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実験

明けましておめでとうございます。

年々思います。

トシトッテルナァ

「では、せめてこの遺体は持って帰ってもいい……ですか…」

「はい。」

少女は遺体を引きずりながら案内される場所へと向かった。

逆らおうと思わなかった。死にたいとも思わなかった。ただただついていかなければならないという使命感に襲われた。


行かなければ


少女は剣士に手を握れと言われ、握った瞬間瞬きをすると目の前には広い部屋が現れた。

「ここが、今日からハイナ様が生活なされる部屋でございます。生活するには困らないかと。」

一つ一つの家具が豪華で大きかった。

「ハイナ様、こちらのドアから庭に出られます。そこの木の下に兵士を土葬しませんか?」

「まだ、一緒にいたい………明日でも……いいですか…」

「ではそうしましょう。」

ガチャっ

「私がついていない場合は外に出るのは禁じます。

そして、ハイナ様。こちらへどうぞ。」

少女は招かれるままに部屋にあるドアの前に立つとドアが開かれた。

そこは真っ白な部屋の中心に一つのベッド、そして大きな機械が何個か置いてあった。

「ハイナ様には明日からあることをしていただきます。まだ秘密ですけどね」

秘密かよ

「わかりました……」

剣士は思い出したように

「そうそう、今日から僕があなた様のお世話をいたします。よろしくお願いいたします」

少女はコクリと頷いた。

なんか、この人…キモい……

「では、今日はこの辺にいたしましょう。風呂は明日入られるでしょう?」

「うん。だから今日はもう出ていってください」

「それはなりません。部屋の隅で待機しておりますね。」

いや、もう、どっか行ってくれ


剣士は少女に話しかけなかった。

少女は一人で部屋の中心で遺体を抱き締めながら涙がポロポロと出てきた。

遺体はすでに冷たかった。抱き締めるたびに服には血肉が付き、遺体からは血が流れた。

でも少女は離さなかった。


気付くと少女は眠っていた。遺体が抱き枕となって。


剣士は起こさなかった。ただ、一晩中眠っている少女を見ていた。


目が覚め、体を起き上がらせると部屋の隅に剣士がいる。

「目が覚めましたか?では、庭に出るといたしましょうか」

剣士の手を握って部屋から庭へ出る。

《「では、君はしばらくこの家にいなさい。庭にだけ出るのを許可するが、護衛を連れて行け。」》

その言葉を思い出した。

「ウゥ…ゴホッゴホッ」

その場でしゃがみこんでしまった。

「オエッ…ゴホッ」

気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い


数分間同じ状態だった。

「剣士……さん…」

「芳蘿とお呼びください。」

「ほう…ら…さん」

「なんですか?」

手を……手を…

「手を握ってください…」

「はい」

芳蘿は喜んで手を握った

剣士はしっかりと、少女は手をゆるりと握り、剣士に導かれるまま木に向かって歩いて行った。

「ここでございます。さあ、その方を埋めて差し上げましょう?」

そこには棺と思われる箱と棺を入れる穴があった。

少女は最後にぎゅっと抱き締め、棺の中に遺体を入れた。

芳蘿は棺をしめ、「ハイナ様、一緒に入れませんか?」と誘い、2人で棺を埋めた。

ふぅ



「もう、いいよ。帰ろう」

「案外あっさりしているのですね」

ハイナはどうでも良くなったのだ。

ハイナの中で何かがプツッと切れた。



部屋に戻ると

「では、ハイナ様、お風呂に入られませんか?」

と、聞かれたので

「うん。入ろうかな」

と答えた。

とんでもないことの始まりだとは知らずに。



「ちょっと、もういなくなっていいから」

「申し訳ございません。ですが、命じられているので…」

流石に裸は見られたくない。

「誰に?」

1拍置いて

「あなたにとって。この世界のものにとって。とても大切な存在からです。」

ハイナにはわからなかった。

わかりたくもなかったのだが。

「とりあえず出ていって!ドアの前で待機でも良いのでしょう?」

「ダメです」

キモいんですけど

「じゃあわかったよ。せめてタオルを巻かせて」

「それならどうぞ。」

ふん


ハイナは体にタオルを巻き付け、湯船に浸かり髪を洗ってもらった。流石に体を洗ってもらうのはしてもらいたくなかったので後ろを向いてもらった。

最初からこうしておけば良かったのだ。

ふん


「怒っておられますか?」

ハイナの髪を拭きながら聞いた。

「いや、別に?」

お風呂から出て、渡されたものは上下の下着と長い寝間着のようなもの。帯もついている。

全身は隠れるのたが……。

「なら良いのですが。というか、もう魔法で風を当てて乾かしますね。」

芳蘿はハイナの髪に向かって手のひらを向けゴォーッと風を出した。

「出来ましたよ。髪も乾かしたことですし、これをお食べください。」

出されたのはサンドイッチ2つ。卵のサンドイッチとキャベツとトマトのサンドイッチ。そして水が置いてあった。

モグモグモグモグ

「美味しそうに食べますよね」

お腹が空いていたのか無我夢中で食べた。

「食べましたね。では行きましょうか。」


連れていかれた部屋は昨日紹介された部屋の一つ。相変わらず真っ白な部屋だ。

この部屋には何個もカメラが仕組まれている。

「ここに寝てください。」

警戒しつつも寝ると帯を外され、手足と首を固定された。

「ちょ、なにを」

「“実験”を始めます。」

芳蘿は真顔で言った。


全身に注射をされた。

「いっっっっ」

気付くと白衣を着た人が数人現れていた。

「離れないでくださいね、ハイナ様。」

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

腹に引き裂かれるような痛みが走った。

「あぁぁぁぁぁ」

手足がガタガタと逃げ出そうとしている。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁ」

痛みが強くなっていっている。喉が渇いた。身体中が痛い。

助けて助けて助けて助けて



「うるさい」



腹になにかを刺された。

「ぁぁぁぁ…………」

「続きを行ってください」

気を失ってしまったのか、その後の記憶がない。


「ハイナ様、お目覚めですか?」

全身に燃えるような痛みが走った。

「いっっっっ」

体が起きない。

「動かないでください。」

芳蘿がハイナに近付いた。

「動くともっと痛みますよ?」

絶対に動くなと言いたそうな顔でこちらを見た。

「あなたはもっと早くここへ来るべきだったのです。ですが、こんなにも遅くなってしまった………その年で字の読み書きですら出来ないでしょう?」

ハイナはコクリと頷く

「なら、あなたには学校に行っていただくことにいたしましょう。

大丈夫です。週3回だけ行ってもらうだけでいいです。」

芳蘿は笑顔で圧をかけてきた。

ハイナは頷いた。

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