キャラとしての方向性
★
「はぁ……はぁ……少しは期待したのに……予想外だった。新キャラにはいいかもしれない」
「『運動が苦手じゃない』って、言ったでしょ。紗季の動きの方が逆に驚いたぐらいだから」
紗季と悟は打ち解け、私を含めた三人で多目的ホールに向かってる。多目的ホールは文化部にとってのステージみたいな場所ね。
今度は身体検査の方で、男子は保健室と距離が離れてるから覗き見するのも無理な話。これは男子に……というよりも、紗季……いや、悟を含めた二人の方が危険かもしれないけど……
「いのう……悟は運動部とかに入ってたりしないの? あれだけの記録出してるわけだし」
悟は去年の体育測定の平均記録より、かなり上。男子に負けないくらいの記録を出してる。私は平均よりも少し下で、紗季は……下から数えた方が早いかも。さっきので息を切らしてるぐらいだから。ちなみに蛍は平均より少し上だと踏んでいる。
「入ってないかな。漫画を見たり、ゲームをする方が楽しいから。けど、紗季の漫画は見た事ないかも」
勿体ないとは思うけど、それは悟が決める事だから仕方ない。紗季にとっては運動出来るキャラモデルになりそうだから、喜ばしい事だろうけど。
「そこまで有名な雑誌じゃないからな。まぁ……モデルになってもらうから、参考にでも持ってくるわ」
「協力すると言ったからね。紗季が書く漫画だから、面白いと思うわ」
悟は期待してるようだけど……万人受けする漫画ではないのよね。ユルい学園漫画ではあるけど、私の【変身】を取り入れても問題ない、方向展開するつもりみたいだから。
「ふっ……見て驚くなよ。色んな生徒がモデルになってるから、それを探すのも面白いぞ。勿論、陣子も出ている」
紗季も全くのプレッシャーを感じず、自分の漫画の凄さを物語っている……と言っていいのか? キャラ頼みのような気がしないでも……
「へぇ~!! なら、私はどんなキャラにするつもりなの? 今のところ、運動が得意なキャラ?」
紗季の漫画でヒロインは花畑君モデルのキャラ、ライバル的存在が蛍。私は親友の立ち位置みたいな感じかな。
悟は運動部属性はありそうなんだけど、漫画の方向展開するつもりなら、透視能力を推す事も考えられるんだよね。
「それは身体測定で決まるかも。【透視】能力を使えるし、私の言葉に対して堂々としてる。胸もあるし……痴女キャラが第一候補だ」
「運動能力全く関係ないの!?」
悟じゃなく、私が思わずツッコミを入れてしまったじゃない。悟は運動が苦手だと思っていて、実はそれが凄くて、予想外となったんじゃないの?