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届かない、黒の想い

 【四葉】出版社に着くまでの間、紗季と小鳥遊先生に能力については全然聞かず、協力して白先生と黒さんの関係を問い質していくけど、結果は黒さんが健気で、白先生が鈍感な事がよく分かった。その気付け無さはむしろ漫画だ。


「はぁ……こうなったら長期化しても最後の手段を取るか。あっちにも許可を取らないと」


 紗季は車の中で、黒さんが白先生の事が好きだという事に気付いて貰うのは諦めて、新たな作戦を考えたようだけど、黒さん本人はそれを知ってるのかどうか……


「白先生!! 私達が迷惑をかけたのに、わざわざ御越しくださり申し訳ありません」


 出版社ビル前には黒さんがすでに待機していて、私達を見るなり頭を下げはしたんだけど……


「あれ? 白先生が先なのはいいけど、私は? 漫画家も大事じゃないの?」


 紗季はニヤニヤとした顔で黒さんに言ってるが、これは匂わせだ。黒さんに言ってるようで、白先生に言ってる。


「ですね。私は生徒が大事で、銅島さんは作家、漫画を大事にしてる。有野にも気を使ってやってください」


「そ、そうですね。後羽先生もすみません。漫画が終了する事はありませんから。それだけでなく……後は、上の者と一緒に話をします。ついて来てください」


 黒さんは案内するため、先頭を歩き出す。それは良いんだけど、黒さんの服装がジャージなんだけど。白先生と会う時はスーツだったんだよね? ここに来て、白先生がジャージ好きだと気付いた?


「そういえば、黒さんはいつもと服装が違うな。ジャージだなんて珍しい」


 長期化の作戦は? と思ったけど、紗季はそこも突っ込んでいく。


「この年齢になって体を鍛えようと思ったんだよ。他の人よりも細いから。体力勝負のところもあるからね」


 確かに黒さんの体は背が高いわりにはヒョロヒョロだ。眼鏡は関係ないけど、運動をあまりした事がないタイプかも。ある意味、性別が逆であればお似合いなのかもしれない。


「そのジャージは私が選んだ。ジムに通うとも言ってたからな」


 黒さんのジャージを白先生が選ぶ程には仲が良いのか。黒さんも勘違いしても仕方ない。白先生の場合、好意が恋愛とは限らないわけで……


「着きました。今回は会議室の一つを使わせて貰ってます」


 黒さんはドアをノックしてから開き、私達を先に行かせた。すると、酢男とスーツを着た偉い人が椅子から立ち上がり、頭を下げた。


「今回は申し訳ありません。警察沙汰になるところを庇って頂き、感謝しかありません。どうぞ、座ってください」


 黒さんと酢男の上司の言うとおり、私達は用意された椅子に座った。


「担当変更の引き継ぎをする前に、煤川が独断で挨拶をしようとした事が、生徒達を怖がらせる事になるとは」


「申し訳ないっす」


「『す』は余計だ。反省したように思えないぞ」


 上司は酢男に注意する。『す』が余計なのは今更なんだけど……

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