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お断りします!!

「ちょっ……ちょっと待った!! ケーキ一つしか食べてないじゃん。もう少し残ってもいいんじゃないか」


 紗季が急に叫んだのは私にではなく、ナンパから助けて貰った女性に向けてだった。


 ケーキバイキングなのにテーブルの上にあったのはカップと皿一つ。全然食べてないのはすぐ分かる。三千円もするのに、ケーキ一つは流石に勿体ないかも。


「いや、今回無料なうえ、割引券も貰ったわけで……時間も結構経ってしまったからな」


 女性の口調が少し男っぽいのもモテる要素で、紗季も食い付いてるのか? 私には全然分からないけど……


「こっちはまだ途中だし、色々と思い浮かんでるわけで……なら、連絡先を交換するというのは!!」


 スケッチしてたのも、漫画のキャラとして、彼女を選んだわけね。こんなタイプの女性は登場してなかった……


「それはちょっと……出来れば、漫画のネタにもされたくないんで」


 女性は紗季から逃げるように店から出て行った。紗季が漫画家である事を、すでに話してたみたいね。彼女も若干恐怖を感じたような顔をしてたもの。ネタにされるのを分かって、連絡先を教える事は、友達でもなければ、私でもしないわね。


「まぁ……当然じゃない? 好き好んで漫画のキャラになんかなりたくないわよ。『連絡先を教えて』というのも、逆に怪しいし。そこまで拘るのは珍しいわね」


 違うか。紗季は漫画に関しては一切引かないわ。これも一つの才能なんだろうけど……


「……薫に雰囲気が似てたんだよ。今の時代、能力者もいるんだから【変身】して、オバサンに」


 花畑君とさっきの女性は似てたの!? 紗季は人と見るところが違うわ。しかも、花畑君のキャラを【変身】……


「って、おい!! それは駄目でしょ」


 蛍が目の前にいるのに【変身】ネタは危険過ぎる。


「……紗季の用は終わったみたいだから、ここからは私の番よね。あの人について、きちんと説明してもらうわ。本当の事を話しなさいよ」


 蛍は【変身】については興味がないみたいだけど、ここからがオッサンの話になるわけ!? 紗季が上手い具合に話をしてると思ってたのに……


「……はぁ、だから言った通りだって。漫画のネタにするために協力して貰っただけ。あの人は良い人と思ったけど、知り合いが来たら逃げ出すような相手だぞ」


 一応、少し刺のある台詞だけど、嘘でも説得はしてくれたのか。さっきの女性にも声を掛けてたんだから、信憑性は増すわね。


「あの人と二人乗りなんて羨ましい……じゃなくて!! 逃げたのではなく、理由があったはず。本当に顔見知りじゃないの? 親しそうに見えたんだけど……くっ!!」


 蛍は言葉にしながら、その相手が自分ではなく、紗季だった事にダメージを受けてるっぽい。


「いやいや……蛍の見間違いかもしれないよね。一回しか会ってないんでしょ? 服装も違ったと思うし、私や紗季もその人の顔なんて分からないんだから」


 ここは紗季と一緒にいたオッサンは、私とは別人にした方が良い。紗季も面白がって、正体を教える事もなさそうだし。

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