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あの後の事を回想しよう


「はぁ……今日は一日散々というか、いろんな出来事が起こりすぎ」


 コスプレショップ【愚弟】から出て、紗季の家に転がり込み、テーブルで突っ伏した。ここに来たのも、蛍にオッサンを諦めさせる作戦を紗季と再考するため。


「予想外だよな。あの場面で彼女が登場するのは漫画みたいだったわ。本当は色々と質問攻めしたかったけど」


【愚弟】に私=オッサンの偽の恋人候補のオバサンがやってきた。作戦のためにもオバサンとは仲良くなり、あわよくば【ライソ】の交換もしたいところだったけど……


「グイグイ行って、迷惑かけたら絶対引き受けてくれない……事はなかったかも」


 前回、きっと紗季はオバサンに迷惑かけたはずだから、様子を見る事にしたのよね。けど、嫌がりながらもコスプレを引き受けるあたり、押しに弱そう。


「蛍があの場にいなかったら連絡先を聴けたはず。蛍も変に勘がいいところあるから。オバサンも圧で口を滑らせるかもしれないし」


 そもそも、オバサンに連絡を聞く暇もなかったんだけど……彼女は【魔女か真剣(まじ)か】のカオリという大きなぬいぐるみを抱えた魔法使いのコスプレをした。設定も変身前は男前な女性だけど、変身後は隠しきれない気持ちが武器をぬいぐるみとした感じ。


 オバサンも大きいぬいぐるみを抱き締めて、気に入ってたっぽい。写真も個人、三人、蛍と悟で撮った。店長とは【ライソ】を交換して、私と紗季にも写真を送ってくれたんだけど、オバサンは写真はいらないと【ライソ】どころか、連絡先の交換も拒否したのよね。店長からオバサンの連絡先を教えてもらうのも無理だし、『時間がない』とカオリの姿のまま出ていったから。


 報酬の【妖怪の森】のウサニンの着ぐるみを受け取る暇もなく、カオリの衣裳が報酬になった。その時のオバサンの顔が悲しそうだったんだけど、可愛かった。紗季や店長が言ってた事が分かったかも。


「本当に脱兎の如く、逃げる感じだったし。店長も連絡聴くのを拒まれたから、あの時は無理でしょ。何度もコッチを向いてたのは紗季を警戒してた気とする」


「そうか? 確かに視線は感じたけど、警戒してたからか? 私達にコスプレさせようとしてただろ? 気になるとすれば、アラームだな。私は」


 確かにオバサンが帰る十分前ぐらいにアラームが鳴った。誰かと待ち合わせとかしても、アラームなんかセットする? しかも、カオリのコスプレをしたまま会うなんて……


「ジャージを置いて帰ってるほどだったもんね。もう一度店には来ると思うんだけど」


 オバサンが着てたジャージは結構着なれた物だったと思う。ジャージ好きとすれば、あれを取りに行かないはずはない。


「来ないだろ。来るなら、ウサニンの着ぐるみも一緒に貰うはずだぞ。あんな欲しそうな顔をしてたんだから。陣子みたいにジャージ好きでもないだろうし」

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