二人の先輩
「私は別に構わないよ。【テレパシー】なんか、使われてる漫画とかアニメはわんさかあるだろ。モデルは……考えさせろ」
「それなら【透明化】もそうだね。ちゃんとした設定にするなら、モデルにしてもいいよ。ちなみにそれはバトル漫画かな?」
条件は付きそうだけど、響鬼先輩と姿見先輩は案外簡単に了承したわね。能力を使う漫画はやっぱりバトル系と勘違いされやすいんだなぁ。
「学園物のギャグコメディ。バトルとか興味ないから。陣……叶と井上の許可は取ってるから」
ちなみに私は許可して覚えはなく、勝手にモデルになったけどね。
「はい。能力者だとしても普通に接してくれたから。友達として協力したいし」
悟は純粋に紗季への感謝の気持ちなんだろうな。
「……ギャグコメディなら、モデルになってもいいさ。というか、私の怖さを払拭してくれ」
響鬼先輩の怖さを払拭……モデルになったら、そこを使いたいところじゃないの? とは本人がいる前では言えない。
「学園物のギャグコメディか……能力だけなら使えるかも。叶さんの【変身】が一番使いやすいかもしれないわね」
姿見先輩は響鬼先輩とは逆にモデルを拒否? ギャグコメに合ってない設定の持ち主なわけ?
「わ、私は止めておこうかな。能力だけでも、その漫画を見たら自分と重ねてしまうかも」
後輩の雪見は拒否か……断る人も流石にいるよね。漫画で能力を出すと、自分と重なる部分が出てくるのはあるかもしれないし。
「最初で断られる事も想定のうちさ。次は相談事だったけ? 皆はロッカーのドアを開けなくてもいいわけ? 誰も開けてないんだけど?」
そういえば、誰も掃除用具入れを開けないわね。響鬼先輩はすぐにでも開けそうなのに。という、私も開けてない……まだ警戒してる部分があるのかも。
「いいんじゃないの? 姿見は透明のままかもしれないし。フェアじゃないだろ?」
「確かにそうだね。今も透明のままだし。相談事となると、全員分の話を聞く時間は無さそうだけど? 内容次第では二人ぐらいじゃないかな?」
二人は先輩ともあって、小鳥遊先生や紗季よりも話を進行させてるような……小鳥遊先生の場合はそうさせてる?
「そうですね。それなら三年生の御二人からお聞きしましょうか? 一人は私よりもみんなに聞いた方がいいかもしれませんし」
「おい!! そんな事言ったら恥ずかしいだろ」
……恥ずかしい相談!? 違う違う……響鬼先輩の報酬とかはそれに関係してる? というか、相談事をすることで、小鳥遊先生や紗季に弱味を握られるって事はないよね?
「そっちの相談事の方が面白そうだな。なら、私の方が先にするか。相談事というか、悩みの種だね。勿論、能力関係さ」
姿見先輩の【透明化】による相談事。ずっと透明人間のままなら分かるけど……