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ミッション インポッシブル18


「牛乳といかスライスは確保して」


 スーパーも三件目。今は駅前のスーパー【マルサワ】で買い物を終えたところ。GETしたのは牛乳、いかスライス、ツナ缶、チータラ、飲むゼリー。バナナとかは家にもありそうだし。飲むゼリーは若い男性が飲んでる印象があったから。


「駅前に来ると、目移りする物が多いからなぁ」


 クレープ、タピオカ、48アイスクリームと女子が好きなラインナップが並んでいるけど、私にとっては全く魅力が無かったりする。


 それよりも【スイカブックス】やガチャンポン屋、食べ物屋だと肉屋のコロッケや、【杉屋】の牛丼の方がいい。


「今日は推し作家の最新本の発売日なんだけど……欲しい。滅茶苦茶欲しい!!」


【サクラサク】という漫画家でファンタジー系を少年誌で書いてるんだけど、今回は特別篇として、エロ……18禁の漫画が解禁され、今日がその発売日。


 けど、買う勇気よりも、十六という年齢の壁がある。ネットが買うにしても、両親が受け取ってしまうと……


「私の歳がもう少し上だったら……あれ? かなり上なら行けるんじゃないの?」


 ここに来て、おっさんに【変身】する能力が効果を発揮出来るのでは? やわらかスルメじゃないけど、いかスライスでも効果はあるはず。十分間でエロ本を買うための能力……そう思ったら、悲しくなる。


 思ったら吉日。まずは【スイカブックス】に新刊があるのか、置いてある場所も確認しないと。後は、【変身】出来る場所。【マルサワ】の中にあるバリアフリートイレ? それとも人目につかない場所を見つけた方が?


「そういえば、18禁は区分けされてるから……」


 本屋の中でも子供達が間違って入らないように、⑱✕と書かれた暖簾の先に目当ての本が置かれているはず。


 オタク風の男達は暖簾(のれん)の前で立ち止まる私を、まるで『お前ではこの先は無理だ』と言わんばかりにチラ見しながら、そそくさと中へ入っていく。


 年齢もあるけど、女にとってもあの暖簾(のれん)は入りにくい。歴然の勇者、コミケの強者なら難なく入るだろうけど、私にはまだ力不足。


 けど、暖簾の隙間から新刊が置いてる場所が見えた。そこには目的の本が……あった。しかも、残りは一冊!? そこまでメジャーでもないから、数冊しか置いてなかったのかも……


「これは時間との勝負かも。早く、人がいない場所でいかスライスを食べないと」


 流石に時間が無くても、人前でオッサンになるのは嫌だ。丁度、向かいの店、服屋と服屋の間に隙間がある。誰もそこに注目する人はいないはず。


「【変身】は一日一回というのは止めてよ」


 いや……オッサンになるのなんか一日一回……無くてもいいんだけど、今回だけは出来て欲しいと思いながら、いかスライスを口の中に入れた。


「……来た来た。いかスライスでも成功ね」


 今回、ジャージ姿なのは一緒だけど、スマホのカメラで自身を見ると、見事にオッサンになってる。バーコード眼鏡の顔、体型も同じ。このオッサンがデフォかもしれない。


 一応、念のために目覚まし時計を七分後に設定。途中で元に戻るのを忘れないためにも必要でしょ。


「さてと、行動を開始よ」


 と言いながらも、出鼻で挫く事になった。

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