第7章 槍使いランスロット
また、悪い夢を見た。
「お前は、私から娘を奪うのか!」
僕が殺害したマユの父親の夢だ。
真夜中に目覚めた僕は、ひどく寝汗をかき、
鼓動が激しく、胸が苦しい。
「先生、どうしたの?」
隣で寝ていたマユも目を覚まし、
不安げな表情で、僕に問う。
「いや、何でもないよ」
と、僕は応えて、台所に向かい、
コップ一杯の水を飲んだ。
「大丈夫だ。ここは異世界で」
僕の罪を裁く者は、誰もいない。
「不安なんだね、先生」
と、後から、マユが優しく抱きしめてくれる。
二人とも全裸のままの姿だ。
そして、夜が明けて、
翌朝から、僕とマユは、
「剣は、このようにして使え」
鎧の男の邸宅の庭で戦いの基礎を学ぶ。
彼は独身のようで、邸宅にはメイドとして、
二人の人間の女性が働いていた。
「基礎は大事だが、魔物狩りは実戦での慣れだ」
と、言って、鎧の男は、
その日の午後、
僕とマユを従えて、南の平原へと向かう。
「この平原に、オーガと呼ばれる魔物がいて」
鎧の男の話によれば、そのオーガが、
貴族の娘を拐って、宮殿に連れ去ったらしい。
「オーガは我々より、やや体が大きく」
獰猛な性質をしているらしいが、
知能は低く、武器は主に棍棒と投石だという。
この救出作戦には、鎧の男の他に、
「私の名は、ランスロット。よろしく」
と、槍使いの魔物討伐士が加わった。
ランスロットは、
五人の若い男性の弟子を従えている。
「さあ、諸君、腕の見せどころだぞ」
そう言って、自信家らしいランスロットは、
弟子の若者を鼓舞し、意気揚々と、
オーガ討伐隊の先頭を歩いた。
「あの人は強そうだね」
小声で言うマユは、似合わない剣を携えて、
僕と一緒に、一行の最後尾を歩いている。




