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番外編 花畑薫の異世界転移説


「はぁ……お前も本当に見つけるつもりがあるなら、飼い主の事をもっと思い出してくれよ。性別が女性だけなのは、結構……かなりキツイぞ」


 ネコは主の姿が曖昧になってるらしい。近くで臭いを嗅げば分かるらしいが、そんなの誰もが嫌がるからな。


 俺が探索したのは近くの住宅街と商店街の一部。引っ越してきたのなら、近くに家があってもおかしくない。犬を連れて、電車で移動する事もないだろう。だが、そこもネコは全く無反応。学校方面に行くのは休んだ身としてはちょっと……


「食べ物の匂いに釣られてばかりだしな」


 商店街の中だと唐揚げ屋とかたこ焼き屋の匂いに釣られて催促されるのもそうだが、クレープやアイス等のスイーツの方が断然多かった。


「私が食べたかったわけではないですよ。主は食べ物系、特に甘い物が好きだったのです。こんな異界の地なら、尚更です」


「異界の地って……ここはそこまで都会じゃないぞ。どんな田舎から来たんだよ」


 田舎だとテレビの放送が遅れたり、コンビニや大型モールが全然ないと【妖怪の森】の話でもあったからな。


「なら、服とか小物はどうなんだ? そっちも興味があるんじゃないのか? 有名どころは無いかもしれないけど」


 商店街の探索を再開。一応、ネコにはリードを着けさせて貰った。痛い出費だが、一緒に行動する以上、放し飼いに文句を言う奴等もいるはず。


 盗み聞きではないが、教室にいる女子達の会話だと、商店街じゃなく、別の場所で服を買うらしい。有野達からはそんな話は一切登場しないんだが……


「服……肌着の事ですか? それは同じ物しか無かったはずです」


「……はっ? 同じ服しかないって……漫画でもあるまいし」


 漫画のキャラクターは毎度同じ服を着てるイメージだけど、現実ではなかなか……制服が決められてるところぐらいじゃないか?


「漫画? それが何なのか分かりませんが、服よりも武器や防具の方が重要だったので。この商店街にはそのような店が見当たらないのですが……」


「漫画は知らなくても、ゲームの事は……冗談じゃなくて、そんな事を言ってるわけか?」


 犬が能力を宿したのではなく、異世界から来た可能性を考えてなかった。漫画やアニメ、ゲームでもあるまいし……なんて、このご時世で言う事じゃないんだよな。


 しかも、占い師に勇者や魔王の話を聞いてるわけで……


「勿論です。この世界にはそういうのが無いのですか? あれは……」


「違う。あれはスポーツ用品店で……」


 バットやテニスラケット、野球のヘルメットが武器や防具に見えたかもしれない。これを動物だから勘違いしたのか……


「まさかなんだが、ネコのいた世界に勇者や魔王なんて奴が存在したなんて事は……」


 異世界転生や転移が本当にあるのか……恐る恐る聞いてる事にした。

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