第6章 僕とマユとの新しい生活
「まるで中世ヨーロッパのような風景だな」
異世界の町を見た僕は、声を漏らした。
「しかし、不思議なのは」
町を歩く人々の中には、人間の他に、
イヌ科やネコ科の頭部を持つ、人獣がいたのだ。
この町の様子を見て、
「せ、先生」
マユは不安になったのか、僕の手を、
ギュッと握る。
「この町の奥に城があるのだ」
と、言いながら、鎧の男は町を進む。そして、
「あそこが城だよ」
鎧の男の視線の先には、城壁に囲まれた、
巨大なゴシック建築の城が、
権力の象徴のよう、そびえ立っていた。
「さあ、行こうか」
こうして、鎧の男は城門まで行くと、
衛兵に軽く挨拶して城門を抜ける。
僕とマユは、その後に続いた。
「この方々が、新しい助手ですね」
城の吏員は事務的に手続きを行い、
僕とマユは意外と簡単に、
魔物討伐士の、助手に成ることができた。
「よし、これから君たちの家を探しに行こう」
鎧の男は町では、それなりの邸宅に住んでいて、
僕とマユは、その邸宅の近所の、
小さな借家に暮らすことになった。
「何から何まで、ありがとうございました」
僕はマユは、鎧の男に深々と頭をさげる。
「では、これが助手の報酬だ」
と、彼は、先払いで、生活費まで渡してくれた。
こうして僕たち二人の、
異世界での新しい生活が始まる。
そして、その夜、
「こんな事になってしまった、けど」
と、マユが言い、言葉を続けた。
「私たち、やっと一緒になれたんだね」
「そうだな、ここで二人で、暮らそう」
深まる、異世界の夜。
僕はマユを抱きしめる。
「僕はマユを絶対に離さいよ」
「うん。先生、私を離さいで」
窓の外の夜空には月が浮かんでいた。
それは血の色のような、赤いの満月だ。




