それがお前のやり方か!!
「はぁ……何だろう……笑われた方が楽というか」
まずはスルメを食べて、オッサンに【変身】。スルメもスーパーとかに売ってるモノではなく、高級そうな袋に入っていて、そのままの形で入ってた。安い方が美味しかった……というのは置いといて……
「何処にでもいそうな……陣の面影はあるか。キチッとすれば格好良くもなる? お父さんに似なくて良かったわね」
そこまでオッサンに【変身】するつもりもないのに、お母さんは格好良くするつもりで何か嫌だ。地味にお父さんの悪口も言ってるし……
「【変身】は一瞬……私と同じで、服装の変化もあるのは少し違う……時間は十分間。ある部分は触らせてくれない」
小鳥遊先生は【変身】直後、私の体をベタベタと触り、ノートに情報を書き込んでいく。勿論、男の急所を触ろうするのは断固として阻止したけど、それは当たり前でしょ。
「スルメの種類で時間は変わらないなら、時間を伸ばす方法は別にある? それを叶さんは知ってるのでは?」
一度黙っていた事もあったせいで、小鳥遊先生もそこは疑うよね。何度もしつこく質問されるよりは、さっさと答えた方が良いかも……他の能力者の方に行って欲しいし。
「スルメ以外なら、栄養ドリンク。それで二時間、変身した状態。すぐに変身を解除する方法は知らないし、他に時間の伸びる食べ物は見つけてないから」
「栄養ドリンクは紗季ちゃんのところで飲んだのね。ネタにされるのが目に見えるわ」
お母さんは紗季が漫画家なのも知っていて、アシスタントとして手伝っている事も承知している。普段、私が栄養ドリンクなんか飲まないから、予想したんだろう。
「そこのところ、色々とあるんだよ。紗季だけじゃなくて、色々と……言っておくけど、栄養ドリンクは飲まないから。そんな事したら、学校に行く時間になるし」
栄養ドリンクを飲んでも時間が伸びるだけで、他は何も変わらない。オッサンの状態で学校なんか行ったら、不審者として捕まるだけだ。理由を説明すれば、学校全体に能力がバレる。それは蛍の耳にも届くはずだし……
「まぁ……小鳥遊先生も栄養ドリンクは用意してないだろうし、家にもないから安心だけど」
朝御飯用の袋にある菓子パンをチョイスして、テーブルに座る。お母さんが目覚まし用のコーヒーを置いてくれてて、それを飲む。コーヒーは【変身】しないと確認しておいたから大丈……
「ぶっ!! 何これ……異様な味がするんだけど。熱さもぬるくなって……」
「サラリーマンだけじゃなく、研究者の必需品でもあるので」
オッサンの声に変化している。コーヒーは大丈夫だったはずなのに……と思ったら、小鳥遊先生が栄養ドリンクを見せてきた。という事は……
「私が菓子パンで目を離した隙に、コーヒーに栄養ドリンクを混ぜたの!? やってる事が紗季と同じなんだけど!!」