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リヒト戦記~辺境の滅んだ小国の再興記  作者: スタジオぞうさん


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81話 皇女の返答と提案

帝国歴236年3月下旬 グリューネブルク リヒト・フォン・シューネヴァルト

 皇女殿下の返事を携えた使者がシューネヴァルトにやって来た。

 果たして独立を認めてもらえるだろうか。それとも援軍は要らないから独立など認めないという答えだろうか。

 僕らは緊張して使者を迎えた。


 結論から言えば、心配することはなかった。

 使者は笑顔で握手をしてきたし、終始友好的な雰囲気で話ができた。

 皇女殿下は独立を認めてくれた。

 使者によると、殿下はもともといずれかのタイミングで独立を認めるつもりだったそうだ。シューネヴァルを騙し討ちにして併合したのは帝国の過ちであると明言してくれたらしい。

 そのことを聞いて、皆が安堵した表情を浮かべた。

 しかし、使者が次に述べた言葉には驚いた。

 皇女殿下は独立を認めるだけじゃなく、逆に提案をしてきたんだが、その内容が。

 僕は使者に対して、まずは独立を認めてくれたことに感謝を述べ、皇女殿下のご提案については、周囲と相談してから回答させてほしいと答えた。

 使者は頷いてくれた。


 トリーア卿たちも、まずはお身内で話してくださいと言ってくれたので、館の居間に戻り、エルナとレーナ、それにグウィネスと四人で相談することにした。

 しかし、テーブルを囲んだのはいいが、みんな無口になってしまう。

 どう切り出したものやらと思っていたら、エルナが口火を切って話してくれた。

 「私は賛成よ。皇女殿下と婚約して同盟を締結するのは、この状況を考えれば合理的だわ。」

 皇女殿下の提案とは、独立を認めると同時にシューネヴァルト王国と同盟関係を結び、強固な同盟であることを内外に示すために僕と婚約をしたいと提案してきたのだった。

 「私も皇女殿下との婚約には賛成だ。」

レーナも続いて賛成してくれたが、その後で珍しく言い淀んだ。

「だ、だが、皇女殿下と婚約するだけではなく私たちまでアルと婚約しても良いのだろうか。」

 「わ、私が閣下とこ、婚約だなんて。」

 グウィネスは真っ赤になって固まっている。

 驚いたことに、皇女殿下は自分と婚約するだけではなく、エルナとレーナ、さらにグウィネスと同時に婚約することを提案してきたのだ。

 殿下は、古代エルフであるアールヴの王族であるエルナ、獣人族の中でも高い戦闘力を誇る狼人族の族長の娘であるグウィネスと婚約することは、様々な種族が力を合わせるという殿下と僕の理想を体現することになると述べたそうだ。

 さらに、今の大陸では唯一の魔法精霊騎士であり、皇女派の有力貴族の令嬢でもあるレーナとの婚約はシューネヴァルトの立場を強化するものであり、そもそも帝国騎士団を脱退してまでシューネヴァルトのために戦ったレーナに報いるのは人の道だと殿下は語ったそうだ。

 殿下の提案には驚いたが、政略結婚は貴族の常道である。

 確かに皇女殿下の帝国とシューネヴァルトの結びつきを示し、多くの種族が手を携えることのアピールになるだろう。

 それでも、みんなの気持ちをちゃんと聞かないといけないと思い、僕は聞いた。

 「そもそも、政略はさておいて、みんなは僕と婚約することで良いのかい?みんな魅力的な女性だし、僕よりも良い相手がいるんじゃないかな。」

 エルナは呆れたように笑った。

 「まったく、これだから貴方は鈍いと言われるのよ。私たちの気持ちはずっと前から固まっているわ。」

そして真面目な表情になって言葉を続けた。

 「私はここにいる三人が同時に婚約することに賛成よ。皇女殿下の言うとおり、政治的に意味があるわ。それに何より、私たちの願いが叶うことは素敵なことだと思う。きっと殿下もみんなで幸せになろうと思ったのよ。」

 「ああそうだな。殿下は自分だけが幸せになろうという人じゃない。そもそもご自身の結婚は帝国のためだと考えて、自分の気持ちを押し殺しておられた。」

 レーナも頷いた。

 「だが情勢が大きく変化して、政治的にも意味のある結婚として、ご自身と私たちがアルが結ばれることを選べるようになったんだ。殿下がこの案を思いついたとき、『良い考え(グーテイデ)』だと手を打った姿が目に浮かぶ気がする。それにしても、私たちの気持ちを聞くとは、やはりアルの鈍さは国宝級だな。」

 レーナは最後に僕に呆れた目を向けてきた。

 「いや、僕が鈍いのは自覚してるけど。それにしても、三人がみんなそう思ってくれるなんてことは思いつかないよ。」

 グウィネスは苦笑した。

 「きっと閣下は気付いておられないと思っていました。でも部隊のみんなは気が付いていたみたいで、ときどき励まされていたんです。」

 そんなことが。

 三人が僕のことを心配してくれて、損得抜きに支えてくれたことに感謝はしていたけど。

 どうやら政治のために無理をしている訳じゃないみたいだ。

 「ありがとう。三人とも、僕にはもったいない女性だと思う。それでも、これからはパートナーとして一緒に道を進んでいけるなら、こんな嬉しいことはないよ。」

 僕は深々と頭を下げた。

 「これからもよろしくお願いします。」



このところ公私ともにいろいろあって、投稿が随分と遅くなりました。すみません。

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