変な趣味の目覚め?
そういえば、小鳥遊先生も牛乳で子供になった時、コーヒーを飲んだら、能力が解除されるんだった。私の場合はカップラーメン? いや……塩ラーメンかもしれないし、ラーメン全部かもしれない。ただ、言える事は……
「何でラーメンなのよ!! 全然そんなのとは思わないじゃない」
オッサン達が周囲にいるのにも関わらず、思わず口に出してしまった。解除するにしても、もっと持ち運びが楽で、簡単に食べれるのが良かった。ラーメンなんて作る手間もあるし、手軽に食べれるものでもないから!!
急な出来事に驚いたけど、すぐにここから離脱しないと……オッサン達が私の姿をSNSで拡散するかもしれない。硬直している今がチャンス。写真を取られるわけにもいかないし。
カップラーメンは口惜しいけど、持っていたお面ライダーのお面を顔に装着。これで印象付けてたからの撤退だ。
「服……そのままだ。【変身】した後に着替えたからかもしれないけど」
若干、私用の服になったらどんなのだろうと思ってしまったけど、お父さんのスーツが戻ってきて正解。
「って、そんな事よりも……よりヤバい奴になってる!?」
オッサンの時とは体型が違って、スーツがブカブカで動きにくい。動きも変になるのにお面を被ってるわけだから、オッサンの時よりも怪しい人になってるんじゃないの?
そこでタイミング良く、小鳥遊先生の車がコンビニに到着してくれた。
「……いつまでお面を着けたままなんですか? もしかして、気にいってくれました? それに……先程よりも小さく」
「元の姿に戻ったの!! オッサンから元の姿に戻ったんだから、周囲の目が……勢いよくラーメンを食べてしまったのに」
小鳥遊先生の車の中に入るとすぐにお面を外した。制服にも着替えたかったけど、こんな場所で着替えシーンなんて見せる程馬鹿じゃないし、単なる露出狂になってしまう。
「着替えたいんで、人目が無さそうな場所に移動してください!!」
「分かりました。私のせいでもありますし……それで、ラーメンは何味を? カップラーメンですか?」
小鳥遊先生は車を出発させたのはいいけど、質問攻めが凄いんだけど……
「あれですかね? お酒を飲んだ後、締めのラーメンみたいに、オッサンもそこで終わりというのは」
私がまだ答えてないのに、自分の考えを次々と口にしていくので、落ち着くまでは無視しておこう。その間に蛍からの【ライソ】を……って、紗季まで【ライソ】を送ってきてる!?
「まずは蛍から……うわぁ」
『あの人と運命的な再会。私のピンチの時に二度も助けに来てくれるなんて、運命以外の何物でもないでしょ? 白馬のオジ様。彼は近くにいるかもしれない。私を影で見守ってるかもしれない。今日は彼に近付くための準備をするから、放課後買い物に付き合うように』
この文章が恋する乙女みたいだけじゃなく、強制的に買い物に付き合わないと駄目そうなのが分かる。オッサン探索よりもマシかもしれないけど……
「紗季の【ライソ】は……悟が連絡するとは思えないんだけど?」
私が遅刻するかもしれない事は、悟も紗季に学校で伝えるはずと思ったら、内容が意外な物で唖然とした。
『蛍から色んな種類の仮面、コスプレ衣裳売り場を教えて欲しいと【ライソ】が来たんだけど、これって……オッサン絡みじゃないの?』