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おもうこと

何がなろうだ。

ありふれた設定、たやすく予想できる展開、よくわからない名称名詞動詞形容詞…挙げたらキリがない。

当の主人公は強大な力を持ちながら何故一々ネチネチと、何故一々ダラダラと、何故一々一々と。

たまたま見つけた見た事ない生き物が実は力を失った精霊王、気がつけば美少女になったり、小汚い武器屋でたまたま手に取ったボロボロの剣が呪われた魔剣と身も蓋も無い華奢な演出。


ブツブツ小言と小さな溜息を連発しながらスマホをスクロールする。

ガタガタと揺れる電車の中、気の抜けた車内アナウンスが仕事帰りで気の抜けた私の耳にモタモタと入ってくる。

時刻は夜8時である。

雪国の片田舎、二車両しかない電車に揺られながら私は今帰路についている。

長年勤めた会社も今日で定年退職、特に誰からも慕われる事なく、事務的で味気のない空気の中、私は部下達の労いの言葉を特に感慨耽る事なく作り笑いで受け、今に至る。

成人とともに出て行った息子がそのままにして行った大量のこの若者向けの小説を読んでるのもただボケ防止のためである。こうした通退勤の日々もこれで終わりとなると思うと今となってはきちんとその役割を果たしてくれているのかもしれない。

表紙のそれが露骨で見た目にそぐわないため、念の為にカバーをしているが最初はこれをしなかったばかりにヒソヒソと笑われたものだ…。

私はそうして、長い間聞き馴れた到着駅名のアナウンスとともに、大体一緒に降りる見慣れた他人と見馴れた場所と音の中へと足を進めていく。

もう暫くはこの駅を使うこともないだろう。特に嬉しくも何とも思わない私は降りていた階段から滑り落ちたのだった。



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