響鬼先輩の相談事
「はぁ……私の相談にも協力して貰うぞ。姿見が一番うってつけかもしれないからな」
響鬼先輩は溜め息を吐いてるけど、声が嬉しそう。心の声が読めなくても、分かりやすい性格なのかも。
「で、次は私の番だな。言っておくが、笑うんじゃええぞ」
「先輩もお笑い好き……す、スミマセン」
雪見は『笑う』に反応したみたいだけど、お笑い好き? 響鬼先輩が話そうとするのを邪魔する勇気は凄いけど……
「ああっ!! 好きだけど、今は私の話を聞いてくれるか? 私の場合、一つは叶ったんだけどな。学校にいても一人。話してくるのは鉄だけ。相談する奴……と、友達が欲しいと思ったんだよ。それが能力同士のな、仲間が出来ただろ?」
か、可愛い!! 『友達』とか『仲間』の部分を噛みながら、恥ずかしそうに言うところとか、私達の事を友達と認定してるところとか。花畑君の女子版? 噂なんかで怖がる人もいるけど、花畑君も話せば普通だったから、案外そんなものかも。
「そのキャラはありかなしか……薫と被るから。ライバルとか親友として登場……」
紗季もキャラ被りだと思ってるみたいだけど、性別が違うから。私や蛍のモデルより、花畑君のモデルの方が人気だから大丈夫だとは思うけど。
「わ、私も友達でいいんですか?」
そういえば、悟も友達に飢えてたわ。能力者の仲間が欲しいと思ってたのかも。私も能力者とバレてしまったわけなんだけど……
「あっ……ああ。そっちもそう思ってくれたら、そうなんだろ」
「はいはい……響鬼が思った事はいいけど、本来の相談したい事は何? これだけで時間が終わるんだけど」
姿見先輩が話の腰を折った。まぁ……これは能力は関係しないからね。いや……そもそも、能力に関する相談と決めてたっけ?
「そ、そうだったな。ある人を見つけて欲しいんだよ。そして、わ、私との仲をと、取り持って欲しい」
「恋バナ!! 今のメンバーはそっち系に疎いから助かる。ちなみに……アレは該当しない」
紗季が響鬼先輩の相談に喰い付いた。確かに私や紗季、悟はそっち関係に疎い。蛍の場合はモテる方だから……とはいえ、『アレ』扱いされてるのは……蛍の恋愛だよね。
「で、下駄箱にラブレターが入っていたりしたのか?」
「果たし状なら何度か入ってたけどな。これには【テレパシー】の能力が関係するんだよ。それは周囲に奴等全員の心の声が雑音のように聴こえるんじゃなくて、一人ずつなんだ。それもソイツの声じゃなく、私の声に変換されてな」
「それは【テレパシー】じゃなくて、思い込み……」
「じゃねえよ!! 思い込みで私の声が耳に届くか!! 私の声に変換されるから、誰の声なのか分からない。そもそも、【テレパシー】する相手を選べないからな」
紗季の言葉に響鬼先輩は噛み付いた。流石に思い込みは酷いから……
「紗季は腰を折らないで、最後まで話を聞きなよ」
思わず紗季を名前で呼んでしまったけど、そこは誰も気にしないでしょ。