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二人のオバサン


「あっ……」


 思わず声が出てしまった。私と紗季が捜しているオバサンと再度遭遇。こんな場所で会うとは思ってなかったし、紗季みたいに声を掛ける勇気もない。まして、白先生も一緒にいるわけだし。


 それだけじゃなくて、そのオバサンが二人いるんだけど!! 昨日のジャージと違って、オシャレな色違いの同じ服を着てるじゃないの。能力者で【分身】とか【分裂】とかで増えた!?


「どうした? 知り合いでもいたのか? 変な顔になっているぞ」


 変な顔は余計だけど、白先生もオバサンの方に目を向けた。というか、オバサンもこっちを見てないか? しかも、オバサンの一人は『あちゃ~』ってみたいに手で顔を覆ってるんだけど……


「あの人は花畑の母親じゃないか。一緒にいるのは双子? 瓜二つには見えるんだが……それはともかく、息子が学校を休んだ事を聞いておくか」


 あの人が花畑君の母親!! 紗季は花畑君と雰囲気が似てると言ってたけど、そういう事!? それも双子だなんて、【分身】とか【分裂】と思ったのは私が能力馬鹿みたいじゃない。


「鉄先生、息子がお世話になってます。生徒とこのような場所でどうしたんですか?」


 白先生よりも先に、花畑君の母親から私達に声を掛けてきた。けど、もう一方はゲンナリした顔をしている。近くでよく見ると、二人はそっくりではあるんだけど、ちょっと違う。顔もそうだし、体つき? 筋肉?


「出版社側に問題がありまして、私と彼女は付き添いで来ただけですよ。その生徒はそこで打ち合わせをしているため離れていますが」


『出版社』という言葉に、一人は顔を上げてキョロキョロと周囲を見回し、打ち合わせだと知ると、ホッとした顔になった。まるで、紗季を捜す花畑君なんだけど……


 いや、この人が私達がコスプレさせたり、蛍を助けてくれた人でしょ。また迷惑を掛けると思ってるのかも……


「あの……今日は何もしないので大丈夫です。前回、ナンパ男から蛍を助けてくれてありがとうございます。昨日は急いで帰ったから、ジャージを忘れてましたよね?」


『今日は』と着けたのは、もしかしたら……協力してもらう事もあるかもと思って……


「知り合いだったの? そうよね。もしかして……」


「ち、違うから。そんなのじゃない」


 花畑君の母親は面白そうにオバサンの方を見てて、オバサンは何かを必死で否定してる。コスプレに興味がある事を隠してたとか?


「あの服は返却し、ジャージと一緒に着ぐるみをきちんと受け取りましたよ」


 えっ!! 花畑君の母親の方が? そうなるとコスプレした事を隠してたわけじゃないんだ……紗季じゃないけど、弱味でもあればと思ったんだけど……

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