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万事休す?

「す、スルメは別にいいかな。オッサンみたいな食べ物も控えていこうと思ってるから」


「ど、どうした!? 陣子が三度の飯よりも好きなスルメを断るなんて……他の食べ物も控えるなんて、今日は槍でも降ってくるのか」


 蛍よりも紗季の方が驚くのは駄目でしょ。三度の飯とかは言い過ぎだし、そこまでオッサンの食べ物に執着してた?


 じゃなくて!! 蛍のオッサンへの気持ちがガチなのは紗季も分かってるはずなのに、助け船を出してもいいところなのに……もしかして、スルメでオッサンに【変身】する事を忘れてる? 紗季の前だと栄養ドリンクばかりだったから……


「私の事は別に気にしなくていいから。前にも言ったけど、ジャージ姿も許すし、一緒にいる時に何を食べようとも文句は言わないわ」


 そういえば、蛍の前でスルメとか、ちょっと臭いがキツい物を食べるのを嫌がってた。これもオッサンのため……じゃないよね。


「じ、陣子が渋い食べ物が好きでも全然。酢昆布とか、酸っぱい物も美味しいよね」


 悟もそこに気をつかわなくていいから。食べないと駄目な流れになってしまうでしょ。


「仕方ないわね。私も一緒に食べるから、陣子も食べなさい。私一人で食べるのは恥ずかしいでしょ」


 蛍がここまで折れてくれてるのに、断る事が許されるか……いや、許される雰囲気じゃない。


 万事休す……と思われたが、意外なところで救いの声が私の元へ。


「ゴメンなさい。私の手伝いを叶さんに頼んであったので、それを貴女達に言い出せなかったんでしょうね」


 食堂に現れたのは大人の姿の小鳥遊さん……小鳥遊先生と呼ぶべき? 彼女は能力検査担当で、学校の保険教諭として配属されるらしいんだけど……


「えっと……小鳥遊さんでしたよね? 能力検査の人が何で陣子を? 井上さんだったら能力者で分かるんですが」


 小鳥遊さんを知ってるという事は、蛍の能力検査を受けに行ったんだ。『井上さんだったら』と言葉にした時点で、蛍自身が能力者なのか判断してもらう状況だと思う。


 というか、小鳥遊さんとそんな約束はしてない。それを口にする程、私も馬鹿じゃない。そうなると蛍とのデートは決定してしまう……が、怪しい実験の手伝いかとも警戒もするよね。


「そうだぞ。手伝いなら私がしよう。やりたい気持ちは人一倍だ。おまけに能力者の悟もついてくる」


 紗季は小鳥遊さんに拒否され続けられたのに、ここでも果敢に挑んでい……ってもらったら困るんだけど!! 私利私欲で私と蛍の状況を忘れるな。


「駄目です!! 能力者の彼女がいたとしても、仕事の邪魔になるのが目に見えてますから。叶さんを選んだのは、最初に来てくれた生徒だからです」


 それは誰でも良かったと言っているような……いや、名前を覚えてもらってるのが私だけ? 小鳥遊さんは蛍や紗季、能力者の悟の名前を呼んでないし……


「ああ……あの時、陣子だけ検査に時間が掛かったのも、手伝いを頼まれたからなんだね」


 悟のナイスアシスト。他のみんなより時間が長かったのが、ここで効果を発揮するなんて。


「そうなんですね。陣子も用があったのなら、言ってくれたら良いんだから」


 蛍は私を誘うのは諦めてくれたようだ。一緒に手伝うと言ってきたらどうしようと思ったけど、オッサン捜しを優先したみたい。


 ただ……蛍にオッサンとバレるよりかは良いのか、小鳥遊先生の手伝いとは一体何?

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