不参加でお願いします
「小鳥遊先生から【能力者の集い】の招待が来たみたいだね」
私だけじゃなくて、当然悟にも届くわけで……
「仕事が早いね。というか、本当に私を中に入れてくれないのかよ。みんなに私も仲間に入れてと聞いといてくれよ」
小鳥遊先生は能力者じゃない紗季を招待してなかったみたい。仲が良いのか悪いのか……お互いが利用し合う仲というべき?
「はいはい……聞いてあげるだけね。期待はしないでよ」
「私からもお願いしておくから」
悟は優しいからそう言ってくれるけど、あの態度だと響鬼先輩は嫌がりそうなんだけど……
「おっ!! 早速、響鬼先輩からコメントが……鬼なんて絶対響鬼先輩でしょ」
「雪見ちゃんも参加してるしね」
【ライソ】の名前を私は【ジン】、悟は【さとり】、響鬼先輩は【鬼】にしてる。雪見は【雪見◯福】だ。
「けど、姿見先輩は入ってこないか。問題ないって言ってたけど、聞いた事を忘れてるから」
姿見先輩は【透明化】の反動で、今回はその時に聞いた事を忘れてる。響鬼先輩の姿は見てるけど、全員掃除用具入れられて、映像だけでは無理かも。
「スマホを持ってなかったのかな? それにメモでもすれば良かったのに」
録音する事で【透明化】のデメリットを無くす方法だったけど、スマホでもメモは出来るのを忘れてた……という事は姿見先輩も? もしくは【透明化】は自分の体だけで、他は見えてしまう?
「姿見先輩……実は裸だったとか? 凄いスリル満点だな」
「いやいや……私も一瞬考えたけど、私の場合は服に変化があるから、それはないでしょ。スマホも服のポケットから出したら別かもしれないけど」
「えっ!! 服も変わるなんて良いなぁ……コスプレする必要ないし」
悟は羨ましそうに言うけど、実際はそんなもんでもないから。
「っと、響鬼先輩からまたしても」
一応、私や悟、雪見も挨拶のコメントは打ってる。それに追加して、響鬼先輩のお願いコメントが届いた。しかも、姿見先輩の事を飛鳥って呼んでる。
「姿見先輩に声を掛けるのに、誰か一緒について来て欲しい……」
しかも、絵文字とかも頻繁に使って、普段の響鬼先輩とイメージが全然違うんけど……
「先輩が参加してないのが不安なのかも」
「いや……あえて、姿見先輩は響鬼先輩に声を掛けられるのを待ってる可能性もあるぞ」
実は響鬼先輩の捜し人は姿見先輩……そんなわけないか……
「響鬼先輩だけが声を掛けたら、周囲に誤解されるかもと心配もしてるから。雪見は……流石に断ってるわ」
入学早々に三年の教室に行くのは流石に厳しいし、校舎の中もそこまで把握してないはずだから。
「……私達が行くしかないよね?」
これで私や悟が断ったら、響鬼先輩は激怒……じゃなくて、落ち込みそう。今の印象だとそんな風に思えてしまうんだけど……
「その中に私は勿論」
「入ってないから」
部活も入ってない私が上級生の教室に行くのは勇気がいるし、紗季の図々しさに参加して欲しいけど、面倒を起こす可能性もあるから。今回は悟も一緒だから、紗季にはご退場願おう。