能力者達集合
「紗季でしょ? 連絡してしたのも紗季だしね。能力者ばかりなら、制服も隠してた方がいいかも。私は紗季に協力すると決めてるからいいけど」
悟が来るのも当然だよね。能力者だし、紗季の味方……悟には普通に今日の事を伝えてるのかよ!! しかも、本人は変装もバレてるし。
「確かに……私が白衣で、小鳥遊先生が黒いマントの方が首謀っぽいな」
「マントも用意してますから、どちらでも構わないですけど」
紗季と小鳥遊先生はイソイソと着替えるけど、知ってるメンバーだから、すでに隠す気がない!! 思わずツッコミそうになったけど、声を出したらマズイ。ボイスチェンジャーがあるという話なんだけど……オモチャの変声機!! 普通の声も漏れるよね!?
「おい!! 入っていいのか。勝手に入るぞ」
と、二人目の能力者も来た!? 声からして迫力があるんだけど、この人は……
「外にマスクを用意していますが、顔を隠さなくても良いのですか?」
「別に隠さなくてもいいさ。能力者だろうと、周りの私の扱いは変わらないさ。それにしても……漫画みたいな事してるな。しかも、こんな中に入れってわけだろ?」
二人目も誰だか分かる。三年の猪狩響鬼先輩だ。花畑君の噂以上にヤバい人。学校の裏番的存在とも言われてる人だ。
「そうですね。扉が開いてるロッカーに入って貰えたら」
小鳥遊先生は響鬼先輩を怖がる事なく、誘導している。この人を怖がらないのは学校では白先生ぐらい? いや……紗季も大丈夫な気がする。
「ふん……扉が閉まったロッカーがあるという事は他にもちゃんと来てるんだな。協力してやるんだから、報酬の事は忘れるなよ」
視線が合ってないのに、響鬼先輩が私や悟を見てるのが分かる。それぐらいの圧を感じるんだけど……それに報酬? 能力者に集まって貰うために賄賂を送ったって事!? 私には何もないんだけど。
「あの……一年の雪見ですけど……能力者が集まるのはここで合ってますか?」
響鬼先輩に続き、今度は新入生の雪見という子がオドオドした声で入ってきた。小鳥遊先生は三年生だけじゃなく、一年生にも声を掛けたみたい。
「間違ってないので、別に怖がらなくていいですよ。これは演出に過ぎませんから。隙間から覗き込まず、中に入ってきてください」
新入生なら余計に怖いと思うでしょ。先輩ばかりいると思ってるだろうし、怪しげな二人と変な儀式をしそうな場所なんだから。
「は、はい。失礼します」
「扉が開いてるロッカーの中に入ってくれ。今日来るのは残り一人だから、その間は待っていてくれ」
残りは一人。そういえば、小鳥遊先生も確認出来てる能力は私を含めて五人と言ってた。そして、検査結果次第では十人はいるかもと。
「あの……すでにいるんですけど。驚かせました? 私の能力は姿を透明にする事なんですよ」
何処からか声が聞こえたと思ったら、残りの掃除用具入れの扉が閉まった。すでに待機してた? ……って、私が運ばれた時から?