第17話 おっさん、起業する
方針は決まったので、まずは資金集めだ。
何をするにも金がいる。
とりあえず最初の資金は、スクラッチくじで用立てる。
『鑑定』先生様々である。
中卒施設出のガキに所持金など無いからな。
『変身』スキルで顔を変えて、5万円を何箇所かの売り場を回って集めようかとも思ったが、一発で100万円を当てて銀行で受け取ることにした。
サクセスストーリーの第一歩だ。
しっかり公的に記録を残しておく。
そういえば、中卒から今までの経歴どうすっかな。
高校行ってないことにしてるから施設で穀潰しかバイト三昧って感じか?
ホームレスとかヒモでもしてたことにしてもいいな。
まあいいや、後で考えよう。
青い色の銀行でそのまま口座を作り、当せん金を振り込んでもらう。
証券口座も作ろうかと思ったが、AI曰く、どのみち起業するときその資本金にするから今は不要とのことだ。
銀行を出ると、脳内でAIにはなしかける。
実体のAIは側には居ない。
起業の手続きってもう進めてる?
「はい、今進めてますが、事業内容はいかがいたしましょうか?」
宇宙開発とかだとダメかな?
「大丈夫かもしれませんが、もう少し具体的な方が良いかもしれません」
つってもなー。
まあ、いきなりロケット作れないもんな―。
新素材の研究、開発、販売とかは?
あと、スポーツもか。スポーツってどんな業務内容になるんだ?
スポーツ科学か?
「そうですね、新素材の研究、開発、販売でいいでしょう。
スポーツは趣味で挑戦した結果とかが良いかもしれませんね」
なるほど。
あと従業員雇わないから、機械化っていうかロボットとかAI化とかで考えてるんだけど、そのへんも開発していくか。
「では、新素材、ロボット、AIの研究、開発、販売でいきます。
投資も行いますので、併せて記載しておきます。
社名はどうしますか?」
うっ、ここで来たか、命名イベント。
苦手なんだよな~。
伊座間製作所とかでいんじゃね?
変にメッセージ性込めたりかっこよさげな横文字使って黒歴史作っちゃうよりは。
「承知しました。
しばらく手続きに時間は掛かりますが、その間に業務実態があっても大丈夫です。
マスターお一人の会社ですし。
何かされますか?」
最初は何しよっかな~。
そういやロボット作るって行ったけどさ、まずその部品とか動力がないとだめだよね。
で、動力なんだけどさ、すげーバッテリーとか作れないかな?
小型化とか、長持ちとか。
超効率のいいソーラー発電でほぼ永久機関とか。
「おそらく可能です。
少し試しましたが、『鑑定』で欠陥や改善の余地などを洗い出せますし、AIが『高速演算』を用いて、論理的にさまざまな物質でのシミュレーションを行い、さらにまたそれを『鑑定』と繰り返していけば、どこまででも進化させていけます」
すげーな。鑑定先生もそうだが、俺のスキルたちが優秀すぎる。
じゃあもしかして既存のリチウムイオン以外の新しい物質でより優秀なバッテリーとかもいけるか?
「可能です」
即答かよ。
「ただ化学薬品の扱いや金属加工が必要なので、実験や研究レベルなら大丈夫かもしれませんが、それ以上、生産や販売となるとそのへんの資格や許可が必要になりますね。
ただそちらも、私の方でマスターの分身でやっておきます。
マスターは雑事は気にせずやりたいことや方針だけお決めいただければと思います」
なるほど、助かる。
別に既存のリチウムイオンでもいいんだが特許とか色々面倒くさそうだしな。
だったら全く新しい電池で特許でもウッハウハとか考えてしまった。
「金銭を稼ぐだけであれば投資だけで世界を動かせますが?」
それは恐ろしいな。
というかそうだった。別に金持ちになりたいわけじゃなかった。
ロマンを求めての宇宙開発だったな。
初心を忘れるところだった。
「ですが、バッテリーの小型化とソーラー発電の効率向上は、さまざまな分野での技術革新に寄与します。
車はいよいよ電気自動車化が進みますし、スマホやパソコンは充電不要になりますし、家庭で使用する全ての電気が各家庭のソーラー発電と蓄電池の設置で賄えます。
エネルギー問題の多くを解決出来ます。
社会に大きく貢献どころかノーベノレ賞ものです」
まあ、段階は踏んだほうがいいかもな。
しかし社会に貢献ってのはなんかムズムズするな。
「照れくさいとかそういった感情でしょうか」
ムズムズって表現じゃそうなるか。
ちがうな、虫酸が走るとか、反吐が出るとか、そういった感情だな。
俺はそんな上等な人間じゃない。
「ですが社会は多大な貢献ともてはやすでしょう」
なんだかなー。
まあまだ作ったわけでもないが。
先を見据えておくのは大事だよな。
実際俺はマジでそんな上等な人間じゃない。
他人のことは結構どうだっていいし、自分さえ良けりゃいいってタイプの人間だ。
社会でうまくやっていくためにはそんな一面はもちろん出さずにやって来たし、本アカでは今後もそのつもりでいるが。
結婚もしたし、ガキも居るが、躾で叱るときもどの口がって思いながら、糞の役にも立たない良いことってやつを教えている。
国民的アニメでもマジでアンパンさんがバイキンさんに〇される展開を望むくらいだ。
思い返せばガキの頃からバイキンさんを応援していた。
食パンさんなんかはもっとも嫌いなところだ。
改めて、俺はそんな奴だったことを思い出したというか確認した。
いやしかし、今それを認識できたのは良かった。
「方針を変更しますか?」
いや、やることは変えない。
なんだかんだ最新技術の開発はやってみたい。
社会に貢献ってのが気に食わんが、俺自身が悪役となってそれを成すのであれば話は別だ。
「悪役ですか?」
そうだな、俺は悪役で行くぞ。
「そんな、人間をやめることにした人みたいにおっしゃられても」
おれは悪役で行くぞ!AIーーッ!!
ってか。
それ時間止める人じゃん。
しかしふと思いついただけだが悪役、いいんじゃないか?
中卒なのに何でも出来て、稼げて、イケメンで、そいつの性格がクソとか。
存在自体がざまぁだ。
ん?ちょっと前、無双やざまぁなんているか?と言ったか。
スローライフが流行りだとも言ったな。
あれは嘘だ。
いや別に嘘ではないんだがその辺は本アカや異世界での話だ。
せっかくのチート持ちの裏アカだ。
やっぱやるなら振り切んなきゃな。
今の流行りは悪役で、無双で、ざまぁだろ。
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カクヨムでも連載中の作品になります。
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