それは単なる酔っ払いです
「ほぉ……能力者を探すための検査……政府の陰謀か?」
紗季の言う政府の陰謀とか馬鹿げた事は放っておいて、能力があるのをバレたくないんだけど!!
能力は乙女座流星群の光を浴びた女子達が得るわけで、受けた本人は何かしらの能力があると分かってるんだから、無理に調べなくてもいいんじゃないの?
「あっ……能力者について、ホワイトボードに貼ってるね。協力者募集?」
私達が多目的ホールに入ると、入口前にホワイトボードが用意されいて、能力者検査についての説明が貼られていた。
『国は能力者について調査中。能力の解明のご協力をお願いします。つきましては、今回は遺伝子検査をするため、個室で唾液を抽出し、その後に事情聴取をします。特に自身で能力者と分かってる人は率先して参加を。自身が能力者と知りたい人も構いません。後日、自宅へと結果を郵送します』
「なるほど……強制的なものではないんだな。唾液を集めるのも何だか卑猥ではある」
紗季の言葉は無視して、私としては強制じゃない事に安心した。
「悟は能力者だから協力するのか?」
「まぁ……そうだね。クラスのみんなに言ったから。協力しないのも変だし。私がこんなのだから、知られたくない人もいるかもしれない」
悟の言動にドキッとしたわ。私に言ったんじゃないよね? 紗季もこっちを見て……ないわね。
「そうだな。魔法少女もそれを秘密にしないと駄目らしい。井上が一人で行くのも可哀想だし、私達も一緒に行くとするか!!
紗季が言うなら兎も角、白先生がそれを言う!! 魔法少女は秘密にしないと駄目なんだよね? オッサンも隠したいんだけど!!
「鉄先生も実は能力者なの?」
悟も何だか嬉しそうだ。能力者もそうだけど、一緒について来て欲しかったかもしれない。個室だとしても、事情聴取とか怖いと思う。
「どうだろうな。あの日、知り合いと浴びるように酒を飲んでいて、記憶が飛んでいる時間があるから念のためにな。起きた時には路上にいたからな」
それは単なる飲み過ぎなのでは……とは言えない。その時に光を受けている可能性もあるかもしれないけど……
「……紗季や陣子も一緒に来てくれるの?」
「勿論。逆に私も色々聞いてみたいしな」
紗季は漫画のために情報収集をするつもりなんだろうけど、これで私が拒否した場合、白先生と陣子に怪しまれる? 個室だし、結果は自宅に送られるから……受けるしかないよね。
「仕方ないわね。私も行けばいいんでしょ」
私達は多目的ホールの中を進んでいくと、身長と体重を同時に図る機器、視力検査、胸囲を調べる場所には仕切りが用意されている。能力検査があるのは多目的ホールにある放送室みたい。