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リヒト戦記~辺境の滅んだ小国の再興記  作者: スタジオぞうさん


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71話 出陣式~~駆けつける援軍

グリューネブルク 中央広場 リヒト・フォン・シューネヴァルト

 シューネヴァルトに迫る皇子派の大軍を迎え撃つ。

 街の人たちに少しでも安心してもらうため、グリューネブルクの中央広場に兵を集めてから出陣することにした。

 メールス卿たちと相談したが、ヤクシニーさんのお陰で使えるようになった木の上級精霊魔法を活かすために領境近くの森を拠点とする予定だ。

 敵が領内深くに進軍する前に迎撃するために、急いで出陣することにした。

 妹はまだ樹海から戻っていないが、待っている時間がない。

 そしてレーナに会う時間もなかった。出陣の前にもう一度会いたかったが、帝国騎士団が中立である以上、出陣式には来れないだろう。

 今回は総力戦なので、予備役を含めてシューネヴァルトの全軍9000名を動員する。

 中央広場を埋め尽くしてなお溢れる兵たちが集まっている。

 中央広場にあるステージの上にメールス卿、グウィネス、グラッドバッハ達と一緒に立った。

 このステージは普段は楽団や舞踊団に使ってもらっているが、こんなふうに住民に何かを伝えるときのために作ったものだ。

 式典を始めようと思ったら、ちょうどアーレン子爵の騎士団が到着した。

 良いときに来てくれた。

 僕はステージの上でアーレン子爵とがっちり握手をした。

 「アーレン卿、皇子派の大軍が迫っているのに援軍に来て頂き、ありがとうございます。」

 「相手が大軍であろうと私の信念は揺るぎません。それに西部で皇女派として孤立していた頃を思えば、こうして辺境伯殿の大軍と共に戦えるのですから、むしろ嬉しく思います。」

 精強で知られるアーレン騎士団は心強い援軍だ。

 街の人たちも援軍の到着に歓声を上げている。


 そろそろ出陣しようかと思ったら、広場の端にレーナが姿を現した。

 帝国騎士団は中立だから、こんな場所に来たらまずいんじゃないか。

 それなのにレーナはつかつか歩いてきて、ステージに上った。

 「アル、私は貴方と共に戦う。」

 「え?騎士団は中立のはずでは。」

 「今日をもって帝国騎士団を辞めることにした。私はもう帝国騎士(ライヒスリッター)ではない。」

 レーナは鎧の胸の部分を指さした。

 彼女が誇りとしてきた帝国騎士(ライヒスリッター)の紋章が削り取られている。

 そしてレーナは群衆に向かって、聞こえるように大きな声をあげた。

 「私と元帝国騎士団の八百騎、正義のために辺境伯閣下と共に戦わせてもらう!」

 八百騎だって?聞き間違いじゃだろうか。

 帝国騎士団シューネヴァルト分隊は全部で一千騎だ。その80%が僕らと一緒に戦ってくれるというのか。帝国騎士団を勝手に辞めると、後でどんな処罰があるかも分からないのに。

 だが、広場の端の方から帝国騎士団の騎士たちが続々と現れてきた。

 群衆は歓喜した。

 「帝国騎士団も味方についたぞ!」

 「悪い皇子派の奴らをやっつけて!」

 アーレン卿は笑みを浮かべてレーナと握手をした。

 「高名な赤の騎士(ローテリッター)が味方とは心強いですね。」

 「レーナ、本当に良いのか。」

 「ああ、後悔はない。むしろ、もしシューネヴァルトが滅ぼされるのを指をくわえて見ていたら、きっと一生後悔するだろう。」

 「ありがとう。とても嬉しいよ。」

 アーレン騎士団に帝国騎士団も加わってくれた。

 レーナ以外に古代魔法師も2名味方になってくれたようだ。


 さあ今度こそ出発しよう。

 そう思ったら、広場の端のほうによく知っている人が現れた。

 兵たちが空けた道を歩いて来たのは妹のエルナだった。

 「ふう、どうにか間に合ったよ。」

 一人で来たということはエルフの長老との交渉は上手くいかなかったのかな。

 それでも妹がいてくれると心強い。

 「お疲れ様。よく戻って来てくれたね。」

 ステージの上からねぎらうと、エルナは挑戦的な笑みを浮かべた。

 「兄さん、お礼を言うのはまだ早いよ。」

 広場の端のほうで騒ぎが起きた。

 何があったのかと思ったら、弓を持ったエルフの姿が見えた。

 「この人たちがエルフ?初めて見たよ。」

 「かつてのシューネヴァルトではエルフが街に住んでいたそうじゃが。」

 町の人たちは驚いている。

 僕も驚いてエルナを見ると、

 「エルフの弓兵千人を援軍として連れてきたよ。さあ今度こそ御礼をいうといいわ、兄さん。」

 妹は中央広場のステージに上がった。

 そして、驚いたことに姿を偽る魔法を解いた。

 銀髪をなびかせて、幻想かと思うような美貌を見せたエルナに周囲はどよめく。

 「我が名はルクス・ルーナエ。故あって辺境伯の妹のエルナと名乗っていたが、私はアールヴである。リヒト・フォン・シューネヴァルトは辺境の王として我らアールヴが認めた。これより我らエルフもシューネヴァルトと共に戦う!」

 周囲の兵たちも街の人たちも一瞬静まり返った。

 そして大歓声が起きた。

 まるで地鳴りのようだ。

 兵士も街の人たちも拳を突き上げている。

 僕は鞘からシュテルンヒンメルを抜き、光り輝く剣をかざして叫んだ。

 「多くの援軍も来てくれた。シューネヴァルトを護るぞ!出陣!」


今週末は大晦日と元旦なので、30日に投稿しました。次の投稿は1月2日の予定です。

執筆の原動力になりますので、評価点やブックマークを頂けると嬉しく思います。

どうぞ良い年をお迎えください。

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