白状します!!
「……二年の叶。横にいる井上さんの友達。こういう機会だから言っておく事にした。能力は男に【変身】する事。発動方法は栄養ドリンク。今まで言えなくてゴメン」
ある意味、悟に能力を伝える良い機会だったのかも。悟は能力者だし、下手に他の人達に伝える事が駄目な事は理解しているはずだし。
何よりも小鳥遊先生と紗季が用意した舞台。何かしら考えがあるはず。もしかしたら、能力を駆使して蛍の恋路を邪魔する……というのは流石に無理か。けど、相談する事はありかも。
「全然いいよ。打ち明けてくれたわけだから。小鳥遊先生が陣子を手伝わせた理由もそれだよね。栄養ドリンクが鞄にあったのも納得」
悟は驚く事なく、私を受け入れてくれた。紗季が事前に何か言ってたかもしれない。
「へぇ~友達同士で能力者なんて良いよな。男に【変身】とか面白そうだしよ」
「いや……そこは全然。イケメンとかになるわけでもないですよ」
私もそうだけど、自分が持ってない能力を羨ましいと思うのかも。そして、体験するといらないとも思うんだろうなぁ……なんせ、オッサンだから。
「自己紹介が終わりましたね。私も同じ能力者兼貴女達の協力者でも首謀者Kです」
「あの……私達は小鳥遊先生だと気付いてるから、そんな事しなくても大丈夫ですよ。寒いの思いは私だけで十分ですから」
悟以外、小鳥遊先生が声を掛けたんだから、正体は知られてるでしょ。雪見って子には能力にかけて、滑ってると言ってるみたいだし。
「そうですね。私もそうですが、皆さんも学年と名前を伝えたのですから、ロッカーの扉を開けるのは自由ですよ」
「ちょっと!! 全員の能力が知れたところで、デスゲームを始めるってノリをするはずだったよね。折角の準備中も台無しだよ」
この案を出したのは案の定紗季みたいね。小鳥遊先生も大概だけど、展開が漫画っぽいし。
「面白い事を言う子だけど、彼女は誰かな? 私達みたいにロッカーにも入ってないよね? 白衣の下は制服のようだけど、能力者じゃないって事? 響鬼の能力もあるから、嘘はつけないと思うけど」
「お、おい!! いきなり名前で呼ぶなんて……お、驚くだろ」
姿見先輩がそう言うのなら、最初から【透明化】して隠れてたわけじゃない。私や紗季達の会話を聴いてない事になるんだけど……響鬼先輩も名前で呼ばれて、怒るというよりも照れてるような……もしかして、ツンデレか?
「ふふふ……助手Sとは仮の姿。漫画家だ。能力者と繋がって、漫画に登場させる許可を貰おうと思って。勿論、能力だけでなく、本人がモデルになるのもOKだ」
助手Sという設定は私と悟しか知らないんだけど、やっぱり、昨日の漫画の件で小鳥遊先生は紗季が一緒にいるのを許したんだろうな。
「これ事実ですよ。出版社も協力していて、能力者の話を募集して、私と有野さんで取材に行くつもりです。【ライソ】で能力者のグループも作れればと思ってるので、貴女達にも終わった後に招待しますので。勿論、有野さんは参加しません」
「名前!! 私の名前も暴露するな……じゃなくて、参加しないの」
「嫌がる人もいるかもしれないので」
紗季のツッコミはともかく、能力者同士のグループか……全員参加するのかな? 私の場合、紗季に強制的に参加させられそうだけど……