第2章 襲い来るゴブリン
高校教師の僕と、生徒のマユは、
駆け落ちしたあげく、心中したのだが、
なぜか異世界に転生した。
だが、早々に、三匹のゴブリンに襲われる。
「女の子を置いていけば、お前は見逃してやる」
そう言ったゴブリンは、凶悪な表情で、
マユに近づいて来た。咄嗟に僕は、
ゴソ、ゴソ。
ポケットに手を突っ込み、
アーミーナイフを取り出す。そして、
パチン。
と、一番大きい刃を出して、
「この野郎おぉぉーっ!」
そう叫びながら、
僕は手前にいたゴブリンを刺した。
ブスリ。
刃は深々とゴブリンの腹に刺さり、
「うぎゃあぁッ」
奴は悲鳴をあげたが、
ブス、ブス、ブス、ブス。
僕は奴を滅多刺しにする。
「ヤバい、コイツは危ない奴だ!」
と、残りの二匹のゴブリンは逃げ出した。
「これで大丈夫だよ」
返り血を浴びた僕は、そうマユに言ったが、
「そうやって、お父さんも殺したのね」
彼女は、ひどく悲しい目で僕を見ている。
「今、そんなこと言うなよ」
「ごめんない。でも、先生」
そう言いながら、マユは、
滅多刺しにされ、
血まみれになったゴブリンを見つめて、
「なんだか、かわいそう」
と、言葉を漏らす。
「何を言っているんだ!」
僕は声を荒らげた。
「コイツは君を襲おうとしたんだぞ!」
そんな僕から目を逸らして、マユは、
か細い声で言う。
「先生ごめんなさい、私、混乱して」
「そんな事より、ここから離れよう」
僕はマユの手を引いて、森の中を足早に歩いた。
歩きながらマユは不安気に言葉を漏らす。
「先生、この世界は本当に良い所なの?」
「あまり楽観視はできないな。それでも」
この世界にいる限り、
僕はマユの父親を殺した罪から、逃れられる。




