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推しが登場するんだが!!

 蛍と悟が店長に連れて行かれてから一時間経過。店長と悟の喜ぶ声は聞こえるけど、蛍の声はなし。密かに着せ替え人形化してるのかもと思えてくるんだけど……


「コスプレは作るのもそうだけど、物によっては着るのも時間が掛かるらしいからな」


「まぁ……女子は大体そうじゃない? その服にあった化粧とか小物を選ぶ事もあるみたいだし」


 私と紗季は店長が作ったコスプレを見ていく。女子のオシャレを他人事のように言うのも、私達はそこに時間をかけないから。私は基本ジャージだし。


「悟みたいなのが普通なんだろうね。声だけで楽しんでると分かるわけだし」


「ここで悟の能力があれば、私も中を覗けるのに……同じ性別なんだから、中に入っても良いと思うんだが!!」


 紗季は二十分過ぎたあたりで、蛍達が着替える扉を無断で開けようとした。けど、扉には鍵がしてあったわけで……蛍が紗季なら覗きに来ると忠告したかもしれない。


「待つのを楽しめって事かもよ。……試着室もあるから、ジャンケンで負けた方が簡単なコスプレでもしてみる?」


 コスプレの中には怪獣やご当地キャラの着ぐるみもあった。それも自分の顔を出せるネタ的なものもある。


「おまたせ。コスプレするつもりになったのなら、私が貴女達に似合った物を選んであげるわよ」


「それを言ったのは陣子だから」


「えっ!? じょ、冗談ですから。私達は見るだけで十分なんで」


『コスプレでもしてみる?』という言葉を待ってましたとばかりに、店長が扉の奥から出てきた。紗季も言ったのは私だと指差してくるし。


「私も紗季や陣子のコスプレは見てみたいな」


「おおっ!? 【猫々娘】の【環姫】か。それを選ぶとはセンスが良い」


 悟が先に部屋から出てきた。胸を強調したチャイナ服に、猫耳と尻尾を添えて。勿論、カツラで髪の色や腰までの長さを調整。手足には肉球が装備されている。


 宇宙が舞台の学園コメディ【スペース学園】のキャラだ。しかも、紗季と同じ雑誌の漫画ね。


「よく知ってるわね。この体の雰囲気が合ってると思ったのよ」


「私も同じ雑誌で漫画を書いてるから」


 紗季は環姫の悟をバンバンと写真に撮ってるけど、同じ雑誌の漫画だと、パクりになるから気をつけないと。


「言っておくけど、この姿を漫画に使うのは禁止だからね。店長も漫画のモデルにと頼むかもしれないですので、注意してください」


「ふぉ!! マジで……」


 次に本命の蛍が登場。そこにはいるのは【サクラサク】の【ソードマスター】という歴代剣士の一位を決めるバトル漫画に登場する……私の好きな、推しである【沖田様】の姿が。


「まさか男装をさせられるとは……あの人が喜ぶとは全然思えないけど」


 小袖、袴、羽織、刀も完璧。髪も結ってある。性別は違うけど、女子だからその儚さが出ているのかもしれない。


「いや……喜ぶんじゃないか? 似合い過ぎだろ……蛍のファンなら高価買取だぞ」


 私が密かにテンションが上がってる事に気付いて、紗季が口走った。蛍のこの姿なら、ファンどころか私も写真が欲しいぐらい……撮っておこう。


「この店に飾るのは仕方ないけど、広めるのはなしよ。売る事なんて論外だから。まぁ……付き合ってくれたんだから、悪用しないなら保存しておくのはいいわよ」


 これを見てしまうと、オッサンの心を射止めるコスプレなんてなかなか……【沖田様】ですでに私はKOされてるわけで……

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