◯◯の臭いがするぞ!!
「それでも蛍の件を蔑ろにするわけじゃないから。能力者が集まれば、新しい作戦が生まれるかもしれないだろ? 悟もこっちの仲間になったわけだし」
「相談するのはありだとは思ったけど、先輩達と雪見の能力はあまり意味がないかも」
【魅了】みたいな能力じゃないと、蛍がオッサンを諦めるのは無理な気がする。むしろ、蛍が【魅了】持ち? と疑ってしまうぐらいだし。
「むしろ、能力なんかよりも響鬼先輩の暴力で解決するのはどうだ? 女子にボコボコにされる姿を見たら、格好悪いだろ?」
「それは私がボコられるわけだけでしょ!! 絶対嫌!! 蛍なら響鬼先輩に立ち向かうとか、守る気持ちになるかもされないし」
お面ライダーでも気持ちは消えないわけだし、オッサンが弱い事は承知済みだと思う。
「それに……あの作戦だけど、花畑君に協力を求めるのは無理。絶対嫌がるから」
「あの作戦って? コスプレは何も関係ないよね」
「関係はないけど……その時にいた人物に関係があったんだよね」
悟は私と紗季が蛍の恋を反対だと知ってるだけで、作戦は知らない。今回は失敗に終わるだろうから、詳しく説明する事にした。
「蛍をナンパから助けたオバサン……【愚弟】に来た人ね。その人に私の……オッサンの恋人役になってもらおうと思ったわけ」
「薫……花畑に雰囲気が似てるから、オバサンを知ってるか確認しようとするところで止まってただろ? 昨日、薫は休んでたわけだし」
雰囲気が似てて当然なのよね。花畑君のお母さん……というべきなのかな?
「そういえば、そのオバサンのお姉さんという人が【愚弟】に来て、【魔女か真剣か】のコスプレと【ウサニン】の着ぐるみを交換したみたい。勿論、ジャージも持ち帰ったみたいだけど、何でお姉さんが来たんだろ? うん……そろそろ視力が回復してきたかも」
悟の目が回復してきたところで、教室を出る。といっても、掃除用具入れ五つをそのまま放置していいのかは疑問だけど……空き教室だから、白先生も小鳥遊先生に鍵を貸したのかも。
「SHRの時に鍵を返せばいいから、教室に行こう」
一応、完全に回復するまでは悟の手を繋いでおこう。
「お姉さんが薫の母親なわけ? 実はその人は結婚してるとか? 陣子は【愚弟】にも行ってないし、薫の母親を見た事なくない?」
「出版社の帰りに会ったの。白先生と花畑君の母親の両方が気付いたみたいで、その時に両方いたのよ」
「そんなイベントが!! こっちを捨てるのも無理だったし……けど、陣子だと妹に結婚してるとか聞けないだろ?」
白先生と黒さんの事は……その話は後で聞いておきたいところだけど……流石に初対面の相手に既婚者なのかは尋ねるのは無理でしょ。
「当たり前でしょ。白先生も一緒にいたんだから……まぁ、そのお陰で事実を知ったんだけどさ。花畑君のお母さんも能力者で【分身】を使うのよ。オバサンの正体は花畑君のお母さんの【分身】。性格とか見た目も食べ物次第で変わるみたい」
「花畑君のお母さんに陣子……オッサンの彼女役を頼むは流石に……子供として嫌だよね。しかも、陣子が能力者だと伝えないと余計に」
「だよね。見ず知らずのオッサンの彼女役に母親が……は無理があるわ」
今思えば、私が花畑君に能力を打ち明けないと無理な話でしょ。紗季が花畑君の弱味を握っていても流石に……
「う~ん……【分身】で見た目や性格も違うんなら、逆に頼むは楽だと思うけど? それに……プンプンと臭いのよね」
プンプンと臭いって……雑巾の臭いだったら、掃除用具入れの中に入れた紗季のせい……
「えっ!? ロッカーの中に入ったから」
私と悟は自分の臭いを嗅ぎ、互いにも確認してみる……大丈夫だ。問題ない。
「違う違う。これは単行本の件が終わってからだな。放課後は漫画の手伝いをよろしく。響鬼先輩の事は学校にいる間で」
紗季は漫画の手伝いは決定みたいな事を言ってると、小鳥遊先生の【ライソ】から能力者の集いの招待が届いた。