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番外編 花畑薫の侵入


「……来てしまった」


 俺がいるのはコスプレショップ【愚弟】の前。有野が来るのを拒んだ事で、弱味でも握れるのでは? と思ったからだ。断じて、若杉が言ったみたいに有野のコスプレ姿が見たいからじゃない。


「店の外からだと……中は見れないか」


 一回家に戻った事もあって、一時間以上経過している。有野達の用事が終わり、帰ってる可能性もある。それを確認するためには、店に入らないと駄目みたいだ。


「覚悟を決めろ。正体はバレないはずだ」


 勿論、ここに来る前にオバサンへと【変身】済みだ。服装は選ぶ時間もなかったから、ジャージをチョイス。有野達とは一度会ってはいるが、本来の姿よりも全然マシだ。海野や叶もいるはずだから、前回みたいに有野の行動を止めてくれるはず。


 そして、俺は【愚弟】のドアを開けた。すると、コスプレ衣裳の数で奥まで見えないが、有野達の声が聞こえてきた。


(まだいるみたいだな。ここから有野達がいる場所までどう行くかだが……うっ!!)


「いらっしゃいませ」


 奥から店長が登場するが、その姿に思わず後退しそうになった。化物……というのは失礼か。少女っぽい服を着たオッサンを目のしたら、誰もが驚くだろう。


(今の俺は大人の女性なんだ。変にビクつくのは相手に失礼だ。ここは平静にならないと)


「すみません……店の中を見学させてもらっても構いませんか?」


「お客様……あらあら!! 良いわね。華があるわ。貴女もモデルになってくれないかしら」


 店長は俺の言葉を無視して、俺をジッと見ながら周囲を回っていく。そして、この一言だ。


「モデル? それは一体何の……」


「いいからいいから。見学だけじゃなく、着替えてみるのもありよ。モデルになってくれるなら、無料にしておくから」


「ちょっ!!」


 こんなオバサンがモデルなんておかしいと思うのだが、店長は有無を言わさず、俺の腕を掴みながら引き摺っていく。抵抗して踏ん張ろうにも力負けする。オバサンになっても弱くなったわけでもない。



(マジかよ。そこらへんの奴等に力で負けた事なんてないのに)


「あっ……失礼な態度も取ってしまったけど、前回は助けて頂きありがとうございます」


「……いや、それは別に気にしてませんから」


(……海野だよな)


 海野は俺の存在に気付き、頭を下げてきた。失礼な態度というのは、助けたのに『助けて貰いたい人はお前じゃない』ブスッとした感じだった事か?


(もしかして、有野達がここに来たのは海野の仕事を手伝うためか? それは俺や若杉が来ても迷惑なだけで……って、有野と叶はコスプレしてないのかよ!!)


 海野のコスプレ姿には驚いたし、井上も協力するためかコスプレしている。なのに、肝心の有野と叶は制服のまま。というか、前回はオバサンの姿にグイグイと迫ってきた有野が、叶と一緒に距離を取っているのは何故だ?

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