
まあ、私室って言ってたしどう寛ごうが自由なんだけどさ。
てか全然俺に気づかねぇな。
そんな熱心に何読んでんだ?と覗いてみると・・・
『銀と○』ーーーーーーーっ!?
わかってるじゃねぇか。
散らばってる本もよく見てみると同じ作者さんの作品がかなり転がっていた。
無頼伝まであるじゃん。
管理録と外出録も!?
スピンオフまで押さえてるとか。
あ、俺も未だ読んでない巻あるじゃん。
俺はそれを手に取り炬燵に入る。
お茶セットもあったので2人分淹れて1つを女神の前に置く。
「・・・ありがとうございます」
本に目を向けたままだがちゃんと礼が返ってきた。
俺も読み始める。
―シュンシュン―
湯気の音――
―カンッ―
ストーブの金属部が熱されて立てる音――
―ズズッ―
茶を啜る音――
―シッ―
ページをめくる音――
それらの音が不規則に部屋を満たす――
そんなある種の神聖な時間が――
俺が一冊読み終わり――
女神も最後のページを閉じ――
「日本文化を勉強しているだけですから」
女神の残念な言い訳とともに終わりを告げた。
女神が立ち上がり俺に炬燵を出るように身振りで指示する。
顎で『あっちにどいてろ』ってやったぞ、この女。
手をかざし横にスライドさせると和室はきれいに無くなり、真っ白な空間になった。
次の瞬間、女神の服もただ白い布巻きつけただけみたいなあのエロいやつに変わった。
仕切り直すつもりだろうか。
いまさら?
とも思わなくはないが。
・・・まだ三つ編みと眼鏡残ってるよ。
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