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リヒト戦記~辺境の滅んだ小国の再興記  作者: スタジオぞうさん


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65話 カミン伯領への出撃

帝国歴225年7月 シューネヴァルト辺境伯領とカミン伯爵領の領境 エアハルト・フォン・メールス


 帝国北部から南下した皇子派諸侯軍が皇女派諸侯軍に戦闘を仕掛け、ついに帝国は内戦に突入した。

 西部ではカミン伯爵が兵を集め、再びシューネヴァルトを狙っている。

 グリューネブルクで議論した結果、敵の襲来を待つことなく、先にこちらから攻めることになった。

 戦場になって領土を荒らされるのは避けたい。

 シューネヴァルトは争いを好まないが、いつも相手が攻め込んでくるのを待っているわけではない。

 昨夏の時点でシューネヴァルトの常備兵は4千人だったが、この一年でさらに約6千人に増えている。

 予備役の3千人を含めた総兵力は約9千に達し、西部の貴族の中では最大の戦力を保有している。

 守りの兵を残しても遠征部隊を編制するだけの戦力がある。

 だがカミン伯爵たちはシューネヴァルトの全兵力は約4千人と思い込んでいるようだ。

 というか、そう思い込むようにリヒト様が仕向けてきた。

 連中が送って来るスパイはシャッテン率いる諜報部隊が捕えている。

 気配を消すことができ、逆に相手の気配に敏感な猫人たちは優秀だ。エルナ様は、おそらく一人残さず敵のスパイは捕えているだろうと推測しておられる。

 捉えた敵のスパイの中で、こちらの誘いに応じて二重スパイになると言った者には誤った情報を与え、カミン伯らに報告させてきた。

 戦闘を始める前から戦いは始まっている。

 情報は武器だと言うリヒト様は末恐ろしくも頼もしい。

 辺境伯閣下は歴史に学んだと言っているが、トリーア卿に言わせれば、そんなことまで教えていないらしいのに、自ら学び取られるようだ。

 カミン伯らは約5千の兵を集めつつある。カミン伯領の中心都市バデノッホには約3千名が集まっている。

 シューネヴァルトの遠征部隊はそこを叩きに行く。

 遠征部隊に参加する部隊は、まずグウィネスが統率する狼人の騎士団が1千5百名。人狼騎士(ベイオウルフリッター)は一年前には1千名だったから、この一年で五割増加している。身体能力に優れていて非常に精強な部隊だ。

 次にグラッドバッハ隊長が率いる人族の騎馬隊が2千名。

 それに弓隊5百名の合計4千名で編制されている。

 敵軍は様々な貴族軍の寄せ集めで騎士も少ない。

 グリューネヴァルトの軍議では、この人数で十分だという結論になった。


カミン伯爵領 領都バデノッホ グウィネス

 リヒト辺境伯閣下からの軍使がカミン伯爵に宣戦布告をした翌日、我らはカミン伯爵領に攻め込み、さらにその翌日、領都バデノッホまで来ている。

 ここまでたいした抵抗も無かった。領境を警備していた数百名の歩兵を一蹴すると、街道を一気に進むことができた。

 だがバデノッホはカミン伯爵ら皇子派諸侯の拠点となっている。

 メールス卿とグラッドバッハ隊長と共に、バデノッホに潜んでいた諜報員からの報告を受ける。

 「バデノッホには想定どおり約3千の兵がおります。ただし指揮系統が1本ではありません。そこに予期しないわが軍の襲来を受けて、相当混乱している様子です。」

 「そうか、報告ご苦労。予想どおりの展開だな。」

 メールス卿は諜報員をねぎらうと、我らの方を向いた。

 「そうですね。これなら予定どおりバデノッホの城門を攻撃すれば良いのではないでしょうか。」

 「グラットバッハの言うとおりかと。敵の人数は少ないですし、正面から叩き潰しましょう。」

 「そうだな。二人の言うとおり、予定どおり攻撃しよう。だが部下たちには、くれぐれも慢心しないように釘を刺してくれるか。」

 「「了解いたしました。」」


カミン伯領 領都バデノッホの城門 グウィネス

 隊列を組んで堂々と街道を進み、バデノッホの城門の前に来た。

 敵は城壁の上に弓兵を配置して、門を守る構えだ。

 だが、それは無駄だろう。

 しばらくすると、門の下の地面が陥没し、大きな音を立てて鉄の門が倒れた。

 味方の土の精霊魔法師の働きだ。

 「よし、予定どおりだ。みんな、突入するぞ!」

 私が太刀を抜いて叫ぶと、皆が「おおっ」と応えた。

 馬を加速して倒れた門を乗り越える。

 門の内側には狼狽した敵が右往左往していた。

 「一気に蹴散らすぞ!」

 味方の騎馬が突入すると、敵はもろくも崩れた。

 私の振るう太刀を受け止める者はいない。

 歯ごたえのある敵はいないな。

 周囲でも狼人の騎士たちは敵を圧倒している。

 「どうして馬上であんな動きができる?」

 「奴らは化け物か!」

 などという声が聞こえる。

 帝国軍は威張っていても、実力はこんなものか。

 しばらくして敵は潰走した。



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